第三章:原型を失う肉體
しかし、男の狂氣はそれだけで終わるほど生易しくはなかった。精神的な蹂躙の果てに待っていたのは、最も凶暴で剥き出しの肉體的な破壞だった。
「その澄ました顏と、前ボスに捧げられていた肉體。どこまで私の暴力に耐えられるか、試してみよう」
背後の扉が重々しく施錠された瞬閒、私の背中に冷たい戰慄が走る。新ボスの手には、太い厚手の革鞭と、重厚な木製の平手が握られていた。彼のもう一つの趣味――それは、私の顏と尻を、元の形が分からなくなるまで苛烈に叩き潰すことだった。
「痛いか? 痛いと言ってみろ!」
寢臺に强引に押し伏せられ、着物を剥ぎ取られた尻に向けて、容赦のない打擊が何度も叩き込まれる。バチィィン!と室內に響く悍ましい音。肉が裂け、どす黑く內出血を起こし、元の滑らかな輪郭が完全に失われて熱く腫れ上がっていく。激痛で頭が眞っ白になり、呼吸が止まる。しかし、男は手を緩めない。私の髮を亂暴に掴んで仰向けにさせると、今度はその硬い平手が、私の顏面へと狙い澄まして振り下ろされた。
衝擊が腦を搖らす。視界が火花を散らし、口の中に鐵の味が廣がった。端正だったはずの私の頬は瞬く閒に非對稱に膨れ上がり、唇は裂けて鮮血が床に滴り落ちる。何度も、何度も、原型が變わるまで毆り續けられる。鏡を見るまでもない。今の私の顏は、見るも無慘に腫れ上がり、かつての美貌の面影など微塵も殘っていないだろう。
男は私を徹底的に破壞することで、「お前はただの私の玩具だ」という絕對的な恐怖を肉體に刻み込もうとしているのだ。暴行が終わった後、男は豹變したように優しい手つきで、傷だらけになった私の肌に冷たい藥膏を塗り込んでくる。激痛と、その後に訪れる奇妙な安堵。腦の機能を狂わせ、從屬を强いるための洗練された調敎の手口。
翌朝、回廊を步く私の姿は、あまりにも痛々しいものだった。顏は紫色に腫れ上がり、步くたびに激痛が走る尻を庇うため、足元は千々におぼつかない。すれ違う配下たちは、私の變わり果てた姿に息を呑み、新ボスの殘虐性に恐怖して目を背ける。
だが、私は死んでいない。
顏の形が變わろうとも、肉體が悲鳴を上げようとも、腫れ上がった瞼の奧で爛々と輝く私の眼光だけは、新ボスの首筋を正確に捉え續けていた。
毆られている閒、私はただ耐えていたわけではない。男の打擊の癖、興奮した時の呼吸の閒合い、そして「完全に破壞して滿足しきった瞬閒」に訪れる、一瞬の氣の緩みの秒數を、暗闇の中で正確にカウントしていたのだ。




