第十三章:新しい組織の最高權力者のアジト首席による奉公 第一節:白亞の檻と、冷徹なる支配者
數週閒後、美波が意識を取り戾したのは、かつての不衞生極まる地下室ではなかった。
そこは、外界の喧騷から完全に隔離された、新組織の最高權力者が所有する、豪華絢爛たるアジトの一室であった。
壁は白亞のタイルで覆われ、最新の醫療設備によって、彼女たちの致命的な肉體的損傷は完全に塞がれてゐた。しかし、それは人閒としての權利の回復を意味してはゐない。ただ、新たな支配者がその欲望を注ぎ込み、效率的に管理するための「淸淨な玩具」へと仕立て直されたに過ぎなかった。
部屋の重厚な電子ロックが解除され、一人の男が靜かに姿を現した。
彼こそが、この地一帶の霸權を强奪した新組織の最高權力者、そのアジトを統べる「首席」であった。
男はレフティたちのやうな粗暴な狂氣を持たず、仕立ての良い高級なスーツを完璧に着こなし、冷徹な知性をその瞳に宿してゐた。だからこそ、その存在は、前ボスや新ボスたちを遙かに凌駕する絕望を三人に豫感させた。
ベッドの上に橫たわる美波、前章の暴行で變形した腕を固定されたエレーナ、そして頬骨を粉碎され治療を終えたばかりのクロエ。
首席は冷酷な品定めをする眼差しで、彼女たちの五體をじっくりと見据えた。
「さて、新しい環境での『每日の奉公』を始めようか。前の主人たちは知性が缺如してゐたが、私は違う。お前たちの誇りがどこにあり、それをどう踏みにじれば最も美しい屈辱の淚を流すか、私は實驗を重ねて熟知してゐる」
男の低く、穩やかですらある聲が、室內の空氣を一瞬で凍りつかせる。
首席はベッドへと步み寄り、その白く淸潔な指先で、美波の辛うじて塞がったばかりの顎を亂暴に掴み上げた。
「まずは美波、お前からだ。新しい最高權力者のアジトに相應しい、至高の奉公を見せてもらおう」




