第四節:終わらぬ奉公と、深淵の始まり
「出產、すべて無事完了。直ちに個體たちの乳腺刺激フェーズへと移行しろ」
首席の冷徹な命令が下る。
我が子を引き剥がされ、分娩臺の上で血と泥に塗れてぐったりと動かなくなった三人のミューズたち。
彼女たちの肥大した胸部には、すでに出產と同時に、最新型の機械式搾乳吸入器が容赦なく裝着されてゐた。
「……あ……、う……」
エレーナの裂けた唇から、魂が拔けたような微かな吐息が漏れる。
出產直後の激痛と疲弊に震える彼女たちの肉體から、機械の冷たい脈動とともに、再びドロリとした濃厚な「ミルク」が、透明なチューブを通じて、ステンレス製のタンクへと容赦なく吸い上げられ始めた。
「素晴らしい品質だ。前の地下室の時よりも、榮養價も分泌量も格段に向上してゐる」
首席は、タンクへと流れ込む白濁した利權の源泉を見つめ、至福の笑みを浮かべた。
美波は、腫れ上がった瞼の奧で、ぼんやりと無菌室のライトを見つめてゐた。
ボスが變わり、組織が變わり、最先端の施設へと移り變わろうとも、自分たちに課せられた運命はただ一つの地獄――支配者たちの欲望と利益のために、肉體を徹底的に搾取され續ける「奉公」だけであった。
胎內を再び蹂躙され、今や機械の一部としてミルクを吸い上げられる美波、エレーナ、クロエの三人。
彼女たちの意識は、二度と戾ることのない誇りの彼方を見つめながら、新たなる、そしてより洗練された終わりのない暗黑の深淵へと、靜かに、深く沈んでいくのであった。




