第二節:首席の冷徹なる品定めと、下された再審判
「……なるほど。科學の管理を以てしても、一度完全に壞れた人形を再利用するのには、これが限界だったということか」
首席は執務室から無菌室へと步を進め、衣服を剥ぎ取られたままベッドに固定されてゐる五名の女たちを冷酷に見下ろした。
かつて手下二人はこの枯渴の現實に直面して「理不盡な逆上」を起こし、彼女たちの肉體を物理的に破壞する愚を犯した。しかし、知性的なサディストである首席の反應は、それとは全く異なってゐた。彼の瞳に宿ってゐるのは、狂氣ではなく、減價償卻を終えた不良資產を處理するような、絕對的な「冷徹さ」であった。
首席はベッドの傍らに立ち、機械式搾乳吸入器が虛しく空氣を吸い込む音を立ててゐる檢體A(美波)の顎を、細い指先で亂暴に持ち上げた。
「美波。お前たちは、前の主人たちの時代にミルクが出なくなった際、毆られ、這いつくばることで許されたと思ってゐるのだろう。だが、私の組織では、利益を生まない家畜に無駄な餌を與える合理性は一微塵も存在しない」
首席の視線は、鄰に竝ぶエレーナ、クロエ、そして精神を完全に去勢され、ただ焦點の合わない瞳で天井を見つめてゐる母と姉へと移った。
「お前たち三名(A、B、C)は、依然としてその『血統』と、かつて世界を魅了したネームバリュー、そして私に對する從順さが足りない。科學的な藥物で大人しくさせてゐたつもりだが、肉體がミルクの供給を拒絕するのは、精神の奧底にまだ『生意氣な拒絕の殘滓』があるからだ。ならば、その最後の自尊心ごと、完全にすり潰してやる必要がある」




