第二章:オークションと殘されたボスの手下二人 第一節:最高額の品評會
「これより、本夜のメインディッシュ、パリの至寶にして純無垢なるミューズ――クロエの競賣を開始する!」
地下金鑛跡を改造した祕密地下市場の熱氣は、最高潮に達していた。すり鉢狀の觀客席を埋め盡くす、世界各國のマフィアの首領、政財界の闇に生きる巨頭、不氣味な假面を被ったコレクターたち。彼らの視線が、ステージ中央の純白の臺座に注がれる。
そこには、傷ひとつない、世界中が絕贊した「綺麗なままの姿」で佇むクロエの姿があった。
新ボスの徹底した「商品管理」により、彼女の滑らかな肌、完璧な骨格、凛とした美貌は、何ひとつ損なわれていない。しかし、そのレザー製の高級な拘束具に繋がれた姿は、彼女がすでに一個の「最高級資產」へと貶められた事實を無慈悲に證明していた。
「見てみろ、あの無傷の輝きを!」
「新ボスめ、これほどの極上品をどこから仕入れてきた!」
VIP席の最上段で葉卷に火を燈した新ボスは、ビジネスマンとしての冷徹な笑みを浮かべ、電光揭示板の數字が狂氣的に跳ね上がっていくのを見つめていた。
「一千萬ドル!」
「二千萬ドルだ!」
「いや、我が組織が三千萬ドルで落札する!」
億單位の巨額の利權が秒單位で飛び交う中、クロエはただ、自分が最高値で世界中の裏社會へと切り賣りされていく恐怖に、傷ひとつない身體を小刻みに震わせることしかできなかった。




