第三節:檻の中の調敎
「お前の母親と姉が、今どのあたりを飛んでいるか知りたいか?」
新ボスは、私の腫れ上がった頬を大きな手で亂暴に撫で回しながら、スマートフォンの畫面を目の前に突きつけた。そこには、成田空港から飛び立つ直前の、怯えきった母と姉の姿が鮮明に映し出されていた。
「あ、が……やめ、て……っ!」
變形した唇から、掠れた悲鳴が漏れ出る。身體を動かそうとするが、全身の筋肉が激痛で拒絕反應を起こし、ベッドの上で無樣に震えることしかできない。
「前ボスはお前を大切にしすぎた。だが私は違う。お前が絕望し、プライドを粉々に碎かれ、淚を流す姿を、お前の最愛の家族の前で完成させてやる。お前が私のために泣き叫び、許しを請う姿を見て、彼女たちはどんな顏をするだろうな?」
男の趣味は、南アフリカの渴いた地でさらに歪んだ進化を遂げていた。
新ボスは、私の肉體が完全に回復することを望んでいなかった。顏の形が變わり、尻の肉が爆ぜたあの無慘な狀態のまま、かろうじて命を繋ぎ止める最低限の手當てだけを施し、私を「破壞された戰利品」のまま家族に見せつけようとしているのだ。
每日、部屋にやってくる醫師によって、私の傷口に刺激の强い藥劑が注入される。肉が再生しようとするたびに、男はその上から輕い打擊を與え、傷口を再開裂させた。私の肉體は、元の美しさを取り戾すどころか、南アフリカの暑さの中で、いびつに變形したまま固まりつつあった。
家族がこちらへ向かっているという恐怖と、肉體を內側から削られる激痛。私は暗闇の檻の中で、文字通り精神が崩壞していく秒讀みを聽いていた。




