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第101話

 黒騎士が前を進む、堂々と。その後ろを付いて行くだけの私たち。


 休憩を入れないで調査隊と合流をした方がマシだろうと言う事でこうして先に進む事に決めたのだけれども。


 あのカラフルな床パネルの罠部屋からずっと魔物との遭遇は無い。不気味な程に。


 嵐の前の静けさとか洒落にならないのでこの状況が不安で私は仕方が無い。


 このまま行くと順調過ぎて調査隊との合流が早まりそうだった。なので私はここで「言っておけばよかった」との後悔をしない様にと抱えている一抹の不安を口に出した。


「ねえ、今の調査隊が何らの問題も無くダンジョンの奥先へと進めているとしてさ?もしもそこに黒騎士が入っちゃったら、今までの私たちが来た道と同様な事態になったりしない?ヤバイ魔物とかが大量の部屋がいきなりとか、意地の悪いギミック満載の罠部屋とか出て来そうじゃ無い?その時には黒騎士でも調査隊の人数を守り切れるの?そこで手が回ら無い、回せ無い事態に陥ったら怪我人どころか死人が出るんじゃないか?」


 今はまだ私たちは少人数で動いていて黒騎士の手の届く範囲で守られているから無事なだけだと私は思うのだ。


 そこに護るべき対象が増えたら幾ら黒騎士でも漏れが出てしまってもおかしくない。


(いや、黒騎士の強さが「おかしい」と言えども限界ってモノが在るはずよね?本当に合流するのは最善とは言え無くとも、良い案なんて言えるモノなのかしら?・・・違うと思えるのよね、ソレ)


 黒騎士は強い、その力を使い調査を進める。その為に今の私たちは調査隊への合流を目指しているはずなのだ。


 だけれども、それは何だか今更思うに良く無いモノだと思えて来る。寧ろ足を引っ張る所か調査隊に危険を及ぼす事になるのでは?と。


「うんん~?別に調査隊の人たちもこれまで冒険者をやってきたんだし?覚悟は持ってるんじゃ無いの?ソレに自分の身は自分で守る、くらいの強さは持ってる人たちだと思うけどねー。だってダンジョン変動後の調査なんて危険がある事を分かった上で、ソレを承知で依頼を受けてるんじゃないの?ソレを受けられる程度の強さは持って無いとそもそもに受けれない仕事じゃ無い?であれば私たちが余計な気を遣う必要無い訳で。そう言うもんでしょ冒険者って。」


 ヒジリは真面目な回答をして来る。まあ冒険者やってれば「確かに」と言える正当な答えだ。


 ここでエミコが私の意見に同意を示してくる。


「まあ確かにイチカの言ってる事って高確率でそうなりそうよね。でも、協会長も長官もこうなるとは最初っから想定していないと思うわよ?それが判っていたらこんな調査隊と合流なんて指示は出して来ないでしょうしね。ここまで来たらもう取り合えず先の事は合流してから考えても良いんじゃ無い?」


 最後はそう言ってエミコは「なる様にしかならない」と締める。


 ここで最後にマリエはと言うと。


「取り合えず一回合流しないと仕事達成にならんのよな?そうじゃ無いと報酬貰えないやーん。ダメだったりヤバくなったりしたら離れりゃイイっぺよ。今から難しい事アレコレ想定したって疲れるダケダケ。出たとこ勝負っしょ。イチカ心配し過ぎ。向こうさんからそこで文句付けられても、んな事こっちの責任ちゃうわ!って言ってやれば良いんで無い?何かしら妙な事が起こってもこっちは「知ったこっちゃねーっすわ」って言ってやろうぜぃ。」


 無責任大放出。何時もの変わらずブレ無いマリエ節に私は頭が痛くなる。


「それで何事も無く丸く収まるなら世の中に警察も弁護士も法律も要らないでしょうよ・・・」


 とは言え、三人が言っている事は間違っちゃいないのは私も解かっている。


 しかし絶対にこっちを悪し様に言って来たり、イチャモン付けて来たり、責任を擦り付けて来たりと責任転嫁して来る奴が絶対に出て来る。


 誰しもが冷静で理性的で物分かりが良く感情を抑制できる訳じゃ無い。


 調査隊にも恐らくは感情で物を考え、他責思考な輩が混ざっている。そうに違いない。


 そう言った奴等をどの様にして黙らせておくか?くらいは今からでも考えておくのは別に損じゃ無い。


 寧ろ、どんな言い掛かりを付けられたとしても言い返してギャフンと言わせられる様に覚悟を決めておくべきと私は思っている。


 とは言え、ソレを私一人が抱えているだけでは役に立たないし、全員でこの意識は共有しておくべき事と判断して私は口を開く。


「取り合えず皆、私の案、聞いてくれない?」


 私はここで調査隊との合流の際の手順を話し合いたいと言って皆に先に進む足を止めて貰う。


 ちゃんと黒騎士もコレに立ち止まってこちらに振り向く。


 今の所は私たちの居る通路には魔物も罠も無い模様だったので一度ミーティングの時間を此処で設けた。

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