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第四章:肉を斬らせて骨を斷つ
肉體の回復と破壞が繰り返される數ヶ月の閒、私は完璧な從順を演じ續けた。新ボスの要求するすべての奉公を完璧にこなし、男の求めるタイミングで完璧な屈辱の淚を流し、原型が變わるほどの折檻をただ無抵抗に受け入れた。
すべては、男の腦に「美波を完全に調敎し終えた」という致命的な錯覺を植え付けるための、命がけの布石。
そして、その夜が訪れた。
いつものように施錠された私室。新ボスは興奮で呼吸を荒らげ、私の顏を毆りつけていた。私の頬はすでに裂け、視界は血で赤く染まっている。男のボルテージが最高潮に達し、私を完全に屈服させたという萬能感に包まれるその瞬閒。
「どうだ美波! お前はもう、私のものだ!」
男が最後の一擊を振り下ろし、やり遂げた充實感から完全に脫力した、まさにその一秒。
私のカウントがゼロになった。
「――いいえ」
腫れ上がった唇から、私は數ヶ月ぶりに、鐵の意志を込めた聲を放った。
男が驚愕に目を見開いた瞬閒には、私の右手は動いていた。完璧な從順を演じる中で、寢臺のシーツのわずかな隙閒に數日前から隱し持っていた、毒見の際に密かに盜み出した超小型の暗殺用暗器。
私は步くたびに激痛が走る尻の痛みを精神力で完全に遮斷し、全身のバネを使って男の懷へと跳ねた。




