番外編『ジェイドの道具屋繁盛記』 その83
三人で手分けをして、ドラゴナイトの眠る谷について調べた。
結果として、賭ける価値はあるぐらいの信憑性の高さだった。
ここが帝国ということもあり、裏の情報屋に心当たりのあった俺は、その情報屋から情報を購入。
その情報屋の話によれば、ドラゴナイトが眠る谷というのは、ジュエルレイヴンという魔物が住処にしているパレットキャニオンという谷らしい。
ジュエルレイヴンは名前の通り、宝石を好む鳥の魔物のようで、食用ではなくコレクションとして宝石を集めている変わった魔物とのこと。
全長三メートルほどと大きいだけでなく、飛行能力が高い上に力も強く、なんといっても知能が人間並みに高いのが最大の特徴だと言っていた。
元々群れで行動する魔物らしいが、パレットキャニオンでは数百のジュエルレイヴンが組織を形成しているらしい。
百年ほど前まではワイバーンが住処にしていた場所を、ジュエルレイヴンが奪ったのが始まり。
以降、ワイバーンの住処をそのまま乗っ取り、居抜きの形でジュエルレイヴンが住んでいるとのこと。
噂になっているドラゴナイトの情報は、当時のワイバーンの主であったエルダーワイバーンのものの可能性もあれば、ジュエルレイヴンがどこからか盗んできたものの可能性もあると言っていた。
どちらにせよ、貯め込んでいる宝石の数は相当なものだと推察されており、ドラゴナイトの有無は分からないものの、大量のお宝は確実に存在しているらしい。
これだけの有力な情報があれば、行かない手はないと思っている。
「――というのが、俺が集めてきた情報だ」
「やっぱジェイドさんって凄いですね! 以前から調べていて、しかも住んでいる僕たちよりも情報を収集できてますよ! 優秀な人には何をやらせても優秀なんですね!」
「本当にそうだな。色々と聞き込みもしたし、情報屋にも頼ったが、谷の名前すら知ることができなかったぞ。一体どこで情報を集めたんだ?」
「道行く人に聞き込みをしただけだぞ。たまたま詳しい人に出会えただけだな」
俺が集めた情報が多すぎたからか、セルジはかなり疑問に感じている様子。
アルフィは素直に感心してくれているし、うやむやにして、さっさと出発してしまおう。
「僕たちとは視点が違うんですよ! 聞き込みにも何かコツがあるんですよね?」
「まあな。手当たり次第に声を掛けても意味がないから、裕福そうな人と、冒険者でも実力者だと思った相手を中心に声をかけた。――と、今はどうやって情報を集めたかはどうでもいい話だろ。時間も限られているし、さっさと出発しよう」
「情報収集でも色々と考えているんだな。人としての能力の違いを毎回感じさせられる」
「セルジさんも優秀だなって思う場面がありますが、ジェイドさんと比べたら凡人もいいところですよね!」
「うるせぇ。アルフィは一般人と比べても出来損ないだろ」
「それはさすがに酷いですよ!!」
「無駄話はいいから準備しよう」
気を抜くと別の話を始める二人を制止し、出発の準備を行うことにした。
とはいえ、俺はいつでも出発できる状態にあるため、アルフィとセルジの準備を待つ。
準備を終えた後は、速やかにエアトックの街を出て、パレットキャニオンへ向けて歩き出した。
距離的にはかなり離れているため、どこかで泊まることを前提とした移動になると思う。
できれば野宿は避けたいところだが、道中については念入りに調べてきていないため、ちょうどいい場所に街や村があることを祈るしかない。
そうこうしながら移動していたのだが、パレットキャニオンは山岳地帯に存在するらしく、進めば進むほど人の気配がなくなっていった。
こうなってくると、道中に街や村がある可能性は限りなく低く、あっても集落だろうが……まぁ野宿だろう。
そんな予想通り、日が落ち始めてきたタイミングでも人里の気配を感じることができなかったため、大人しく野宿の準備を行うことに決めた。
「うへー、疲れましたー! 思っていたよりも、山道が続いていますよね」
「その上、野宿だもんな。冒険感はあって面白いが、疲労が取れるか心配だぜ」
「岩肌じゃない場所で寝れば、幾分かはマシだと思う。とにかく眠ることが大事だな」
「危険もあるんですもんねー! あっ、そういえば、ジェイドさんの生意気な従魔はいるんですか?」
「いるぞ。鞄の中で寝て――」
「起きている。そっちのふにゃふにゃしたの。ムカつくな」
「げげ! 聞いていたんですか! 起きてるなんてズルいですよ!!」
何がズルいのかは分からないけど、今回の件で確実に、アルフィはエンペラに嫌われただろうな。
必死に変な言い訳をしているアルフィを横目に、俺たちはテントを立てて、野宿の準備を行ったのだった。
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