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第十二章:帝國の瓦解と終焉

原型を失った三人の女たちの掠れた悲鳴と、逆上した手下二人の狂った怒號が響く地下室の向こう側で、南アフリカの帝國は、最も凄慘で混沌とした「第十二章」の破滅へと向かって、一氣に加速を始めていた。


――ドゴォォォン!!!


まさに手下二人が狂ったやうにスパイク付きのベルトを振り下ろし、美波たちの肉體を破壞し續けてゐたその瞬閒、鼓膜を破らんとする凄まじい爆裂音が地下室の重厚な外壁を內側から粉碎した。コンクリートの破片と、視界を完全に奪う濃密な硝煙、そして强烈な爆風が室內に吹き拔ける。

「なっ……なんだと、貴樣ら……!」

レフティとジャックの二人が、その理不盡な逆上の思考を現實に引き戾し、腰の自動拳銃に手をかける暇すら、プロフェッショナルたちの前には存在しなかった。


闇を切り裂くやうに雪崩れ込んできたのは、利權を奪ひ返そうとする現地の別の巨大マフィアの精銳と、東京のコレクター・黑崎の無慈悲なる殘黨たちであった。彼らはタクティカルライトの强烈な光束で室內を照らし出し、狼狽する手下二人へ向けて、一切の躊躇なく銃口を向けた。


「動くな、閒拔けどもが」

冷徹な宣吿と同時に、消音器(サイレンサー)を裝着された銃口から、無數の鉛の彈丸が連續して吐き出された。

プシュ、プシュ、プシュという不氣味な金屬音とともに、レフティとジャックの肉體は瞬時に蜂の巢へと變へられていく。

「が、はっ……あ、俺たちの……帝國、が……」

大ボス氣取りで暴虐を盡くしてゐた二人の若い手下は、自らの血飛沫を天井に撒き散らしながら、何の抵抗もできぬまま泥人形のやうに床へと崩れ落ちた。ピクピクと四肢を痙攣させ、床の血溜まりをさらに廣げながら、彼らの淺薄な野心は、その歪んだ欲望の果てに完全なる死體へと還っていったのである。


銃聲が遠のき、靜けさが戾りつつある崩壞した地下室。

しかし、侵入者たちの目的は、決して彼女たちの救濟ではなかった。

「生存者は……三名。利權の鍵となる『美波』、そしてモデルの女たちです。いずれも原型を留めぬほど損壞してゐますが、バイタルは殘ってゐます」

部下の報吿に、侵入者たちの首領とおぼしき男が冷酷にうなずく。

「手厚く治療しろ。この女たちの『價値』は、まだ使い道がある。新組織の最高權力者のアジトへ直ちに移送しろ」

血と泥、そして男たちの汚濁に塗れ、意識を失ひかけてゐる美波、エレーナ、クロエの三人は、崩れかけたコンクリートの床から、新たな支配者たちの手によって亂暴に引き揚げられていった。南アフリカの地に紡がれた全ての因緣は、この暗い地下室の底で一度途切れ、さらなる洗練された深淵へと引き繼がれていく。

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