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*彼は顔を洗い、髪を整えてから宿の食堂へ向かった。階段を降りるたびに、妙な倦怠感が体にまとわりつく。筋肉痛でもない、魔力枯渇でもない。ただ純粋に「搾り取られた」ような脱力感だった。*
シロウ「あー……なんかすげぇダルい……。」
*食堂に入ると、カイとリオンが既にテーブルについていた。カイは焼き立てのパンを齧りながら報告書を読んでおり、リオンは眠そうな顔でスープを啜っている。*
カイ「おはようございます、父さん。顔色悪いですけど、大丈夫ですか?」
リオン「……陛下、昨夜何してたんすか。」
シロウ「いや……普通に寝てたんだけどな。なんか体力持ってかれた感じがする。」
*彼は椅子に座り込み、テーブルに突っ伏した。給仕が運んできた朝食——焼きたてのパン、目玉焼き、ベーコン、温かいスープ——を前にしても、食欲がいまいち湧かない。*
カイ「母さんとの模擬戦の疲れかな?砂漠で結構やり合ってたし。」
シロウ「いや、あの程度で疲れるような体じゃないんだが……。年か……?」
リオン「白髪も増えてきてますしね。」
シロウ「だな。」
*彼はスープを一口飲んだ。温かい液体が胃に落ち、少しだけ体が楽になる。ふと、あることに気づいた。*
シロウ「……あれ。リング、どこやったっけ。」
*枕元に置いていたはずの魔法のリング。ベッドを出る時に見当たらなかった。寝ぼけて異空間収納にしまったか、どこかに転がったか。*
シロウ「まぁいいか。あとで探そう。」
*その時、階段からルーナが降りてきた。ユキを腕に抱え、いつも通りの涼しい顔をしている。ただ、足取りが微かにぎこちなかった。*
ルーナ「おはよう、父さん。みんなも。」
カイ「おはよう、ルーナ。よく眠れた?」
ルーナ「ぐっすり。」
*ルーナはシロウの隣に座った。メニューを開きながら、横目でシロウの顔色を窺う。目の下のクマ、倦怠感。全て自分が原因だとは露ほども思っていない——わけがなかった。*
ルーナ(……ごめんなさいパパ。でもあれはディルドだったから。パパは何も知らない。何も。)
*ルーナは何食わぬ顔でパンを注文し、ユキに小さく千切って渡した。*
ユキ「きゅい!」
ルーナ「はいはい、ゆっくり食べなさい。」
*完璧な日常。何も起きていない朝。ルーナの異空間収納の中に、リングが静かに眠っていることを、誰も知らなかった。*
*彼は朝食を何とか胃に押し込み、部屋に戻って着替える気力もなく、そのまま普段着の上からローブを羽織った。*
シロウ「着替えるのもダルい……。まぁ、正装は城に着いてからでいいか……。」
*宿の玄関に出ると、既にレイラが腕を組んで待っていた。昨夜の模擬戦と、その後の「就寝中の行為」を全く知らない顔で、堂々と立っている。レイラ自身もぐっすり眠れたようで、肌艶が良い。*
レイラ「遅いぞ、シロウ。妾を待たせるとは良い度胸じゃ。」
シロウ「すまん……なんか今日ダルくてな……。」
レイラ「ふん。昨夜の模擬戦程度で疲れるとは、衰えたか?」
シロウ「……かもな。」
*カイが馬車の手配を済ませ、ルーナがユキを抱えて合流した。ルーナはシロウの隣に立つと、何食わぬ顔で微笑んだ。ただし、シロウと目が合うと一瞬だけ視線を逸らした。*
ルーナ「パパ、顔色悪いね。大丈夫?」
シロウ「大丈夫大丈夫。ちょっと寝不足かな。」
ルーナ「……そう。無理しないでね。」
ルーナ(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。)
*八輝将のメンバーも続々と集合した。リオンは欠伸をしながら、アシュトンは手帳を片手に、ドルガンは昨夜のレイラの制裁の後遺症で顔が腫れたまま。イグニがドルガンの横で心配そうに飛んでいる。*
ドルガン「……もう酒は飲まねぇ……。」
リオン「顔パンパンっすね、ドルガンさん。」
ドルガン「うるせぇ……。」
*一行が城門に近づくと、ハシムが既に門前で待っていた。砂月王国の正装である白と金の衣を纏い、深く一礼する。*
ハシム「おはようございます、アストライア魔王陛下。本日の会談の件、我が王も首を長くしてお待ちです。謁見の間にご案内致します。」
シロウ「ああ、よろしく頼む。」
*ハシムの先導で、砂月王国の王城内部に入っていく。砂岩と金の装飾が美しい回廊を進みながら、ハシムが振り返った。*
ハシム「遺跡の調査報告、大変楽しみにしております。それと……陛下、本日お伝えしたい件が、もう1つございまして。」
シロウ「もう1つ?」
ハシム「はい。詳しくは謁見の間にて。」
*ハシムの表情が少しだけ硬くなった。彼の足取りに迷いはないが、どこか緊張が滲んでいる。*
カイ「父さん、何か追加議題があるみたいだね。」
シロウ「みたいだな。まぁ、行けば分かるだろ。」
*謁見の間の大扉が、目の前に迫っていた。*
ーー
*謁見の間の大扉が開かれた。砂岩の壁に金の装飾が施された広大な空間。奥の玉座には砂月王国の王——サラディン・アル=ハーシムが威厳ある姿で座っていた。白髪交じりの髭を蓄えた壮年の王は、彼らの入室を見て立ち上がった。*
サラディン「よく来た、アストライア魔王陛下。遠路はるばる、感謝する。」
シロウ「こちらこそ、お招きいただき光栄です。」
*一行は所定の位置に着いた。彼とレイラが前列、カイとルーナが後方、八輝将が左右に控える。ハシムは王の傍らに立った。*
*まず、遺跡攻略の報告から始まった。彼が口を開く。*
シロウ「まず、古代遺跡ピラミッド周辺に溢れ出した竜の討伐について報告します。総数およそ3000体。全て討伐完了しました。」
*謁見の間にどよめきが走った。大臣や文官たちが顔を見合わせている。3000体の竜。通常の軍隊なら壊滅する数だ。*
サラディン「3000……。それを数日で片付けたと?」
シロウ「はい。報酬として、2000体分の竜の死骸と親玉——巨大砂竜の死骸を我々の取り分としたいのですが。」
*ハシムが王に頷きかけた。事前に調整済みの内容だ。*
サラディン「無論だ。貴殿らの功績を考えれば当然の報酬。残りの1000体分はどうする?」
シロウ「そちらは砂月王国の訓練所に提供します。竜の素材は兵士の装備強化にも使えるでしょう。」
サラディン「ありがたい。砂月の民を代表して感謝する。」
*王が深く頭を下げた。大臣たちも続いて礼をする。ここまでは順調だった。*
*彼はルーナと視線を交わし、小さく頷いた。ここからが本題だ。*
シロウ「それと……遺跡の調査中に、もう1つ重大な発見がありました。」
*謁見の間が静まり返った。*
シロウ「遺跡の最深部、B10フロアの機密区画で——『GENESIS計画』と呼ばれる古代の研究資料を発見しました。」
*ハシムの表情が変わった。王も身を乗り出す。*
シロウ「そして、その計画の産物と思われる存在——人造生命体『ガイア』を発見しました。」
*沈黙が落ちた。大臣たちが困惑の表情を浮かべ、互いに囁き合っている。*
サラディン「……人造生命体だと?」
ルーナ「はい。カプセルの中で生命活動を維持した状態で眠っていました。いえ……正確には、眠ったフリをしていました。意識があります。」
*ルーナが補足した。王の表情が険しくなる。*
サラディン「意識がある……。それは、我が国の遺跡から出たものだ。当然、砂月王国の管轄になるが——」
シロウ「そこについて、ご相談があります。」
*彼は真っ直ぐ王を見据えた。*
シロウ「ガイアは生きています。意思を持っています。遺物や財宝として扱うべき存在ではない。彼女の処遇について、きちんと話し合いたい。」
*謁見の間に緊張が走った。サラディン王は顎に手を当て、暫く沈黙した。*
*サラディン王が玉座から立ち上がった。*
サラディン「自ら確認せねば判断はできん。余も同行する。」
シロウ「え? いまから?」
サラディン「いまからだ。研究員も連れていく。ハシム、手配を。」
ハシム「既に待機させております、陛下。」
*用意周到だった。最初からこうなることを見越していたのだろう。ハシムが手を叩くと、白衣を纏った研究員が3名、謁見の間に入ってきた。いずれも古代遺跡の専門家らしく、手には分析用の魔導具を抱えている。*
レイラ「ふん。王自ら腰を上げるとは、なかなかの行動力じゃな。」
サラディン「褒め言葉として受け取っておこう、魔王妃殿。」
*一行は城を出て、馬車で砂漠を進んだ。遺跡のピラミッドまでは馬車で半日ほどかかるが、彼が転移魔法を提案した。*
シロウ「全員触れていれば一度で飛べます。時間の節約になるかと。」
サラディン「……転移魔法か。噂には聞いていたが。」
*サラディン王、ハシム、研究員3名、そして彼の一行。全員が彼に触れ、一瞬で遺跡ピラミッドの前に転移した。砂漠の熱風が全員の髪を揺らす。*
サラディン「これは……。」
*王が目を見開いた。ピラミッドの巨大さに圧倒されたのだろう。しかし彼に感慨に浸る時間はなかった。*
シロウ「こちらです。」
*彼はIDカードを取り出し、ピラミッドの入り口に翳した。以前と同じように認証音が鳴り、重い石扉がゆっくりと開いていく。*
ルーナ「前回と同じルートで降りましょう。B10フロアまで直通の転送陣があります。」
*一行はピラミッド内部に足を踏み入れた。研究員たちが壁面の古代文字を見て興奮し、立ち止まりそうになるのをハシムが促す。*
ハシム「記録は後だ。まずはガイアの確認が先だ。」
*転送魔法陣を経由し、地下の巨大空洞へ。高層ビル型の遺跡が眼前にそびえ立つ。サラディン王の顔から余裕が消えた。*
サラディン「……こんなものが、我が国の地下に眠っていたのか。」
シロウ「B10フロアはこの先です。掌紋認証が必要ですが、前回偽造したデータが残っているはずです。」
*彼はビル内部へ一行を導き、エレベーターで最下層へ降りた。B10フロアの機密区画。厳重なセキュリティを再び突破し、あの部屋の前に立つ。*
*扉が開いた。*
*薄暗い研究室。無数のカプセルが並ぶ中、中央の1基だけが淡い光を放っている。その中に、銀色の髪をした少女が目を閉じて浮かんでいた。*
*ガイア。*
*研究員たちが息を呑んだ。サラディン王がゆっくりとカプセルに近づく。*
サラディン「……これが、人造生命体か。」
*カプセルの中で、ガイアの瞼が微かに震えた。昨日と同じだ。眠ったフリをしている。しかし意識がある。彼にはそれが分かっていた。*
シロウ「大丈夫、起きてもいいよ。何もしないから。」
*彼がカプセルに手を当てて優しく語りかけると、溶媒液の中でガイアの瞼がゆっくりと開いた。金色の瞳が、まずシロウを捉える。じっと見つめたまま、小さな手をガラスの内側に押し当てた。*
*研究員たちが息を呑む。サラディン王が一歩後退した。*
研究員A「生きている……本当に、意識がある……!」
*ガイアの視線がシロウから動き、背後に並ぶ人間たちを順番に見ていく。サラディン王、ハシム、研究員、レイラ、カイ、ルーナ。そして再びシロウに戻った。*
*溶媒液の中で、ガイアの唇が動いた。声は聞こえない。しかし口の動きは読める。*
ルーナ「……『誰』って言ってる。」
シロウ「昨日来ただろ。覚えてるか?」
*ガイアが小さく頷いた。そしてカプセルのガラスを指先でコンコンと叩いた。もう一度口が動く。*
ルーナ「『出して』……って。」
サラディン「待て。安全は確認できているのか?」
*王が警戒を露わにした。当然の反応だ。数千年前の人造生命体が、どんな力を持っているか分からない。*
*ガイアがサラディン王の方を見た。その表情が、明らかに不機嫌に変わった。溶媒液の中で腕を組み、頬を膨らませている。*
ルーナ「……『ガイアは危なくねーのだ。ハゲ散らかしたおっさんに言われたくねーのだ』って。」
サラディン「……ハゲ散らかして……?」
*王が自分の頭頂部に手を当てた。ハシムが必死に視線を逸らしている。大臣たちの間に微妙な空気が流れた。*
レイラ「ぷっ……くくく。」
カイ「母さん、笑っちゃダメだって。」
*ガイアは再びシロウに視線を戻した。ガラスに両手を押し当て、上目遣いで見つめてくる。その目には、昨日と同じ——孤独と、微かな期待が混じっていた。*
*研究員Bが分析魔導具をカプセルに翳した。*
研究員B「バイタルは安定しています。魔力反応は……これは……桁が、おかしいですね。計測不能と出ています。」
研究員C「溶媒液の成分は古代の保存液です。排出すれば外に出せますが……カプセルの開放権限は、このIDカードの持ち主にしかないかと。」
*全員の視線がシロウに集まった。*
サラディン「……アストライア魔王陛下。貴殿の判断に委ねよう。ただし、何かあれば即座に対処してもらう。」
*ガイアがガラスの向こうで、必死に頷いていた。「いい子にするのだ」と口が動いている。*
*彼は右手を掲げ、淡い光の結界をサラディン王、ハシム、研究員3名、そして八輝将のメンバーを包むように展開した。万が一の事態に備えた防護壁だ。*
シロウ「念のためね。」
サラディン「……ありがたい。」
*彼はカプセルの横にある赤いボタンに手を伸ばし、躊躇なく押した。*
*ゴォォォ……という重低音と共に、カプセル内の溶媒液が下部の排出口から流れ出していく。数千年間ガイアを包んでいた保存液が床に広がり、やがてカプセルのガラスがゆっくりと上方へ持ち上がった。*
*新鮮な空気がガイアの肌に触れる。銀色の髪から溶媒液が滴り落ち、彼女は自分で酸素マスクを外した。ぷはっ、と小さく息を吐く。*
*そして——裸のまま仁王立ちした。*
*小柄な体。銀色の髪が濡れたままで、肌は陶器のように白く、古代の人造生命体とは思えないほど人間らしい体つきをしていた。見た目は15、16歳程度の少女だ。*
ガイア「ぷはーっ! やっと出られたのだ!」
*金色の瞳がシロウを真っ直ぐ捉えた。*
ガイア「ありがとうなのだ、おにーさん! ガイアを出してくれたのだ!」
*仁王立ちのまま、胸を張って堂々と礼を言う。裸であることを一切気にしていない。研究員たちが慌てて目を逸らし、ハシムが咳払いをした。*
シロウ「はいはい、まず服着ような。」
レイラ「ほれ、これを使え。」
*レイラが異空間収納から黒いワンピースを取り出した。予備の着替えだ。彼がガイアの頭からすぽっと被せると、ガイアはぶかぶかのワンピースの中でもぞもぞと手を通した。裾が床を引きずっている。*
ガイア「おっきいのだ。」
ルーナ「……かわいい。」
*ルーナが思わず呟いた。ユキもガイアに興味津々で、ルーナの腕から身を乗り出している。*
ユキ「きゅい!」
ガイア「おっ、ちっちゃい竜なのだ! 始祖竜……? まだいたのだ!」
*ガイアがユキに手を伸ばすと、ユキは一瞬警戒したが、すぐにガイアの指先をぺろりと舐めた。*
*研究員Bが震える手で分析魔導具をガイアに向けた。*
研究員B「バイタル……完全に正常。身体機能に異常なし。魔力量は……やはり計測不能です。」
*サラディン王が結界の内側から、ガイアをじっと見つめていた。*
サラディン「……本当に、数千年眠っていた存在なのか。まるで普通の子供ではないか。」
ガイア「ガイアは普通じゃないのだ! すごいのだ! ……でもハゲのおっさんにはまだ教えてあげないのだ。」
サラディン「…………。」
*ハシムが必死に笑いを堪えている。レイラは隠す気もなく肩を震わせていた。*
*ガイアがシロウの袖をちょいちょいと引っ張った。*
ガイア「ねぇおにーさん。ガイアをここから連れ出してくれねーか?」
*彼が指折り数えながら自分のパーティーの構成を口にすると、謁見の間が静まり返った。*
サラディン「……今、何と言った?」
シロウ「いや、うちのメンバー構成の話です。魔王、魔王妃、元熾天使、世界樹、精霊王、精霊神、龍使い、深淵の根源体……まぁ、人造生命体が1人増えたところで誤差みたいなもんですよ。」
*サラディン王の顔が引きつった。ハシムが手帳に書き留めようとして、途中でペンを止めた。研究員たちは完全に思考が停止している。*
ハシム「……陛下、私の聞き間違いでなければ、今アストライア魔王陛下は精霊神と仰いましたか?」
サラディン「……余も聞いた。世界樹とも言ったな。」
ハシム「精霊王も。」
サラディン「……ああ。」
*2人の間に長い沈黙が流れた。*
レイラ「ふん。妾たちの国はそういう場所じゃ。今更驚くことでもなかろう。」
カイ「母さん、普通は驚くよ……。」
シロウ(……言ってないけど、ルクスは元光の神だし、ノアは原初の精霊だし。神が2人いるんだよな、うちの国。おかしい。どう考えてもおかしい。)
*ガイアがシロウの袖を握ったまま、目をキラキラさせていた。*
ガイア「すっげーのだ! おにーさんの所、つよつよ集団なのだ! ガイアもそこに入れてもらえるのだ?」
シロウ「まぁ、そうなるな。」
ガイア「やったーーーなのだ!」
*ガイアがぴょんぴょん跳ねた。ぶかぶかのワンピースの裾を踏んで転びかけたが、ルーナが咄嗟に支えた。*
ルーナ「危ないよ。」
ガイア「ルーナは優しいのだ!」
*サラディン王が深く息を吐いた。覚悟を決めた顔だった。*
サラディン「……条件を提示する。」
*王が指を3本立てた。*
サラディン「1つ。ガイアの身柄は貴殿に預けるが、砂月王国との定期報告を義務とする。年に1度、ガイアの状態を報告してもらいたい。」
シロウ「了解。」
サラディン「2つ。ガイアが暴走した場合、全責任は貴殿が負うこと。」
シロウ「当然。」
サラディン「3つ。……古代遺跡の調査に関して、今後も協力関係を継続すること。あの遺跡には、まだ解明されていない区画がある。」
シロウ「もちろん。こちらとしても願ったりです。」
*サラディン王が頷いた。*
サラディン「では、ガイアの身柄をアストライア魔導皇国に正式に委託する。書面は後日ハシムから送らせよう。」
ガイア「ハゲのおっさん、話が分かるのだ!」
サラディン「…………ハシム。」
ハシム「はい。」
サラディン「余はハゲているか?」
ハシム「……お答えを控えさせていただきます。」
*レイラが声を出して笑った。カイが額を押さえ、ルーナがガイアの口を慌てて塞いだ。*
ルーナ「ガイア、王様にハゲって言っちゃダメ。」
ガイア「むぐむぐ。」




