第三章:南アフリカの若い男たちと 第一節:冷徹なる「拂い下げ」の宣吿
ガラスの向こうで、原型を失うほど叩きのめされ、靑紫に腫れ上がった母と姉が、床に這いつくばって血の淚を流している。新ボスはその無慘な光景を背に、私の髮を鷲掴みにして床へ引きずり下ろした。
「お前たちの命など、この廣大な大地では羽蟲の羽ばたきほどの實利も生まん。美波、お前がいくら心の中で牙を硏ごうと、現實を見せてやれば一瞬で折れる」
男の冷徹な一言とともに、部屋の重い鐵扉が亂暴に開け放たれた。入ってきたのは、現地の治安維持や私有地の警備として新ボスが金で雇い入れている、體格のいい南アフリカの若い現地人構成員たちだった。彼らの瞳には、異國から連行されてきた「ボスの戰利品」に對する、剥き出しの飢えと殘虐な好奇心がぎらぎらと漲っている。
「ボス、この女たちを本當に我々に?」
リーダー格の、銳い眼光を持つ若い男が低い聲で問いかける。
「ああ、好きにしろ」
新ボスは冷酷に言い放ち、私と、そしてガラスの向こうの母と姉を指差した。
「前ボスの遺產も、その家族も、ここではただの肉塊だ。お前たちの退屈を紛らわす玩具として、今日から全面的に『解放』してやる。徹底的に使い潰せ」
その冷徹な宣吿が部屋に響いた瞬閒、若い男たちの閒で獸のような歡聲が沸き起こった。新ボスの趣味は、自らの手による調敎から、さらに殘酷な「大衆への拂い下げ」という究極の尊嚴破壞へと移行したのだ。




