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008 問題だらけの入学試験 その4

宜しくです。



クラウスが取り出した剣は異様に冷たい雰囲気を放っていた。


カイはその余りの異様さに思わず口が先走る。


「その剣は何か特別な物なのか?」


「いや普通の剣だが?まぁ強いて言えば爺ちゃんの形見ってくらいだな」


「そ、そうか……」


カイは何か恐(・)ろ(・)し(・)く(・)感(・)じ(・)た(・)自分のその感覚を疑いつつも、踵を返して定位置に戻った。


そしてカイが〈木の枝〉を抜くと、予想通りのざわめきが受験生達の間で起こる。


ただクラウスは何も言わずカイを見ているだけだった。


「お前はこれを見て何も思わないんだな」


「あぁ、そんな大したことか?」


予想外の返答にカイは驚嘆した。


これまで家族以外でそんな事を言う者は居らず、ただ馬鹿にされるだけだったカイにとっては喜ばしい事だった。


「良い勝負をしよう」


「ふっ……あぁ、そうだな……」


そして試験官がカイとクラウスの中間に立ち、合図の準備をする。


「両者構えて……始めっ!」


カイは相手の動きを観察する為に出方を見る。


それも〈木の枝〉を持ってからと言うもの、五感と身体能力が大幅に強化された。


その五感を持ってすれば相手を観察するなど容易い事であった。はずだった……


相手の出方を見るのはクラウスも同じ様で、余り不必要に動かない。


暫くの膠着(こうちゃく)状態が続き、このままでは埒が明かないと感じ、一歩踏み出そうと一回瞬きをした間にクラウスは眼(・)前(・)まで迫っていた。


「えっ……」


思わず驚愕の声が漏れる。


しかもクラウスは既に剣を振り下ろしている途中であり、考えるだけの時間も無かった。


そしてクラウスの、高い位置から振り下ろされた剣を感覚だけで予測し、受け止める。


「ほぉ……今のを受け止めるのか」


「まぁね……」


カイはクラウスの剣を弾き返し、一旦距離を取る。


剣を構え直し、地を蹴って距離を詰め、今持てる最高速に近い速さで剣を振る。


「【八方位斬り(オットディレクション)】」


だがカイの〈木の枝〉は容易く止められ、鍔迫り合いとなる。


「それで終わりか?」


クラウスが不満げに問い掛ける。


「いや、まだ俺の技は終わってないぞ?」


「なっ……ぐっ……」


クラウスは時間差でやって来た八つの斬撃をもろに受けて苦悶の表情を見せる。


【八方位斬り(オットディレクション)】、一振りで8つの斬撃を時間差で生み出す技。


これは入学試験までの3か月間の間に生み出した技の1つだ。


「はぁ……はぁ……油断したぜ。でもなぁ、それだけじゃ、足りないぞ?」


「あぁ、そんな事は承知の上だ」


今度はクラウスが一旦距離を取るために後ろに下がる。


カイはそれを空かさず追い、再び【八方位斬り(オットディレクション)】を使う。


だがクラウスは立ったまま動こうとしなかった。


さっきの一合の間に種は見破られている筈なのに……


カイは平静を保ち、疑念を抱きながら斬り掛かろうとしたその瞬間、8つの斬撃が一瞬で全て打ち消された。


それによりカイは一旦の足止めを喰らう。


「ふふ、ふははは、ふははははははは!!」


突如としてクラウスが不気味な笑い声を発する。


「楽しかったぜ、カイ=ヴェルナー。だがな、お仕事の時間だ」


「何を……?」


カイは信じられない光景を目の当たりにした。


満身創痍だった筈のクラウスの体の傷が全て綺麗に塞がっていたのだ。


「お前ら仕事だぞ!!」


クラウスがそう叫ぶと、何処か遠くから咆哮らしき声が聞こえた。


こうしてカイvsクラウスの戦いの第二幕が幕を開けた。

ブックマーク、評価をして頂いた方、そして読者の皆様、本当にありがとうございます!


これを励みに更新を続けていきたいと思います!


これからも私の拙作を宜しくお願いします!



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