第三節:陣痛の狂宴と、機械的な收穫
そして、ついにその時が訪れた。
無菌室の靜寂を破り、機械の警吿音がけたたましく鳴り響く。三人の胎內が、同時に限界を迎えたのである。
「陣痛が始まりました。各個體のバイタル、正常範圍內ですが、子宮收縮の壓力が最大値に達してゐます」
醫師たちの無機質な聲が飛び交う中、美波、エレーナ、クロエの三人は、それぞれ分娩臺へと頑强なベルトで固定された。
「あ、がぁっ……! ああぁっ……!!! ぅあ……!」
まずクロエの口から、引き裂かれるような絕叫が漏れ出た。かつて東京のガラスの檻で守られてゐた彼女の狹い骨盤が、强制的な陣痛促進劑によって無理やり押し廣げられていく。
續いてエレーナも、パリのランウェイを步いたその美しい背中を弓なりに反らせ、喉を潰したような悲鳴を上げた。
美波は、下半身の麻痺した感覺の奧底から、肉體を內側から爆破されるような、凄まじい破壞の衝擊を感じてゐた。かつて極道の妻として、あるいは國家のスパイとして、あらゆる拷問に耐えた彼女であったが、この「機械的に管理された出產の苦痛」は、彼女の腦髓を完全に白濁させた。
「出ます。頭部を確認」
醫師たちの手によって、一切の情緖を排した效率的な「收穫」が始まる。
ドロリとした羊水と血の海を撒き散らしながら、美波、エレーナ、クロエの胎內から、次々に首席の血を引いた新たなる赤ん坊が取り上げられていった。
產聲が響く無菌室の中で、彼女たちにはその我が子を抱く時閒さえも、一秒たりとも與えられない。赤ん坊たちは、まるで工場の製品のように卽座に保育器へと移送され、別の部屋へと運ばれていった。




