第100話
どうにも頭の痛くなりそうな罠である。これを突破しなければ次には進ませない気らしい。
(ふむ、この様にして馬鹿正直に「罠ですよ」と示されるのは何とも呆れるな。真正面からコレを攻略しなくてはならないのか?)
罠と言うのは察知できず、突然に襲い掛かって来るから脅威なのだ。私の「罠」と言うモノに対しての考え方はそんな感じだ。
ソレがこの様にして目に見えてしかもまるで「謎解き遊び」の様相を呈しているなど私からすれば呆れでモノが言え無い。
何だかこちらが馬鹿にされている様に私には思えて少々イラついた。
そんな私とは違って四人は、あーでも無い、こーでも無いと相談しながら床の色の展開の仕方や何処をどう踏んで行けば最短で部屋の反対側奥まで行けるかを話し合っていた。
入って来た通路は塞がれて退路無し。先に進むしか道は無い。
その進むべき先も部屋の奥、この色取り取りの床を踏んで突破しなければならないと言う面倒な事態。
(時間制限も有るのか。この上ない程に舐められていると言えるな。こんな見え透いた仕掛けに何故正直にバカの如くに真っ当に付き合わねばならんのだ?)
塞がった入って来た側の壁が迫って来ている。私は気付いたが、話し合いで忙しい四人娘はコレにまだ気づけていない。
(このまま気が済むまで話し合いをさせておくか?・・・それは時間の無駄だな。それと、私をこの程度で止める事が出来ると思われるのは心外だな)
確かに頭を使う場面なのだろう本当はこんな時が。
だけども頭を使うと言うのは只それだけでは無いのだ。
私は魔力密度を高め、ソレを剣に送り込む。魔力刃を伸ばしに伸ばし、そしてソレを振るう。
剣刃をその床に叩き付けた瞬間に剣に送り込んだ魔力を操作し放出、爆発力に変える。
(こうすればこの程度の罠など消し飛ばせる。さて、それでは進ませて貰おう。当初の休憩の計画は頓挫してしまうが、ここに閉じ込められるよりかはマシだと思って貰うしかないな)
色取り取りの床はもうそこには無い。抉れ吹き飛んで消えた。部屋の奥まで一直線に。
その跡地を私は堂々と進む。何時までもここに留まっていると何が他に起きるか分からないので即座に出て行った方が良いだろう。
しかし私の後方から誰も付いて来ない。呆気にとられた顔で四人とも止まったまま。
何時までもその様子で動かないままで居ても仕方が無いので私は一言、気付けの為の活を入れてやる事にして。
「・・・がぁ!」
と短く叫ぶ。そこでやっと気を取り戻したのはヒジリ。
「うひゃぁ!?アンちゃん滅茶苦茶!やり過ぎ!でもそこが良い!私たちに出来ない事を平気でやってのけちゃう!そこに痺れる!憧れるぅ!」
「・・・憧れるのは無理だろ、幾ら何でも。と言うか、あんたアンデッドと真反対のジョブじゃないの。冗談にも程が有る・・・」
「はぁ~、黒騎士は容赦無いわね。コレって、脳筋って事なのかしら?でも、ちょっと違う気がするわね。力を持つ者が子供だまし程度に真正面から付き合ってはいられないって事、かしら?」
「お、おおぅ・・・これは流石のマリエサマもドン引きだぜぃ・・・」
それぞれがそんな事を言いながら動き出す。この部屋からさっさと出る為に。
そうして私たちが出口から完全に出ると道が塞がって先程の部屋に戻る事ができない状態になる。まあ戻る気など一切こちらには残っていないのだが。
「やっぱり変動が止まっていない所か、継続中じゃないの・・・私たち、本当に生きて出られるの?コレ?」
イチカが不安を口に出す。が、他の三人はそんな命の危機など感じていない様子。
「アンちゃんと居れば敵が幾ら出て来てもだい!じょう!ぶ!」
「イチカの気持ちも分からないでも無いわ。けど、ヒジリの言う通りだとも思うわね。」
「これまでに稼いだ魔石でどれだけお金ガッポリだと思ってんのイチカ?絶対に帰るのだ!ワハハハ!お金持ち過ぎて笑いが止まらんじょえぃ!」
(絶対に生きて帰す。この身が滅しようともな)
そう簡単に死なせるつもりなど無い。毛頭無い。
寧ろこの身に変えても彼女らは絶対に生かして帰す覚悟がある。
そんな私の心を伝える手段は当然無い。ならば行動で示すだけだ。
今は何処かで小休止を入れるよりもこの調子なら調査隊に合流した方が良いだろう。
そう思って私はエミコの持つ魔道具「たぶれっと」を覗き込んで次に向かうべき通路の方向を確認する。
あの部屋から出た通路は左右に分かれていて二択なのだ。勝手に私が歩き出す事は出来ない。
そんな私の動きでエミコがこちらの言いたい事を察してくれた様で。
「休憩は無しでこのまま進みましょ。この調子じゃ次に休めそうな小部屋があっても何かしらのトラブルが絶対に起きるわ。それならさっさとそんなの突破して合流を早めてしまった方が良いと思うの。どう?」
そうしてこの意見に誰も反対意見が出ずに直ぐに出発となった。




