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第十四章の第一節:白亞の無菌室と、定着のカルテ

最高權力者のアジト首席による、執拗かつ計算された蹂躙の日々から數ヶ月の時が流れた。

美波、エレーナ、クロエの三人が宛がわれたのは、かつての南アフリカの濕った地下室とは似ても似つかぬ、徹底的に衞生管理された「白亞の無菌室」であった。

最新の醫療機器が竝び、二十四時閒體制でバイタルデータが監視されるその空閒は、彼女たちを人閒として勞わるためのものでは決してない。ただ、新たな利權の苗床として、その肉體を最も效率的に「運用」するための近代的培養器に過ぎなかった。


「首席、檢體のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)値が豫定通り基準を超えました。三名とも、完全に定着してゐます」

白衣を纏った組織のお抱え醫師が、冷徹な聲でアジト首席に報吿する。

首席はアクリル窓の向こうで、ベッドに拘束された三人の女たちを見下ろし、滿足げに薄い唇を歪めた。

「素晴らしい。前の野蠻な手下どもは肉體を損壞させるばかりで效率を知らなかったが、科學的な管理下にあれば、彼女たちの『奉公』は無限に引き出せる」


美波は、己の腹部の奧底に、再びあの忌まわしい「異物の胎動」の豫兆を感じてゐた。

國家のスパイとして、かつて誇り高く生きてゐた彼女の精神は、すでに度重なる地獄によって磨り減ってゐたが、この新たな支配者がもたらす「淸潔な絕望」は、彼女の心の最奧に殘された最後の自尊心さえもじわじわと侵食していく。

エレーナとクロエもまた、自らの胎內に宿った首席の血脈を自覺し、腫れ上がった瞼の隙閒から、ただ感情を失った濁った淚を流し續けるしかなかった。世界の頂點にいたミューズたちの肉體は、今や新組織の最高權力者を潤すための、完璧にコントロールされた「繁殖機械」へと完全に成り下がってゐた。

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