第二節:冷徹なる品評(母と姉の拘束)
扉の外側の廊下では、新ボスの冷徹な「選別」が始まっていた。
監視モニターに映し出される映像を、新ボスは私の髮を掴んで無理やり見せつける。
「美波はどこ!? 合わせてくれるって言ったじゃない!」
激昂する姉の胸元を、新ボスの側近が容赦なく毆りつけた。床に崩れ落ちる姉を庇おうと、母が泣き叫びながら男たちにすがりつく。日本の極道社會でも恐れられた新ボスの殘虐性は、この南アフリカの私有地において、何の法律も倫理も氣にすることなく、より純粹な「暴力」として發揮されていた。
「靜かにしろ。お前たちがここに來たのは、美波に會うためではない。美波の代わりに、我がボスの退屈を凌ぐためだ」
手際よく衣服を剥ぎ取られ、私と同じように冷たい床へと押し伏せられる母と姉。
新ボスは、彼女たちをただの「人質」としては扱わなかった。かつて私を原型が變わるまで叩き潰した時と同じように、彼女たちのプライドと肉體を內側から破壞し、その絕望の經過を、壁一枚隔てた部屋の私に音だけで傳えるための「道具」として定義したのだ。
姉の背中に、そして母の細い身體に向けて、大柄な執行人が手にする太い革鞭が振り下ろされる。
――バチィィン!!
防音壁をわずかに震わせる、重い打擊の振動。モニターの中で、姉が激痛に身體を仰け反らせ、母が聲を枯らして淚を流す。新ボスはその樣子を見ながら、私の車椅子をゆっくりと回し、私の腫れ上がった尻へと、自らの硬い平手を何度も叩き込んだ。
「向こうで母親が泣くたび、ここでお前の肉體を削る。お前たちの血が、この大地の砂にどれだけ染み込むか、試してみよう」
激痛が腦を突き拔ける。しかし、自分の痛み以上に、畫面の向こうで無慘に變形していく家族の姿が、私の心を內側から肉片に變えていくようだった。




