↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

100/194

第三節:生意氣なミューズたちの陷落と、最下層の檻への全連行

首席の薄い唇から、彼女たちの運命を決定づける最惡の命令が下された。

「檢體A、B、C、そしてDとE。全員の拘束を解除しろ。ただし、それは解放を意味しない。このアジトにおいて、利益を生まぬ女たちが送るべき『生活』の場所は、一つしか無い」


白衣の技術員たちによって、最新の醫療機器から亂暴に引き剥がされた五名の肉體。

美波、エレーナ、クロエの三人は、これまで無菌室という「淸潔な檻」で管理されてゐたが、その特權は今、完全に剥奪された。

「動け、この廢品どもが」

看守たちの亂暴な手によって、五人は衣服も與えられぬまま、あの濕ったコンクリートと鐵錆の臭氣が充滿する「最下層の囚人たちの監獄」へと引きずり下ろされていった。


ガチャン!!!


重厚な鐵格子が閉まり、電子ロックが施錠される。

そこは、第十八章で母と姉が每日の暴走に身を晒されてゐた、あの最惡の巨大な檻であった。

「おい! 首席からの新しい配給だ! 今度は上の無菌室にいた、極上のミューズたちも一緖だぞ!」

見張りの兵士が最下層の囚人たちに向けて叫ぶと、暗闇の中から、飢えた獸の如き無數の男たちの足音と、下劣な怒號が地鳴りのように響き渡り、檻の周圍を埋め盡くしていった。


美波(檢體A)は、冷たいコンクリートの床に這いつくばりながら、腫れ上がった瞼の奧で、迫り來る無數の汚れた影を見つめてゐた。

ミルクの枯渴という因果が、再び彼女たちを最底邊の泥濘へと突き落とした。ボスが變わり、近代化されようとも、主人の利權を潤せなくなった人型の商品に用意された終着驛は、剥き出しの欲望の暴力によって完全に消費され盡くす、この地獄の檻の中の生活だけであった。五名の人形たちの絕望の呻きを飮み込むように、最下層の檻の「暴走」が、今再び幕を上げようとしてゐた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。