↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/194

第三節:白亞の無菌室での再會と、絕望の共鳴

數日後、地下工場の可動式ベッドに固定されてゐた美波の耳に、重厚な電子ロックが解除される音が響いた。

腫れ上がった瞼の奧で、ぼんやりと視線を動かした美波の瞳に映ったのは、信じがたい、そして最も見たくなかった光景であった。

新しく增設されたブースのベッドへ、かつて自分と同じ地獄を經驗し、そして再び捕らえられた最愛の「母と姉」が、拘束具で完全に固定された狀態で運び込まれてきたのである。


「う……あ……お母、さん……お姉ちゃん……」

機械式搾乳吸入器を裝着された美波の裂けた唇から、魂を削り取るような絕哀の呻きが漏れた。

目を覺ました母と姉は、自らの胸部に裝着された冷たいステンレスの器具と、鄰のベッドで完全に「繁殖と搾乳の機械」へと成り下がってゐる美波の無慘な姿を見て、喉をかき消すような悲鳴を上げた。


「素晴らしい再會だな、美波」

ブースに現れた首席が、冷徹な品定めをする眼差しで、新たに竝べられた三體の「家族という名の檢體」を見下ろした。

「これでお前の利權は三倍となる。前の男たちのような無計畫な暴力は使わん。お前たち家族の血統を、この近代的な工場で極限まで有效活用してやろう」


「いやぁぁぁっ! 離して、離してよ!」

絕叫する姉の體に、容赦のないホルモン投與の注射針が突き立てられる。

美波、エレーナ、クロエの三人が辿ったあの終わりのない宿命の輪が、今度は母と姉の肉體をも完全に卷き込み、新たな「增產ライン」として稼働を始めようとしてゐた。機械の無機質な脈動音と、家族の絕望の嗚咽が白亞の空閒に冷酷に響き渡り、新組織の搾乳帝國は、さらなる狂氣と利權の深淵へと、一氣に加速していくのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。