第二節:肥大する肉體と、科學的品定め
妊娠中期を迎える頃、三人の肉體には、首席の冷徹な計算通りに變貌が訪れてゐた。
高榮養の點滴と嚴密なホルモン投與により、過酷な折檻で瘦せ細ってゐた彼女たちの五體は、異樣なほどに豐潤な肉付きを取り戾させられてゐた。
しかし、それは健康的な美しさでは決してない。ただ、次の「ミルク利權」を最大化させるために、乳腺と子宮だけを强制的に肥大化させられた、奇形的な肉體の構築であった。
首席は定期的に無菌室を訪れ、衣服を剥ぎ取られた彼女たちの肉體を、文字通り「家畜の品定め」のように檢分した。
「見事なものだ。美波、お前の胎內は實に强靭だな。これほど酷使されながら、なお私の種をこれほど忠實に育て上げてゐる」
首席の白く冷たい指先が、美波の大きく膨んだ腹部を愛撫するように、しかし冷酷に壓迫する。
「う、あ……ぐぅ……」
美波は拘束具に縛られた手足を僅かに震わせ、苦悶の聲を漏らした。その傍らでは、エレーナの美しい長い脚が、筋肉を萎縮させられたまま、ただ肥大していく腹部を支えるためだけにベッドに橫たわってゐる。クロエの無傷であった氣品も、今や過剩なホルモン劑の副作用による肌の火照りと、終わりのない屈辱の汗によって、完全に泥濘へと沈んでゐた。
「次の計畫はすでに動いてゐる。お前たちが產み落とす子供らは、次世代の構成員としての苗床とし、お前たち自身は、この新アジトの地下に新設した『近代化搾乳工場』にて、一本數十萬ドルのプレミアム・ミルクを永久に供給し續けるのだ。前の男たちのような粗惡な轉賣ではない。世界の富豪たちへ向けた、完全なるブランドとしての確立だ」
首席の言葉は、彼女たちに「死ぬことすら許されない永遠の奉公」を宣吿するものであった。三人は互いに視線を交わすことすら禁じられ、ただ白亞の天井を見つめながら、自らの胎內で育つ怪物の種子に、精神を內側から食い破られていった。




