007 問題だらけの入学試験 その3
※あからさまにセンスの無い技名が出て来ます。雑魚さを醸し出す為にわざとしているのでご容赦下さい……
ティナと対戦相手が中央の壇上へ上がり、それぞれが自慢の武器を構え、お互いに睨み合う。
すると対戦相手のアランと言う男子受験生が徐ろに口を開く。
「ティナ=キスト!今日はお前の胸を借りさせて貰うぞ!」
それに対しティナは微笑し、その男子受験生に言い放つ。
「えぇ、お好きにどうぞ」
試験官が両者の間に入る。
「それでは両者構えて……始めっ!」
アランは開始の合図と同時に駆け出し、その距離を瞬く間に縮めていく。
「うぉぉぉぉぉ、喰らえ!!【水剣】!」
アランが繰り出したのは【水剣】、剣の前にその属性の名を冠する技は一般には『属性』攻撃の超初級の技とされている。
勿論そんな技がティナに通用する筈も無く、一振りで軽く往なされてしまった。
「ふふっ、次は私の番ね?」
ティナはそう言うと、体の前面で構えていた剣を腰の横で構え直した。
その瞬間、大気が震え出した。
最初は僅かだった振動も次第にはっきりと分かる程にまで大きくなっていた。
修練場も決して古くは無いのだが、ガタガタと音を立てている。
「【暴走する竜巻】」
ティナはそう静かに言い放ち、剣を横に振るった。
聖剣【ラファール】を振ったその刹那、修練場内に巨大な竜巻が発生した。
その勢いは本物にも引けを取らず、受験生全てを飲み込むかのように―――
勿論アランは竜巻の中に飲まれ、その体が張り裂けそうな勢いで回転していた。
「目が、あぁ……天井が下に、あぁ、世界が……回ってるぅぅ……」
竜巻が消える頃にはアランは仰向けの体勢で、泡を吹いて気絶していた。
ティナはカイの方を見やる。
その目はまるでカイに語り掛けている様だった。
「次は貴方の番よ」と……
◇◇
ティナの模擬戦の後、試験官による修練場の点検の為に予想外の休憩が挟まったが、その後は滞り無く進んでいった。
そしてあのアルベールも派手に巨大な火柱を立て、勝利を収めた。
また暫くの時が経ち……
最終試合、カイの出番となった。
試験官からの呼び出しで中央の壇上に向かう。
その途中でふとティナと目があった。ほんの数秒だけ互いを見つめ合う。
カイは前に向き直り、対戦相手の確認を済ませようとするが壇上に相手の姿が無かった。
それから1分経ち、2分経ち、5分経ち……
制限時間の10分が迫ろうとしていた。
規則で、呼び出しから10分以内に壇上に上がらなければ無条件で不合格となる。
いよいよ試験官が動き出し、壇上に上がる。
「制限の10分が経った為、この試合は不戦勝と―――」
「すまん、遅れた」
そんな軽いノリで現れた男はいつの間にか試験官の背後に立っていた。
「う、うわぁぁ、何処に立っているんですか!?」
「何処って壇上だが?俺は受験生だぞ?」
「えっ……あぁ、貴方ですか。早く準備をして下さい」
「あぁ、分かったよ」
こうして奇妙な形で現れたカイの相手は見知った顔だった。
それは数時間前に入り口でぶつかったあの野太い声の男だった。
男は近づき手を差し出す。
「宜しくな、カイ=ヴェルナー。俺の名前はクラウス=シェーレンベルク、良い勝負にしようぜ」
「あぁ、こちらこそ」
カイは差し出された手を握り返し、その男の異様さを肌で感じた。
それは冷たく深い深海の様な雰囲気だった。
そして男の取り出した剣もまた、異様な雰囲気を放っていた。
少し要素が増えて来たので、入学試験の話が一通り終われば設定を纏めた物を投稿しようと思っています。
ブックマーク、評価をして頂いた方、そして読者の皆様、本当にありがとうございます!
これを励みに更新を続けていきたいと思います!
これからも私の拙作を宜しくお願いします!




