26話 もしかしてデート?①
僕が休み時間に晃と話していると土岐さんが声をかけてきた。
「淳志サン!会長がお呼びデース!!」
あまりにも堂々と言い放つので
「淳志君。ビューティーウェーブでの買い物に付き合ってくれるかしら?」
ある日教室の前廊下を歩いていた僕に美波さんはそう声をかけてきた。
「え?僕ですか?」
「そうよ。あなたが良いのよ。今週末に一緒に来てくれるかしら?」
ここで僕が会長の言うことを断ったらどんな目に合うか知れたものではない。僕に首を横に振る選択肢などなく…
「はい分かりました。一緒に行かせていただきます」
僕は二つ返事で誘いを受けたのだった。
土曜日。僕が玄関の扉を開けると目の前に車が止まっていて、美波さんが立っていた。
「おはよう淳志くん。迎えに来たわ」
じゅ、重役出勤だなぁ…そのまま手を引かれて車の後部座席に乗る。
「どこ行くんですか?」
「ビューティーウェーブモールよ?」
「あぁ!あの駅前に新しくできたっていうショッピングモールですね。前に行ったことありますよ。意外ですね美波さんってお金持ちだからそう言う庶民的な店には行かないものだと」
「あら心外ね。私だって庶民的な感覚を養う様に教育されているわ。この国の大部分は庶民だもの。感覚忘れたら商売あがったりよ」
「凄い…凄いです美波さん」
やっぱり美波さんは凄い…僕より何歩も先を行っている。僕なんかじゃ到底追いつけないよ…
そう…僕は気づかなかったのだ。ビューティーウェーブって何を英語にしたものなのかについて…そして何故か知り合いによく会う羽目になることについても…
教室のドアの陰で明菜は絶句していた…
「デ、デート…あの会長とあっちゃんがショッピングデートするって言うの?!」
「うっ、マジかぁ…会長とそこまで進んでたの…」
梨奈もそれに追従する。
「ふ~ん。デートなんてすごいじゃん!ねぇ啓馬!晃!英二!」
「そうだな恵麻。こりゃ明日は赤飯でもたくか」
「そうすっか?」
「ハハハ啓馬、英二…それは早すぎだろう」
恵麻、啓馬、晃は笑いあう。しかし明菜は笑えない…
「バカ四強はこれだから…行くわよ偵察」
「えぇ~その時くらいあっちゃんも羽伸ばしてゆっくりしたいんじゃないかなぁ」
「いや…でも啓馬よ。アイツがデートしてる様子を見たくねぇか!」
「あ~ウチも見たいかも。あっちゃんが照れて顔赤くしてるとこ~」
「それもそうか!じゃあ行くか偵察!」
こうして6人は勝手にデートを見に行くことになったのだった。
本番の土曜日。ビューティーウェーブの駐車場に荒々しい車が入っていった。
中から数人の高校生が吐き出される。
「はぁ…はぁ…ちょっと晃!アンタのお姉ちゃんの運転バカ荒いじゃん。あれで良く教習所通ったと感心するよ…」
「悪いな恵麻…でもこれに付き合ってくれるの姉貴しかいなかったからさ…実際ラインしたら3秒で返信返して来たし…」
「当然よ。あっちゃんが生徒会長とデートしてるなんて噂を聞けば車を出したくもなるわよ」
明日香は運転席から降りると胸を張った。




