↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《R-15》異世界転移でスローライフを?  作者: THE・HENJIN・RlDER
205/265

311

311


*城内は慌ただしかった。衛兵たちが走り回り、伝令が飛び交っている。*


衛兵「陛下! 南門の関所で結界が反応しました! 3名が麻痺状態で拘束されています!」


シロウ「やっぱりな。詳細は?」


衛兵「はっ! 3名とも人間の男で、商人を装っていましたが、所持品から南大陸の紋章が刻まれた通信器具と地図が見つかりました。地図には我が国の国境線と主要都市の位置が記されています」


*彼の目が細くなった。予想通りだ。南大陸の連中が動き出している。*


シロウ「斥候か」


衛兵「おそらく。結界に触れた瞬間に3名同時に麻痺し、崩れ落ちました。現在、南門の詰所に拘束中です」


シロウ「分かった。すぐ行く」


*彼が転移魔法を発動し、南門の関所に降り立った。*


*南門の関所は、国土の南端に位置する山岳地帯の狭い峡谷に設けられている。天然の要害に加え、彼の結界が国境線を覆っている。悪意を持つ者が触れれば即座に麻痺する仕組みだ。*


*詰所に入ると、3人の男が床に転がされていた。麻痺は解けかけているが、魔力封じの枷が嵌められており身動きは取れない。全員日焼けした肌に、筋肉質な体つき。商人にしては体が出来すぎている。*


関所隊長「陛下、こちらが押収品です」


*テーブルの上に並べられた品々を鑑定した。*


シロウ(鑑定)


*情報が流れ込んでくる。*


通信器具――南大陸連合王国製。魔力で遠距離通信が可能。受信先は南大陸の軍事施設。

地図――アストライア周辺の詳細な地形図。山脈の北側のルートが赤線で示されている。侵攻ルートだ。

短剣3本――毒が塗られている。南大陸特有の神経毒。

偽造商人証――精巧だが、鑑定の前には無意味。


シロウ「偵察部隊だな。しかも侵攻ルートまで調べてる」


*彼が拘束された男の一人の前にしゃがみ込んだ。麻痺が解けかけた男が、彼を睨みつけた。*


シロウ「よう。遠いところからご苦労さん」


南大陸の兵士A「……貴様、何者だ」


シロウ「ここの王様。で、お前らは南大陸連合王国の斥候だろ? 何が目的だ」


*男が口を閉ざした。訓練された兵士だ。簡単には喋らない。*


シロウ「まぁいいや。通信器具の受信先から辿れば全部分かるし」


*彼が通信器具を手に取り、魔力を流した。受信先の座標が浮かび上がる。南大陸の南西部、軍事要塞の位置だった。*


シロウ「――第一部隊、聞こえるか」


*念話を飛ばした。*


リオン『はい、陛下。聞こえてます』


シロウ『南門で斥候3名を拘束した。南大陸連合王国の軍事偵察だ。通信器具から座標を送る。ルナと一緒に情報を洗ってくれ』


リオン『了解っす。……またキナ臭い話ですね』


シロウ『ああ。』


シロウ「隊長、部下に他の門から少し増援させるように指示を。怪しい奴がまた来たらそのまま通して結界に触れさせろ。どうせまた痺れる。」

「それから周辺の詳細地図の確認を頼む。おかしな穴や洞窟があれば全部潰す事を許可する。」


関所隊長「はっ! 了解しました、陛下!」


*隊長が敬礼し、すぐに伝令を飛ばし始めた。彼は拘束された3人の斥候を見下ろした。麻痺が完全に解けたが、魔力封じの枷で身動きが取れない。3人とも彼を睨んでいるが、口を開こうとはしない。*


シロウ「喋る気ないなら別にいいよ。通信器具から全部辿れるし」


*彼が通信器具を異空間収納に放り込んだ。地図と毒短剣も同様に回収する。*


シロウ「隊長、この3人は地下牢に入れといて。飯と水は出してやれ。ただし接触は最小限で、会話の一切を記録。仲間内で喋る可能性がある」


関所隊長「承知しました。独房に分けますか?」


シロウ「いや、同じ房でいい。分けると黙る。一緒にすれば焦って何か話す」


関所隊長「なるほど……流石です」


*彼が詰所を出て、南門の関所を見上げた。山脈の峡谷に挟まれた狭い通路。天然の要害に加え、彼の結界が国境全域を覆っている。正面から攻めるのは不可能だ。だが――*


シロウ(問題は地下だな)


*彼が地面に手を触れ、探知魔法を広域に展開した。山脈の地下を隈なく走査する。岩盤、地下水脈、鍾乳洞――そして。*


シロウ「……あった」


*南門から東に3キロ。山脈の岩盤に、不自然な空洞があった。天然の洞窟ではない。掘削された痕跡がある。まだ浅いが、北に向かって掘り進められている途中だった。*


シロウ「隊長」


関所隊長「はっ!」


シロウ「東に3キロ、地下に掘削痕のある洞窟がある。多分まだ使われてる。調査隊を出してくれ。ただし突入はするな。入口を確認して報告だけでいい」


関所隊長「了解です! すぐに出します!」


シロウ「それと――」


*彼が空を見上げた。山脈の向こう、南大陸の方角。あの将校の顔が脳裏を過ぎった。*


シロウ『リオン、追加。南門の東3キロ地点に地下トンネルの掘削痕を確認した。斥候だけじゃない、本格的に侵攻準備を進めてる可能性がある』


リオン『……マジすか。思ったより早いっすね』


シロウ『ああ。ルナに南大陸の軍事動向を最優先で洗わせてくれ。八輝将全員に警戒態勢を通達。あと――カインとドルガンの第四部隊を南方に配置転換だ』


リオン『了解っす。……陛下、これ戦争になりますか?』


シロウ『準備はしておけ』


*念話を切った。彼は南の空を見つめたまま、ポケットに手を突っ込んだ。風が山脈を吹き抜け、髪を揺らした。白髪が数本、風に踊る。*


シロウ「……やれやれ。大学生活を満喫する暇もないな」


*彼が転移魔法を発動し、城へ戻った。*


シロウ「ルクスー パパだよー」


*部屋の扉を開けた瞬間、彼の目に飛び込んできた光景は――*


*ルーナがルクスの小さなぷにぷにの足を口に含み、はむはむしていた。ルクスはきゃっきゃと笑い声を上げ、小さな手をばたばたさせている。*


ルーナ「んむんむ……ルクスの足、もちもちで最高……はぁ……尊い……」


*さらにルーナは顔をルクスの腹に埋め、すーはーすーはーと深呼吸を始めた。完全に変態の所作だった。*


ルーナ「赤ちゃんの匂い……ミルクの匂い……はぁ……生きてて良かった……」


シロウ「………。」


*彼は扉を開けたまま数秒間固まった。ルミナが部屋の隅のソファに座り、紅茶を飲みながらその光景を見守っている。慣れた様子だった。*


ルミナ「あ、お兄ちゃん。おかえり」


シロウ「ルミナ、あれ止めなくていいの?」


ルミナ「もう諦めたわ。ルーナがルクスに危害を加えることはないし、ルクスも楽しそうだし」


*確かにルクスはきゃっきゃと笑っている。ルーナに足をはむはむされるのが面白いらしい。1歳児にとっては姉のスキンシップでしかない。*


ルーナ「あ、父さん。おかえり。ルクスが今『あー』じゃなくて『まー』って言ったんですよ! これは『ママ』の前兆では!? 天才では!?」


シロウ「いや、それは普通の成長過程だと思うぞ」


ルーナ「普通じゃないよ! ルクスは天才だし! 将来はきっとイケメン魔法使いになって世界を救うの!」


*ルーナが力説しながらルクスを抱き上げた。ルクスが彼の方に手を伸ばし、「まー」と声を出した。*


シロウ「お、ルクス。パパだぞー」


*彼がルーナからルクスを受け取った。小さな体が腕の中に収まる。ルクスが彼の顔を見て、にこーっと笑った。銀髪に金の瞳。ルミナの面影がある。*


ルーナ「あっ、ルクスを返してよ、父さん。まだ足のもちもちタイムが残ってるのに!」


シロウ「もちもちタイムって何だよ」


ルミナ「1日3回、各30分。ルーナが勝手に設定したの」


シロウ「スケジュール組んでんのか……」


*彼がルクスを抱いたままソファに座った。ルクスが彼の服の襟を掴んで引っ張る。ルーナが隣にぴたりと座り、ルクスの手を握ってぷにぷにしていた。*


シロウ「赤子の足をはむはむするのは辞めろ、やりたい気持ちは分かるが……」


ルーナ「えー、でもこのもちもち感は人類の至宝だよ? 父さんも触ってみなよ、この弾力」


シロウ「触ったことあるわ。それからな、ユキとも遊んでやれよ?」


*彼が後ろを振り返ると、ユキが部屋の入口にぬっと顔を出していた。始祖竜の巨体が廊下を塞いでいる。その頭の上にはメアが丸くなって座っていた。黒い毛並みが銀鱗の上で際立つ。*


ユキ「きゅいきゅい」


メア「にゃー」


ルーナ「あ、ユキ! メアも! 来てたの!?」


*ルーナがぱっと立ち上がり、ユキの鼻先に駆け寄った。ユキがルーナの顔をべろんと舐める。ルーナの顔がよだれまみれになった。*


ルーナ「ぶはっ……ユキ、相変わらず舐め方が豪快……」


ユキ「きゅい!」


*ユキが嬉しそうに尻尾を振った。尻尾が廊下の壁にぶつかり、ゴンッと鈍い音がした。*


メア「にゃあ」


*メアがユキの頭からぴょんと飛び降り、まっすぐ彼の膝の上に着地した。くるくると回ってから丸くなり、ゴロゴロと喉を鳴らし始める。彼以外には懐かないのに、彼の膝の上では完全にリラックスしていた。*


シロウ「よしよし、メア」


*彼がメアの背中を撫でながら、膝の上のルクスとメアを見下ろした。ルクスがメアに興味を示し、小さな手を伸ばしてメアの尻尾を掴んだ。*


メア「にゃっ!?」


*メアがびくっとしたが、相手がルクスだと分かると大人しくなった。ルクスがメアの尻尾をにぎにぎしている。メアは不服そうに耳を伏せたが、彼の膝の上という安全地帯にいるせいか、されるがままだった。*


ルミナ「あら、メアがルクスに触らせてる。珍しいわね」


シロウ「メアも分かってんだよ。家族だって」


ルーナ「ユキー見てみなよ。ルクスがメアの尻尾握ってるよ、可愛すぎない?」


*ユキが部屋に顔を突っ込み、ルクスとメアを覗き込んだ。ユキの巨大な顔がルクスの目の前に来る。ルクスがメアの尻尾を離し、今度はユキの鼻先にぺちぺちと手を当てた。*


ユキ「きゅい……」


*ユキが目を細めた。始祖竜が1歳児にぺちぺちされて嬉しそうにしている。カオスな光景だった。*


ルーナ「はぁ……尊い。この空間、尊すぎる。父さん、今の写真に残したい。記録魔法持ってない?」


シロウ「あるぞ」


*彼がぱちんと指を鳴らし、記録魔法を発動した。ルクスがユキの鼻をぺちぺちし、メアが膝の上で丸まっている光景が光の結晶に記録される。*


ルーナ「父さん、それ後で10枚複製して」


シロウ「何に使うんだよ…」


ルミナ「あの子、本当にルクスが好きね」


*ルミナが紅茶のカップを置き、苦笑した。浴室の方からルーナの「ルクスのおててー! ぷにぷにー!」という歓声と、ルクスの「きゃー!」という笑い声が聞こえてくる。*


シロウ「仲が悪いよりは……マシか」


*彼はソファに深く腰を沈めた。メアが膝の上でゴロゴロと喉を鳴らし、ユキが部屋の入口に顎を置いて目を閉じている。穏やかな時間だった。*


*だが、彼の頭の中には先ほどの南門の光景がちらついていた。掘削痕のある地下トンネル、南大陸連合王国の紋章が刻まれた通信器具、侵攻ルートが赤線で引かれた地図。*


ルミナ「……お兄ちゃん」


シロウ「ん?」


ルミナ「南門、どうだった?」


*ルミナの声のトーンが変わった。さっきまでの穏やかな妻の顔から、元熾天使としての鋭い目つきに切り替わっている。彼女は彼が戻ってきた時の表情を見逃していなかった。*


シロウ「斥候3名。南大陸連合王国の軍事偵察だった。侵攻ルートの地図と毒付きの短剣、通信器具を持ってた」


ルミナ「……それだけ?」


シロウ「地下にトンネルも掘ってた。東3キロ地点。まだ浅いが、北に向かって掘り進めてる最中だった」


*ルミナの目が細くなった。カップを持つ指先に僅かに力が入る。*


ルミナ「本気で来る気ね」


シロウ「ああ。リオンとルナに情報を洗わせてる。八輝将には警戒態勢を通達した。カインとドルガンの第四部隊を南方に回す」


ルミナ「……私も動くわ。神聖魔法の広域探知なら、地下のトンネルだけじゃなく、潜伏してる工作員も炙り出せる」


シロウ「いや、お前は大学の講義があるだろ。それに――」


*彼がちらりと浴室の方を見た。ルーナとルクスの楽しそうな声が響いている。*


シロウ「ルクスの傍にいてやれ。守りは俺がやる」


ルミナ「……」


*ルミナが立ち上がり、彼の隣に座った。肩に頭を預け、彼の腕に自分の腕を絡ませる。*


ルミナ「お兄ちゃん、一人で抱え込まないで。私はお兄ちゃんの妻なの。戦うことも、守ることも、一緒にやるって決めたでしょ」


シロウ「……ああ、分かってる」


*彼がルミナの髪をそっと撫でた。メアが膝の上で身じろぎし、ユキが薄目を開けてこちらを見ている。*


ルミナ「レイラにも伝えた?」


シロウ「まだだ。あいつに言ったら今すぐ南大陸に単騎で突っ込みかねない」


ルミナ「……それは確かに」


*2人の間に乾いた笑いが漏れた。レイラの過保護と好戦的な性格は、こういう時に厄介だった。*


ーー


*数日後――城の謁見の間。*


*南大陸からの使者が到着したとの報告を受け、彼は玉座に座っていた。隣にはレイラが立っている。いつも通りの傲慢な表情だが、使者の内容を聞いて眉がぴくりと動いていた。*


*扉が開き、南大陸の使者が入ってきた。中年の男で、外交官風の整った身なりをしている。その後ろに――小さな影が並んでいた。*


*10人の子供。全員女児。年齢はおそらく12歳から16歳ほど。痩せ細った体に薄汚れた衣服。首には奴隷の刻印が刻まれている。全員が俯き、怯えた目をしていた。*


使者「南大陸、レグナール連邦共和国より、友好の証として贈り物をお持ちしました。アストライア魔導皇国が奴隷を保護されていると聞き及び、これらの者を献上いたします」


*にこやかに言い放つ使者の顔には、計算された笑みが浮かんでいた。*


シロウ(なるほどな……)


*彼は内心で舌を巻いた。実に巧妙だ。受け取れば「奴隷を受け入れる国」という既成事実を作られる。拒否すれば「子供を見捨てた」という口実になる。そして全員女児というのは――*


*使者の視線がちらりとレイラに向いた。見た目17歳の小柄な黒髪の少女。魔王の妻。*


シロウ(……こいつ、レイラを見て俺の趣味だと思いやがったな)


レイラ「……妾を見て笑っておるのか、この使者は」


*レイラの声が低く響いた。琥珀の目が据わっている。明らかに殺気が漏れていた。*


使者「い、いえ、滅相もございません。ただ、魔王陛下の御妻君のお美しさに見惚れただけで……」


シロウ「レイラ、落ち着け」


レイラ「……ふん」


*彼が立ち上がり、玉座から降りた。子供たちの前にゆっくりと歩み寄る。10人の少女たちが一斉にびくりと震えた。*


*鑑定を発動した。*


*情報が流れ込んでくる。全員、一般奴隷。身体に外傷はあるが、内部に仕込まれた魔道具や呪術の痕跡は――あった。*


シロウ(やっぱりな)


*子供たちの体内に微細な追跡魔術が仕込まれている。位置情報を南大陸に送信し続ける発信器だ。さらに2人には記憶操作の痕跡があった。本人は気づいていないが、特定の条件下で起動する暗示が埋め込まれている。スパイ――いや、生きた爆弾だ。*


シロウ「使者殿」


使者「はい、陛下」


シロウ「随分と手の込んだ『贈り物』だな」


*使者の笑顔が一瞬固まった。*


シロウ「子供たちに追跡魔術を仕込んで、2人には暗示まで埋めてる。受け取った瞬間に城の構造と防衛情報を全部抜くつもりだったか? それとも、暗示を起動させて内側から混乱を起こすつもりだったか?」


*謁見の間が静まり返った。使者の顔から血の気が引いていく。*


使者「な……何のことか、分かりかねます」


シロウ「分かるだろ。お前の懐にも同じ紋章の通信器具があるしな。先日うちの関所で捕まえた。」


*使者の顔が蒼白になった。額に汗が滲み、膝が微かに震えている。彼の言葉が謁見の間に重く響いた。*


シロウ「これで2回目だな。今回は帰っていいぞ。しかし、次は無い。次やったら――戦争だ。いいな?」


*彼の声は静かだった。怒鳴りもしない。だからこそ、その言葉には絶対的な重みがあった。謁見の間に立つ衛兵たちの背筋が伸びる。*


使者「……っ」


*使者が唾を飲み込んだ。目の前の男が纏う圧が、尋常ではなかった。Lv.1000を超える存在が放つ気配は、それだけで人間の本能に訴えかける。*


使者「か、畏まりました……必ず、本国に伝えます」


シロウ「ああ、伝えろ。それと――」


*彼が使者の懐に手を伸ばし、通信器具を抜き取った。使者が目を見開く。*


シロウ「これ、今ずっと繋がってたろ。向こうで聞いてる奴にも直接言っとく」


*通信器具に魔力を流し、回線を開いた。*


シロウ「聞こえてるか、レグナール連邦共和国の将校殿。俺はアストライア魔導皇国の魔王、シロウ・ニシキ・アストライアだ。お前らの斥候も、地下トンネルも、子供に仕込んだ追跡魔術も暗示も、全部バレてる。次に手を出したら、お前らの国ごと消し飛ばす。これは警告じゃない、宣告だ」


*通信器具を握り潰した。破片がぱらぱらと床に落ちる。*


使者「ひっ……!」


レイラ「ふん。妾ならとっくに首を刎ねておるがな」


*レイラが腕を組み、使者を見下ろした。琥珀の瞳に殺意が宿っている。使者の膝が完全に崩れ、床にへたり込んだ。*


シロウ「レイラ」


レイラ「分かっておる。……今回は、な」


シロウ「隊長、使者を南門まで護送しろ。手荒にする必要はない。丁重にな」


衛兵隊長「はっ!」


*衛兵が使者を引き起こし、連れ出していく。使者は振り返ることもなく、よろよろと去っていった。*


*謁見の間に残されたのは、彼とレイラ、そして10人の少女たちだった。少女たちは一部始終を見ていた。全員が震えている。怯えた目で彼を見上げていた。*


*彼がゆっくりと少女たちの前にしゃがみ込んだ。さっきまでの威圧感を完全に消し、穏やかな声で話しかけた。*


シロウ「怖かったな。もう大丈夫だ」


*少女の一人が、ぽろぽろと涙を流し始めた。それが伝染するように、次々と泣き声が上がった。*


シロウ「お前たちを道具にした奴らが悪い。お前たちは何も悪くない。ここでは誰もお前たちを傷つけない」


*彼が立ち上がり、念話を飛ばした。*


シロウ『リーシア、謁見の間に来てくれ。子供が10人いる。全員衰弱してる。風呂と飯と着替え、あと医務室の手配を頼む。それから――体内の追跡魔術と暗示の解除は俺がやる』


リーシア『畏まりました、陛下。』


シロウ「ディスペル。」


*ディスペルの光が謁見の間を包んだ。淡い青白い光が少女たち一人一人の体を通り抜け、奴隷紋が焼け落ちるように消えていく。追跡魔術の術式が砕け散り、記憶操作の暗示が霧のように霧散した。*


*一瞬の静寂の後、少女たちの目から堰を切ったように涙が溢れた。首筋や腕に刻まれていた奴隷紋の痛みから解放され、頭の中にかかっていた靄が晴れたことを本能的に理解したのだろう。*


少女A「うっ……うぅぅぅっ……!」


少女B「い、痛くない……痛くないよ……!」


*最初に駆け寄ってきたのは、一番年下と思われる12歳ほどの少女だった。彼の腰にしがみつき、声を上げて泣いた。それに続くように、次々と少女たちが彼に抱きついてくる。*


シロウ「よしよし、もう大丈夫だ。誰もお前たちを傷つけない」


*彼は片膝をつき、頭を撫でてやった。少女たちの痩せ細った体は軽く、骨の感触が手に伝わる。どれだけの間、まともに食事を与えられていなかったのか。*


少女C「あ、あの……! 私を側室にしてください! ここに置いてください!」


少女D「わ、私もです! お願いします、どこにも行く場所がないんです……!」


少女E「こんなに優しくしてもらったの、生まれて初めてで……側室でも下女でも何でもしますから……!」


*3人の少女が真剣な目で彼を見上げた。行き場のない恐怖と、初めて触れた優しさへの必死のしがみつき。それが「側室」という形でしか表現できない。奴隷としての教育がそうさせていた。*


シロウ「いや、あのな――」


*背後から、ぞわりとした気配が這い上がってきた。*


レイラ「……ほう? 側室、と申したか?」


*振り返ると、レイラが腕を組んで立っていた。琥珀の目が笑っていない。口元は微笑んでいるが、その微笑みは明確に「死」を意味していた。*


レイラ「妾の夫に、側室。ふぅん。子供とはいえ、なかなか度胸があるではないか」


シロウ「レイラ、相手は子供だぞ。怖がらせるな」


レイラ「分かっておるわ。だが、妾の所有物に手を出そうとする者には……年齢は関係ない」


シロウ「いや、誰が所有物だ…」


*少女たちがレイラの圧に怯えてさらに彼にしがみついた。状況が悪化している。*


シロウ「お前たちな、側室とかそういうのはいらない。ここでは自由に生きられる。飯も食えるし、学校にも通える。まずはちゃんと食べて、ちゃんと寝ろ」


少女C「で、でも……」


シロウ「心配すんな。ここから追い出したりしない。約束する」


*ちょうどそのタイミングで、リーシアが侍女たちを連れて謁見の間に入ってきた。*


リーシア「陛下、お待たせいたしました。浴場と食事の準備、それから医務室の手配も整っております」


シロウ「助かる。この子たちを頼む。全員衰弱してるから、最初は消化のいいものから」


リーシア「承知しております。さ、皆様こちらへ。温かいお風呂とお食事をご用意しております。」


ーー


*隠匿神を発動し、南大陸へ転移した。気配、魔力、存在感の全てを完全に消した状態で、レグナール連邦共和国の首都上空に浮かんでいる。*


*眼下に広がる街並みは、以前と何も変わっていなかった。*


*大通りでは奴隷商が堂々と人間を売買している。鎖に繋がれた男女が列をなし、値札のように札が首から下げられていた。子供もいる。痩せ細った体に擦り切れた布を纏い、裸足で石畳を歩かされている。*


*買い手の男が少女の口をこじ開けて歯を確認し、腕を持ち上げて筋肉の付き具合を品定めしていた。家畜と同じ扱いだ。*


シロウ(……相変わらずだな)


*街の中心部には巨大な闘技場があり、歓声が上がっている。奴隷同士を戦わせる見世物だろう。周囲には酒場や娼館が立ち並び、昼間から酔った兵士たちが闊歩していた。*


*彼は視線を軍事施設へ移した。通信器具から割り出した座標の場所だ。首都の南西部に位置する要塞で、高い城壁に囲まれている。鑑定を発動した。*


シロウ(兵力は……約10万。練度はまちまちだな。正規兵は2万程度、残りは徴兵された農民と奴隷兵か)


*要塞の中庭では訓練が行われていた。しかし統制が取れているとは言い難い。指揮官が怒鳴り散らし、兵士たちは怯えながら剣を振っている。恐怖で動かす軍隊。士気は低い。*


*彼が要塞の奥、司令部と思しき建物に意識を向けた。窓越しに中が見える。大きなテーブルを囲んで数人の将校が議論していた。*


将校A「使者が追い返された。しかも通信器具を通じて直接脅迫された。『国ごと消し飛ばす』だと」


将校B「はったりだろう。一国の王がそんなことをすれば、大陸中から非難を受ける」


将校C「だが、地下トンネルも見つかった。斥候も3名拘束されている。これ以上の工作は危険だ」


将校A「臆病者め。北の山脈の向こうには資源と土地がある。あの国は建国30年足らず。軍事力など知れている」


シロウ(……知れている、ね)


*彼は苦笑した。八輝将の一人でもこの要塞くらい単独で落とせる。*


将校B「問題は魔王だ。SSランク冒険者という噂もある。正面からぶつかるのは愚策だ」


将校A「だからこそ、次は別の手を使う。山脈の東側から海路で回り込む。海賊に偽装すれば、国家の関与を否定できる」


シロウ(海路か……)


*彼は腕を組んだ。新しい情報だった。次の手が海からの侵入。港町の防衛を強化する必要がある。*


*さらに鑑定で司令部のテーブルに広げられた地図を読み取った。アストライアの東海岸線に赤い矢印が3本引かれている。同時に3方向から海賊を装って上陸する作戦のようだ。時期は――*


将校A「次の新月。闇夜に紛れて3隻同時に出す。一隻は囮、残り2隻が本命だ」


シロウ(次の新月……あと12日か)


*彼は隠匿神を発動したまま、城の訓練所に転移した。*


*訓練所では八輝将の第一部隊、ルナが一人で短剣の型を繰り返していた。鋭い動きだが、どこか機械的で、彼女の暗殺者としての本質が滲み出ている。周囲に他の兵士はいない。昼の休憩時間だからだろう。*


*彼はふと悪戯心が湧いた。南大陸の偵察で張り詰めていた神経を少し緩めたかったのかもしれない。訓練場の壁に掛けてある練習用の短剣を一本借り、音もなくルナの背後に回り込んだ。*


*ルナは全く気づいていない。隠匿神の前では、彼女の暗殺者としての感覚も無力だった。*


*彼がルナの肩を掴んで引き寄せ、短剣を首筋に当てた。同時に隠匿神を解除する。*


シロウ「動くな」


ルナ「ッ――!!」


*ルナの体が一瞬硬直した。しかし次の瞬間、彼女の反応は暗殺者のそれだった。手に持っていた短剣を逆手に握り替え、背後の相手の腹を刺そうと腕を振るう。*


*だが、その腕が止まった。首に当てられた短剣の感触、肩を掴む手の大きさ、そして何より――匂い。*


ルナ「……陛下?」


シロウ「正解」


*彼が短剣を離し、笑った。ルナが振り返る。その顔は蒼白で、額に汗が浮かんでいた。*


ルナ「……………」


シロウ「お、怒ってる?」


ルナ「怒ってません。怒ってませんけど」


*ルナの手が微かに震えていた。暗殺者として背後を取られるということは、即ち死を意味する。しかも完全に気づけなかった。彼女のプライドがずたずたになっているのが見て取れた。*


ルナ「……本気で心臓止まるかと思いました」


シロウ「悪い悪い。ちょっとした訓練だよ」


ルナ「訓練で済ませないでください。あと1秒遅かったら陛下のお腹に穴が開いてました」


シロウ「それは怖いな」


ルナ「笑い事じゃないです」


*ルナが短剣を鞘に収め、深く息を吐いた。心拍を落ち着かせているようだった。*


ルナ「……で、陛下がわざわざ訓練所に来るということは、遊びだけじゃないですよね」


*さすがに鋭い。彼が表情を切り替えた。*


シロウ「ああ。南大陸を偵察してきた」


*ルナの目が暗殺者のそれに変わった。冷たく、鋭い。*


ルナ「……何か掴みましたか」


シロウ「次の新月、あと12日後。海路から3隻で来る。1隻が囮、2隻が本命。東海岸に同時上陸。海賊に偽装して国家の関与を否定するつもりだ」


ルナ「海賊偽装……姑息ですね」


シロウ「リオンと合流して、東海岸の港町の防衛計画を練ってくれ。あと、海上の哨戒網を強化する。新月までに間に合わせろ」


ルナ「了解しました。……陛下」


シロウ「ん?」


ルナ「次に背後を取ったら、本気で刺しますからね」


シロウ「その時は刺せ。相手は俺に変装するかもしれない。本物なら結界を常に張っているから遠慮すんなよ」


*ルナが一瞬目を見開き、それから真剣な顔で頷いた。*


ルナ「……了解しました。覚えておきます」


*訓練所の扉が開き、リオンが入ってきた。汗だくで、手には書類の束を抱えている。彼がルナの肩を掴んでいるのを見て、一瞬足を止めた。*


リオン「……何してんすか、陛下」


シロウ「ちょっとした訓練だ」


*彼がルナの肩から手を離した。ルナは何事もなかったかのように表情を戻し、短剣を腰に差し直している。ただ、耳の先が僅かに赤い。*


リオン「訓練ねぇ……ルナが顔赤いっすけど」


ルナ「赤くない」


リオン「赤いって」


ルナ「リオン。次その口開いたら縫う」


リオン「怖ぇよ……」


*リオンがげんなりした顔で書類をテーブルに広げた。彼の目がそれを捉える。南大陸関連の報告書だった。*


リオン「丁度よかったっす。陛下、通信器具から抜いた情報の解析が終わりました。ルナと共有しようと思って来たんすけど」


シロウ「タイミングがいいな。俺からも新しい情報がある。座れ」


*3人が訓練所の隅のテーブルを囲んだ。彼が南大陸で得た情報を共有した。新月まで12日、海路からの3隻同時上陸、海賊偽装の作戦。ルナとリオンの表情が引き締まっていく。*


リオン「海賊偽装か……通信器具の解析とも一致しますね。受信先は軍事要塞だけじゃなく、南大陸の東岸にある港町にも繋がってました。おそらく船の出港地点っす」


ルナ「港の名前は?」


リオン「ポルト・ネーロ。レグナール連邦の軍港で、非公式に海賊を雇ってる拠点っす。表向きは漁港」


シロウ「3隻の船の種類は分かるか?」


リオン「通信の断片から推測すると、中型のガレオン船2隻と、高速のカラベル船1隻っすね。カラベルが囮で、ガレオン2隻が本命。兵力はガレオン1隻あたり200人前後。合計で400から500ってとこっす」


ルナ「500程度なら、東海岸の守備隊だけで対処できますが……問題は上陸地点ですね。3方向同時なら戦力を分散させられる」


シロウ「だから事前に潰す。上陸させない」


*彼が地図を広げた。東海岸線に3つの港町がある。リオンが通信解析から割り出した上陸候補地点を赤丸で示した。*


シロウ「ルナ、お前は哨戒網の構築を担当しろ。海上に探知結界を敷く。船が接近した時点で察知できるようにする。リオンはカインとドルガンの第四部隊を3つに分けて各港町に配置。迎撃態勢を整えろ」


リオン「了解っす」


ルナ「……陛下、一つ確認です」


シロウ「何だ」


ルナ「沈めますか? それとも捕えますか?」


*冷徹な問い。暗殺者らしい。彼は少し考えてから答えた。*


シロウ「沈めろ、これは3回目だからな。何も気にせず全部潰せ。お前ら八輝将が暴れるのも許可する」


*その一言で、リオンとルナの空気が変わった。*


リオン「……マジっすか。全面許可?」


シロウ「ああ。海賊偽装ってことは、国家の関与を否定するつもりだ。つまり向こうも『なかったこと』にしたい。だったらこっちも遠慮なく消す。証拠も残さなくていい」


ルナ「……了解しました」


*ルナの目が暗殺者のそれに完全に切り替わった。瞳から温度が消え、口元が微かに弧を描く。嬉しそうだった。彼女にとって、全面許可とは鎖を外されたことと同義だ。*


ルナ「では、配置を提案します。東海岸の3つの港町――それぞれに八輝将を1組ずつ配置。囮のカラベル船は第一部隊の私とリオンで処理します。本命のガレオン2隻は、第四部隊のカインとドルガンに任せるのが最適かと」


リオン「俺とルナで囮っすか。楽な仕事っすね」


ルナ「油断しないで。囮にも兵は乗ってる」


リオン「分かってるって。で、第三と第五は?」


シロウ「第三のカイとゲオルグは本国の防衛に残す。万が一陸路から別動隊が来た時の保険だ。第五のユキとクロエは予備戦力として待機。何かあったら即座に投入する」


ルナ「第二のアシュトンとヴァイスは?」


シロウ「アシュトンには戦場の記録と情報収集を頼む。海賊偽装の証拠――船の紋章、武器の出所、兵士の身元、全部記録させろ。外交カードになる」


リオン「なるほど。沈めるけど、証拠は残すと」


シロウ「ああ。いざという時に『お前らがやったんだろ』って突きつけるためだ。外交ってのは殴るだけじゃ終わらない」


*リオンが感心したように口笛を吹いた。*


リオン「相変わらず抜け目ないっすね、陛下は」


ルナ「……一つ、お願いがあります」


シロウ「何だ」


ルナ「ガレオン船に乗っている兵士の中に、奴隷兵がいる可能性があります。南大陸は奴隷を前線に出す国です。奴隷兵は……殺しますか?」


*訓練所が静まった。リオンも口を閉じ、彼を見た。*


シロウ「……」


*彼は少し黙った。先日保護した10人の少女たちの顔が浮かんだ。泣きながら抱きついてきた小さな手。奴隷として使い捨てにされる命。*


シロウ「奴隷兵は殺すな。武装解除して捕虜にしろ。抵抗する正規兵だけを沈めろ。見分けがつかなかったら――ルナ、お前の目なら分かるだろ」


ルナ「……はい。目を見れば分かります。殺意のある者と、怯えているだけの者は違う」


シロウ「頼んだ。それと、カインとドルガンにも伝えとけ。あいつら加減を忘れるから」


リオン「了解っす。特にカインはやばいっすからね……前の戦で船ごと真っ二つにしてたし」


ルナ「ドルガンも。あの人、斧を振り始めると止まらない」


シロウ「そうだな…だったら肉を焼け。」


*リオンとルナが一瞬きょとんとした顔をした。「肉?」という表情が二人の顔に浮かんでいる。*


リオン「……肉っすか?」


シロウ「そうだ。奴隷兵ってのは碌に飯を食わされてない。南大陸の軍は奴隷を消耗品として扱う。出港前にまともな食事を与えるわけがない。だったら、上陸地点の風上で高級肉を盛大に焼け。匂いが海まで届くようにな」


*ルナの目が僅かに見開かれた。理解が追いついた瞬間、口元に笑みが浮かぶ。*


ルナ「……なるほど。空腹の奴隷兵に肉の匂いを嗅がせる。戦意どころか、足が止まる」


シロウ「飢えた人間に剣を握らせても、目の前に飯があれば戦えない。特に奴隷兵は自分の意志で戦ってるわけじゃない。命令で動いてるだけだ。本能に訴えかければ簡単に瓦解する」


リオン「『腹が減っては戦はできぬ』……いや、逆か。腹を減らしてるところに飯の匂いを嗅がせて戦意を奪うってことっすね」


シロウ「そういうことだ。奴隷兵が動かなくなれば、正規兵だけが上陸してくる。数は激減する。そこを叩けば被害は最小限で済む」


ルナ「奴隷兵を殺さずに済む確率も上がります」


シロウ「ああ。武装解除した奴隷兵にはそのまま肉を食わせてやれ。腹が膨れれば抵抗する理由がなくなる」


リオン「……陛下、それ天才っすわ。戦わずして勝つってやつじゃないすか」


シロウ「孫子の兵法だ。百戦百勝は善の善なる者に非ず、戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」


リオン「そんし?」


シロウ「気にするな。俺の故郷の偉い人の言葉だ」


*ルナが手帳を取り出し、素早くメモを取り始めた。*


ルナ「肉の調達は調理部隊に手配します。風向きの計算は精霊術師に依頼。焼き台の設置は上陸予測地点の風上500メートル。匂いの拡散範囲を最大化するために、油脂の多い獣肉を使用――」


リオン「ルナ、仕事早いな」


ルナ「当然です。陛下の作戦を完璧に遂行するのが八輝将の務めですから」


シロウ「よし。まとめるぞ。新月まで12日。配置は先ほどの通り。第一部隊は囮のカラベル船を処理しつつ、風上からの肉焼き作戦を実行。第四部隊はガレオン2隻の正規兵を迎撃。第二部隊は証拠の記録。第三部隊は本国防衛。第五部隊は予備。何か質問は」


リオン「ないっす」


ルナ「ありません」


シロウ「じゃあ動け。12日は短い」


リオン・ルナ「「了解!」」


*二人が敬礼し、訓練所を駆け出していった。彼は一人残り、腕を組んで天井を見上げた。*


シロウ「……さて、大学の講義の準備もしなきゃならないんだが」


*魔王と臨時講師の二足の草鞋は、思った以上に忙しかった。*

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。