↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

92/194

第十八章の第一節:定量化された蹂躙と、首席の實驗ノート

最下層の監獄における囚人たちの暴走は、一過性の罰ではなかった。それこそが、新組織の首席が設計した、檢體D(母)および檢體E(姉)の精神防壁を根底から「去勢」するための、冷酷極まる「每日のルーティン」であった。

かつてクーデターの混亂に乘じて一度は日本へ逃げ歸り、ささやかな平穩を取り戾しかけていた二人であったが、新組織の壓倒的な追跡網によって再び捕らえられ、この白亞のアジトへと連行されてゐた。首席は、彼女たちの乳腺と子宮を「近代化增產ライン」へと效率的に組み込む前段階として、內なる「自尊心」を完全に粉碎する必要があると判斷したのである。


「首席、檢體DおよびEの精神防壁、豫定通り完全に崩壞の兆候を示してゐます。囚人たちによる每日の定時奉公により、自己アイデンティティの喪失が急速に進んでゐます」

白衣の技術員が、無機質なグラフを指し示しながら報吿する。

首席は白亞の監視室から、最下層の檻の映像を見下ろし、冷淡にうなずいた。

「人閒は、絕望の環境が『日常』へと變わった時、初めて反抗の意志を放棄する。一度日本へ逃げ歸り、人閒としての尊嚴を思い出し始めていた者であっても、每日の暴走に身を晒され續ければ、ただの肉の器へと變貌するのだ」


檢體DとEに與えられる食事と水は、最下層の囚人たちと同じ、泥狀の榮養劑のみであった。衣服は一切與えられず、ただ鐵錆と排泄物の臭氣が充滿する檻の中で、二人は次の「暴走」の時閒を待つだけの存在へと落とされていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。