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004 〈木の枝〉

短めです。


一度書いていたのが消えてしまったので急いで書き直しました。不備があるかも知れませんので見つけた場合は報告お願いします。


ここまでの「モンスターラビット」の名称を「魔物兎」に変更しました。



カイは家の扉の前に居た。それは普段より大きく、重厚に感じ、カイの行く手を大きく阻む。


覚悟を決めて中に入る、そこには円を描く様に歩いているテノアの姿があった。 


「カイ!何処行ってたのよ、心配したじゃない!」


テノアは多少怒りながらも、安心した気持ちのほうが強く、安堵の息を漏らす。


「ごめん、母さん。もう大丈夫だから」


「そう?ならいいんだけど……」


そう言うとテノアはカイの手の方を見やった。


「その〈木の枝〉はどうしたの?」


「あ、いや、これは……よく分からない……」


カイ自身、本当に何か分からない為に下手な説明は出来ない。


「まぁ、要らない物なら庭にでも捨てて来てね」


「あぁ、分かったよ……」


話を終えたカイは部屋に戻る為に階段を登った。その手にはしっかりと〈木の枝〉が握り締められていた。



 ◇◇


窓から朝日が差し込み、顔を照らす。次第に暖まり、その温もりで目を覚ます。


久しぶりの戦闘が災いしたのか、カイはすっかり寝落ちてしまった。


昨日は改めて斬れないことを痛感させる1日だった。


だが今は不思議とブルーな気持ちでは無い。寧ろ清々しいくらいに感じている。


そんな久々に清々しい朝を迎えたカイは、部屋を見回す。


そこでふと、昨日貰った〈木の枝〉に視線を落とした。


そしておもむろに手に取り上げる。


「振ったら分かるって言ってたな……」


カイは〈木の枝〉を手に、庭へ向かった。




剣と同じ様に〈木の枝〉を構え、一歩踏み込んで〈木の枝〉を振るう。


それは知覚速度を遥かに超えるスピードで虚空を斬り裂く。


剣筋(?)の延長線上の地面は3mほどに渡って少し抉れていた。


「す、凄まじいな、これ……」


カイが驚いたのはその威力だけでは無い。体が昨日に比べて軽くなっていた。


頭と体が一体化しているかの如く体を動かせる。


その快感に身を委ねて何度も〈木の枝〉を振り下ろす。


そして何処からか丸太を持って来たカイは、それに向かって薙振るう。


その瞬間、丸太は()()()()になり、上部は放物線を描いて地面に落ちた。


初めて味わう斬れるという感覚、その何とも言えない感動に思いを馳せる。


暫く経って我に戻る。


「これなら……!」


カイは〈木の枝〉を手に握り締めて、何処かへ向かうのだった。




 ◇◇


カイは再び魔物兎と対峙していた。


互いの間に緊張が走り、臨戦態勢となっている。


カイはどうしても試さずにはいられなかった。


"〈木の枝〉なら俺も普通に斬れるのでは?"


その可能性を確かめる為に草原に再びやって来た。


カイと魔物兎は互いに睨みを利かせ、均衡を保っている。


数拍置いて、その均衡は魔物兎のほうから破られた。


勢い良く駆け出した魔物兎は加速を続け、一直線にカイに突撃する。


だが低級モンスターに分類されるだけあって、その速度に恐れ慄く事は無い。


魔物兎はカイの間合いの外で踏み切って飛び掛かるが、カイの一振りによってその体が2()()()()()()()


僅かながらに血を浴びるが、今はモンスターを()()()ことに対する喜びが勝っていた。


「まだ、諦める訳にはいかないな……」


『斬る』という何気無い事が出来るようになったカイは、『剣術学院入学試験』を受験する事を決意する。


それも〈木の枝〉を受け取ったところから全てが始まった。


しかし、それは『孤独の英雄』誕生の瞬間でもあった。



ブックマーク、評価をして頂いた方、そして読者の皆様、本当にありがとうございます!


これを励みに更新を続けていきたいと思います!


これからも私の拙作を宜しくお願いします!



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