30話 もしかしてデート?⑤
浅香啓馬と京極晃、赤松英二、一色恵麻はガラスに張り付いていた。
「おい!晃、恵麻、英二!あっちゃんと会長ハグしてっぞ!ハグ!」
「うおっマジか!淳志の野郎も進んでんなぁ!写真撮ってやったぜ」
「まぁこの店はカップル推奨店だからね~。見なよあっちゃんなんて顔が赤くなってんじゃん」
「しかしまぁ……恵麻はともかくそちらの女子二人はどうなってんだよ」
英二の目線の先にはあわあわとしている梨奈と明菜がいた。
「あああああ、あっちゃんが美波会長とハグ……あわわ」
「嘘でしょ。ハグなんて幼稚園の時にイタズラでしてあげた以来じゃない。あの時もあわあわしてて……」
「園田さん?その話詳しくお願い」
二人は淳志を溺愛しているのでこのことは衝撃であった。
「もう~二人とも困惑しすぎだってww」
「まぁ会長とあっちゃんが仲いいのは知ってるけどな!妬いてんならお前らもハグしてくりゃいいだろ」
「恥ずかしくてできるわけないでしょ!」
「そうだよ~!」
啓馬は明菜と梨奈に思いっきり拳骨を食らうと晃は苦笑して。
「啓馬はこういう無神経なところがあるからなぁ……せっかく女子にモテんのに」
晃は暴君こと姉がいるためその手の感覚には敏感であった。と言うか姉が振られただ何だで散々こき使われたため女子に気を遣う性格になっていた。一人っ子の啓馬はそう言うことは無いようだが……
大体啓馬は2月14日には下駄箱がチョコレートで埋まるくらいには女子に人気があるのに女心に鈍感すぎるせいで何も気づいていないと言う。(淳志も良く埋まっているのだが彼の場合恋愛意識なのかアイドルへの単なる餌付けなのか友人の誰も良く分かっていない)ちなみに晃もたまに貰うが、ホワイトデーに返すのが面倒くさいのでそんなに欲しいとは思っていなかったりする。
そんなことを思っていると英二がその隣のテーブルのものを見つける。
「あれ?あれって武史先輩と優香先輩じゃね?」
その途端梨奈と明菜が復活した。武史と優香と言えば神崎美波率いる生徒会の副会長である。彼らがこのカップル向けの店にいるという情報は二人にとって(特に明菜にとっては生徒会の先輩としても)非常に興味をひくものであった。
「それで?武史先輩と優香先輩は抱き合ってるの?!」
「それ!マジでウチも気になる!」
「あぁ思いっきりハグしてるぜ!」
二人の期待に英二が思いっきり答える。
「熱いねぇ~生徒会の二人もw」
「武史先輩に春が来て。俺もうれしいぜ!」
「武史先輩。お前の野球部の先輩だもんな」
「まぁあの人より俺の方が上手いけどな」
類は友を呼ぶ。ノンデリなのは晃も同じであった。
武史と晃は野球部の先輩と後輩だ。美波と優香から淳志の話を何回も聞かされた武史であったが、本物に会いに行くのには気が引けた。それを偶然引き合わせたのが後輩であり淳志の親友の一人の京極晃だったのだ。趣味の野球で意気投合したこともあってそれ以来晃を介さずとも武史と淳志は良く話すようになった。
晃がそう回想していると恵麻が晃に声をかける。
「あれ?あっちゃんがこっち来るけど」
「トイレなんじゃねぇか?」
「そうかもね~」
恵麻がそう思って視線をずらしてしばらくした時下から声が聞こえてくる。
「皆お揃いで何してるの?」
「あ、あっちゃん……」
それは淳志が見上げてきた様子だった。




