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*笑いが収まりかけた頃、寝室の扉が静かにノックされた。*
リーシア「失礼いたします、陛下」
*リーシアが扉を開け、恭しく一礼した。その表情はいつもの狂信的な忠誠心を抑え、公務の顔になっている。*
リーシア「お寛ぎのところ申し訳ございません。東南方面のメッセニア王国より、正式な使者が参っております。国書を携えており、陛下への謁見を求めているとのことです」
シロウ「メッセニア?」
*彼は首を傾げた。名前には聞き覚えがある気がするが、具体的な記憶が浮かんでこない。何十年も前のことだ。*
シロウ「東南……ああ、大陸の南東寄りにある王国か。何の用だ?」
リーシア「国書の封は陛下の御前でなければ開けられぬとのことです。ただ、使者の態度は丁重で、敵意は感じられません。使者団は5名。護衛騎士3名と文官1名、そして……」
*リーシアが一瞬、言葉を選ぶように間を置いた。*
リーシア「使者団の長が、メッセニア王国第一王女シャーロット・フォン・メッセニア殿下ご本人です」
シロウ「王女が直接?」
*彼の眉が僅かに上がった。一国の王女が使者として直接赴くのは、外交上かなり異例のことだ。よほどの案件か、あるいは個人的な理由があるか。*
レイラ「王女が自ら来るとは、余程のことだな。それとも……お主に何か心当たりでもあるのか?」
シロウ「いや、全く」
*本当に覚えていなかった。20代の頃、西大陸のゾル・ガゼルの闇市で迷子の王女を護衛に引き合わせた記憶など、数え切れない冒険の中に完全に埋もれていた。*
ルミナ「……女の王女ね」
*ルミナがルクスを抱きながら、じとりとした目で彼を見た。*
シロウ「何だよその目は」
ルミナ「別に。お兄ちゃんの周りには女しか寄ってこないなって思っただけ」
レイラ「妾も同意見だ」
ルーナ「父さん、またフラグ立てたの?」
シロウ「立ててない」
*リーシアが咳払いをした。*
リーシア「如何なさいますか。現在、使者団は迎賓館の応接室にてお待ちいただいております。ルクス様のご誕生直後ですので、日を改めることも可能ですが」
シロウ「うーん、先に片付けるか…」
*ルーナが目を輝かせて飛び跳ねた。*
ルーナ「絶対フラグ立てたでしょ父さん! 王女が直々に来るとか、もう確定じゃん!」
シロウ「何のフラグだよ」
ルーナ「ラブコメフラグに決まってるじゃん! 異世界転移者が過去に助けた王女が何十年越しに再会しに来るとか、もうテンプレ中のテンプレだよ!?」
シロウ「いや、だから覚えてないんだが」
ルーナ「覚えてないのがまた主人公ムーブなんだよ! あーもう、王女さま! 会いたい! 会いたい!」
シロウ「……そんなに会いたいなら一緒に謁見するか?」
ルーナ「行く行く行く! 絶対行く!」
*ルーナが拳を握りしめて興奮している。完全にオタクの顔だった。*
ルミナ「……私も行く」
シロウ「お前は安静にしてろ。産後だぞ」
ルミナ「王女がお兄ちゃんに会いに来たのに、私が行かない理由がない」
*ルミナの声は穏やかだったが、目が笑っていなかった。ルクスを胸に抱きながら、静かな威圧感を放っている。*
レイラ「妾も行く。当然だろう」
シロウ「お前らな……」
レイラ「何だ。妾はこの国の正妃だ。外交の場に同席するのは当然のことであろう」
*レイラが髪をかき上げた。理屈は通っている。だが、その目にはルミナと同じ種類の光が宿っていた。*
ライ(ノア)「あ、僕はルクスくんの子守してるね。ノアも赤ちゃんと遊びたいって言ってるし」
ノア(内側)『ぷにぷにしたいっす!』
ルミナ「……ライなら任せられる。ルクスをお願い」
ライ(ノア)「うん、任せて」
*ルミナがゆっくりとベッドから降りた。まだ体に力が入りきっていないが、彼の腕を掴んで立ち上がる。*
ルミナ「お兄ちゃん、肩貸して」
シロウ「だから安静にしてろって」
ルミナ「嫌」
*一言で切り捨てた。彼はため息をつきながらも、ルミナの体を支えた。*
リーシア「では、謁見の間を準備いたします。陛下、正装に着替えられますか?」
シロウ「ああ、頼む」
*リーシアが一礼して去っていく。彼はルクスの頭をそっと撫でてから、ライに預けた。*
*――30分後。迎賓館、謁見の間。*
*彼は魔王としての正装を纏い、玉座に座っていた。右にルミナ、左にレイラ。ルーナは少し後ろに控えている。リーシアが扉の前に立ち、使者団の入室を待っていた。*
リーシア「メッセニア王国使者団、入室を許可いたします」
*大扉がゆっくりと開いた。護衛騎士3名と文官1名が先に入り、両脇に整列する。そして最後に、一人の女性が歩み入った。*
*深紅のドレスに金の装飾。蜂蜜色の髪が腰まで流れ、背筋はぴんと伸びている。年齢は30代半ばだろうか。かつての面影を残しながらも、歳月が気品と威厳を加えていた。*
*彼は内心で焦っていた。目の前の女性の顔に、微塵も見覚えがない。いや、あるような、ないような。30年以上前の記憶だ。冒険者時代に出会った人間など数え切れない。*
*ルミナが当然のように彼の膝の上に座り、ルーナがルミナの椅子を占領し、レイラが堂々と隣の椅子に腰掛けている。外交の場としては異様な光景だが、誰も突っ込まない。*
シロウ「えー、遠路はるばるご苦労さん。んで、なんか用?」
*文官が一瞬たじろいだ。大国の魔王の第一声がこれか、という顔をしている。護衛騎士たちも微妙な表情だ。しかし王女――シャーロットは動じなかった。むしろ、その口元に懐かしむような微笑みが浮かんだ。*
シャーロット「……お変わりないのですね。あの頃と同じ、飾らない物言い」
シロウ「……あの頃?」
*彼の脳が全速力で記憶を掘り返しているが、何も出てこない。ルミナが膝の上からじとりと彼を見上げた。*
ルミナ「お兄ちゃん、"あの頃"だって」
シロウ「いや、ちょっと待て」
シャーロット「やはり覚えていらっしゃらないのですね」
*シャーロットが小さく笑った。寂しさと諦めが混じった、大人の笑みだった。*
シャーロット「無理もありません。あなたにとっては些細な出来事だったのでしょう。ですが、私にとっては……人生を変えた一夜でした」
ルーナ「一夜!?」
*ルーナが椅子から身を乗り出した。目がきらきらと輝いている。*
ルーナ「父さん、一夜って何!? 何したの!?」
シロウ「知らん! 本当に覚えてない!」
ルミナ「……ふーん」
レイラ「……ほう」
*二人の視線が彼に突き刺さった。温度が3度ほど下がった気がする。*
シャーロット「ご安心ください、奥方様方。やましいことは何もございません」
*シャーロットが優雅に一礼した。それからまっすぐに彼を見つめた。*
シャーロット「30年以上前、西大陸のゾル・ガゼルの闇市。当時まだ若輩だった私は、護衛とはぐれて闇市に迷い込みました。危うく人身売買の商人に捕まりかけたところを、一人の黒髪の冒険者に助けていただいたのです」
*彼の記憶の奥底で、何かが引っかかった。闇市。迷子の若い女。護衛に引き合わせて、それっきり。*
シロウ「……あー」
シャーロット「思い出していただけましたか?」
シロウ「いや……うっすらと。たぶん」
シャーロット「"たぶん"ですか」
*シャーロットが苦笑した。それから表情を引き締め、懐から金の封蝋が施された国書を取り出した。*
シャーロット「本題に入らせていただきます。メッセニア王国は現在、南方の蛮族連合による大規模侵攻を受けております。国力では対処しきれず、このままでは半年以内に王都が陥落します」
*シャーロットが深く頭を下げた。蜂蜜色の髪が床に垂れる。一国の王女が、他国の王に頭を下げている。*
*彼の記憶が一気に蘇った。闇市の薄暗い路地裏。泣きそうな顔をした若い女。護衛を見つけて引き合わせた後、何故か「お兄ちゃん」と呼ばされた妙な記憶。*
シロウ「あ! 思い出した! シャルちゃんか!」
*シャーロットの目が大きく見開かれた。30年以上前、彼がふざけて付けたあだ名。まさかこの場で聞くとは思わなかったのだろう。*
シロウ「確か、レイラを買う前だったなぁー。あー懐かしい。もう30年前くらいか?」
*レイラの眉がぴくりと動いた。*
レイラ「……"買う"という表現はやめろ。事実だが」
ルーナ「え、待って。レイラ母さん"買われた"の?」
レイラ「色々あったのだ。今はいい」
*シャーロットの表情が複雑に揺れた。「シャルちゃん」という呼び名を聞いた瞬間、一国の王女としての威厳の仮面がほんの一瞬だけ剥がれ、あの頃の少女の顔が覗いた。*
シャーロット「……まさか、まだその呼び方を覚えていらっしゃるとは」
シロウ「いやー、名前は忘れてたけど、あだ名は覚えてた。"シャルちゃん"って呼べって俺が言われたんだっけ?」
シャーロット「逆です。私が"お兄ちゃん"と呼ばされたのです。半ば強制的に」
シロウ「あー、そうだったそうだった」
*ルミナの膝の上の体重が、ぐっと重くなった気がした。彼の太ももに爪が食い込んでいる。*
ルミナ「……お兄ちゃん。"お兄ちゃん"って呼ばせたの? 他の女の子に?」
シロウ「いや、あれはノリで」
ルミナ「ふーん。ノリで。私より先に」
シロウ「時系列的にはそうだけど、意味が違うから」
レイラ「お主、闇市で王女を拾って"お兄ちゃん"と呼ばせていたのか。妾と出会う前に」
シロウ「呼ばせてたっていうか……」
ルーナ「父さん、最高だよ。異世界ラブコメの教科書に載せたいくらいの過去エピソードだよこれ」
*ルーナが興奮して鼻息を荒くしている。完全にオタクモードだった。*
*シャーロットが小さく咳払いをした。頬がわずかに赤い。だが、すぐに表情を引き締めた。30年の歳月が彼女に与えた気品と忍耐が、その場を立て直す。*
シャーロット「……懐かしいお話はまた改めて。本題をお伝えしてもよろしいでしょうか?」
*シャーロットが国書を両手で差し出した。リーシアが受け取り、彼の元へ運ぶ。*
*彼は国書の封を切り、中身に目を通した。整然とした文字で書かれた内容は、予想以上に深刻だった。*
*メッセニア王国南部の複数の村が吸血鬼の襲撃を受け、住民の多くがハーフヴァンパイアと化している。王国軍では対処しきれず、吸血鬼の首魁は少なくともAランク相当の実力者。加えて蛮族連合の侵攻も同時進行しており、戦力の二正面作戦を強いられている。*
*そして、この依頼はメッセニア女王シャーロットからSSランク冒険者シロウへの「個人指名依頼」だった。*
シロウ「……王女じゃなくて女王になってたのか、シャルちゃん」
シャーロット「父が8年前に崩御いたしました。以来、私が国を治めております。"シャルちゃん"はやめていただきたいのですが」
シロウ「あー、悪い悪い。で、吸血鬼退治か。内容はわかった」
*彼は国書をテーブルに置き、腕を組んだ。ルミナが膝の上から国書を覗き込んでいる。*
シロウ「正直に言うと、俺にメリットがない。うちの国も色々忙しいし、タダ働きするほど暇じゃない」
*シャーロットは予想していたのだろう。動じることなく、静かに口を開いた。*
シャーロット「承知しております。ですので、対価をご用意いたしました」
*シャーロットが文官に目配せした。文官が恭しく一通の書簡を差し出す。*
シャーロット「私には娘がおります。エリーゼ・フォン・メッセニア。今年16歳になりました。先程、ご子息がお生まれになったと伺いました」
*彼の眉が上がった。*
シャーロット「エリーゼとルクス殿下の婚約を提案いたします。これにより、メッセニア王国はアストライア魔導皇国の同盟国として、永続的な友好関係を結ぶことができます」
*謁見の間が静まり返った。*
ルーナ「生まれて半日で婚約!? ルクス最速記録更新じゃん!」
ルミナ「……」
*ルミナの手が彼の太ももに食い込んだ。笑顔だが、目の奥が完全に据わっている。*
ルミナ「お兄ちゃん。うちの息子を、生まれたその日に嫁に出すの?」
シロウ「いや、まだ何も言ってないだろ」
レイラ「妾も反対だ。生まれたばかりの子に婚約など早すぎる」
*シャーロットが冷静に応じた。*
シャーロット「もちろん、正式な婚約は両者が成人してからで構いません。今はあくまで"内約"です。破棄も可能な形で」
*彼は顎に手を当てて考え込んだ。政治的には悪くない話だ。東南方面に同盟国を得ることは、国の安全保障にも繋がる。だが、息子の人生を生まれた日に決めるのは――。*
シロウ「……一つ聞いていいか。その娘、エリーゼってのはどんな子だ?」
*シャーロットの表情が一瞬だけ柔らかくなった。母親の顔だった。*
シャーロット「……頑固で、正義感が強くて、少し不器用な子です。私に似て」
シロウ「却下」
*彼は即答した。シャーロットの表情が僅かに強張る。*
シロウ「悪いけど、生まれたばかりの息子の婚約を対価にするのは受け入れられない。それに、SSランクなら他の大陸にもいるだろう? わざわざ俺に頼む必要はないはずだ」
シャーロット「……他のSSランク冒険者には既に打診いたしました。しかし、吸血鬼の首魁がS級を超える可能性があること、そして報酬面で折り合いがつかず――」
*その時、謁見の間の扉が勢いよく開いた。*
カイ「父さん、俺が行く」
*カイが大股で歩み入った。精霊神としての威圧感を纏いながらも、その表情は真剣そのものだった。*
カイ「吸血鬼退治だろ。実戦経験が欲しいって話、丁度いい」
*カイの後ろから、リオンがひょっこり顔を出した。*
リオン「楽しそうじゃないっすか。ドラゴン周回より人助けの方がモチベ上がるんですけど」
シロウ「お前、ドラゴン周回101回やるって覚悟決めたばっかりだろ」
リオン「いや、それはそれとして。吸血鬼のが新鮮でいいなって」
*シャーロットがカイを見た。その瞬間、彼女の顔色が変わった。カイの奥に潜む精霊神の気配を、歴戦の女王の勘が捉えたのだろう。*
シャーロット「……この方は」
シロウ「息子のカイだ。ルクスじゃない方の」
シャーロット「もう一人、ご子息が……」
ルーナ「娘もいまーす!」
*ルーナが後ろから手を振った。シャーロットが驚いた顔で彼を見る。*
シャーロット「……随分と、お子さんが多いのですね」
ルミナ「多いわよ。全部で6人」
レイラ「妾の子が4人だ」
ルミナ「私の子が2人」
*ルミナとレイラが何故か張り合い始めた。シャーロットが困惑している。*
シロウ「で、カイ。行くって言うのは勝手だが、相手はS級以上の吸血鬼だぞ」
カイ「だからいいんだ。大迷宮の周回だけじゃ足りない。実際に命がかかった戦場で戦わなきゃ、本当の強さは身につかない」
リオン「あと俺、吸血鬼と戦ったことないんで。経験値的に美味しいかなと」
シロウ「お前はもう少し真面目に考えろ」
リオン「真面目っすよ。八輝将として、同盟候補国の支援は立派な任務でしょ」
*彼は腕を組んで考え込んだ。確かに、カイとリオンを送り込むのは悪い手ではない。カイは精霊神として覚醒途中であり、実戦は成長に不可欠だ。リオンも八輝将として場数を踏む必要がある。*
*シャーロットが彼の思案を読み取ったように、一歩前に出た。*
シャーロット「……婚約の件は撤回いたします。代わりに、軍事同盟の締結と、メッセニア産の希少鉱石の優先取引権を対価としてご提案いたします」
シロウ「希少鉱石?」
シャーロット「メッセニアの南部鉱山では、ミスリルとアダマンタイトが産出されます。現在は蛮族に鉱山も…」
*シャーロットの表情が固まった。文官も護衛騎士たちも動きを止めている。*
シロウ「……ん…? それだけ? オリハルコンやヒヒイロカネは?」
シャーロット「……は?」
*シャーロットが目を瞬かせた。オリハルコンは伝説級、ヒヒイロカネは神話級の鉱石だ。それを当然のように口にする彼に、使者団全員が絶句している。*
シロウ「アダマンタイトくらいその辺の使われなくなった廃鉱山でも出るぞ?」
シャーロット「……アダマンタイトが"その辺"で出る国は、この大陸には存在しませんが」
シロウ「うちは出るんだよ」
*シャーロットの顔に、かすかな引きつりが浮かんだ。メッセニア王国が切り札として提示した希少鉱石の優先取引権が、一瞬で価値を失った瞬間だった。*
シロウ「まあ、その辺は成功報酬って事で後で決めるわ」
シャーロット「……後で、とは」
シロウ「吸血鬼を倒してから、改めて交渉するってことだ。こっちが何を求めるかは、現地の状況を見てからの方がいい」
*シャーロットが息を飲んだ。つまり、依頼自体は受ける方向で話が進んでいる。*
カイ「じゃあ俺が行くってことでいいんだな、父さん」
リオン「俺もっすよね? 吸血鬼、燃やせばいいんすかね」
シロウ「燃やせばいいって問題じゃないだろ。……カイ、リオン、それとルナも連れていけ。情報収集が必要だ」
リオン「ルナ連れてくんすか。あいつ現地で暗殺始めたらどうすんすか」
シロウ「だからお前が手綱握れって言ってんだよ」
リオン「俺の手綱が一番危ういんすけど……」
*シャーロットがカイをまじまじと見つめた。*
シャーロット「失礼ですが……この方は、一体どれほどの実力を?」
シロウ「精霊神だ」
*使者団が凍りついた。文官が国書を落としかけ、護衛騎士の一人が「せ、精霊神?」と声を裏返らせた。*
シャーロット「……冗談、ですよね」
カイ「冗談じゃないっす。あ、いや、冗談じゃないです」
*カイがリオンの口調がうつりかけて慌てて直した。*
ルーナ「カイ兄、リオンに染まってきてるよ」
カイ「うるさい」
ルミナ「お兄ちゃん。カイを行かせるのはいいけど、ちゃんと帰ってこさせてね」
シロウ「当たり前だろ。俺の息子だぞ」
レイラ「妾の息子でもある。万が一があれば、メッセニアごと消す」
*シャーロットの顔が青ざめた。冗談に聞こえない。実際、冗談ではない。*
シロウ「レイラ、外交の場で脅すな。……シャルちゃん、うちから精霊神と八輝将2名を派遣する。成功報酬は後日交渉。それでいいな?」
*シャーロットが深く頭を下げた。*
シャーロット「……感謝いたします。シロウ様」
*その目に、30年前の闇市で泣きそうだった少女の面影が、ほんの一瞬だけ重なった。*




