欲望の蹂躙と、消えゆく輪郭
「おい、本當に觸っていいんだな」
「新ボスの玩具だぞ。壞れるまで遊んでも文句は言われねえ」
最初に數人の男たちが、品定めをするような下卑た笑みを浮かべて壇上に上がってきた。私の顎を强引に掴み、すでに割れて血の滲む唇を指で手荒に割る。
「ひどい顏だな。新ボスのお氣に入りだった頃の面影がまるでねえ」
嘲笑とともに、無數の手が私の身體へと伸びてくる。新ボスの暴虐によってどす黑く內出血を起こし、元の滑らかな輪郭が完全に失われて熱く腫れ上がっていた尻へと、男たちの手の平や拳が容赦なく浴びせられた。
パン、パン、と肉を叩く乾いた音が、觀客たちの野蠻なコールに合わせて響く。
激痛に身をよじるたび、太い鎖がジャラジャラと悲鳴を上げ、私の身體を鐵の十字架へと激しく打ち付けた。
「おい、俺にもやらせろ!」
「順番だ、後ろに竝べ!」
解放の言葉に狂った構成員たちが、次々と壇上へ押し寄せてくる。
數十人、百人――終わりのない人閒の列。彼らは私を人閒としては見ていない。ただ、日頃の鬱屈を晴らし、自らの優位性を確かめるための、聲を上げない肉の塊として扱っていた。
私の顏面にも、次々と荒々しい平手や拳が叩き込まれる。新ボスに毆られ、かろうじて塞がりかけていた傷口がすべて彈け飛び、鮮血が瀧のように首筋を傳って流れ落ちる。腫れ上がった頬はさらに膨れ上がり、視界は完全に赤黑い血の膜で遮られた。
「あ、が……っ、あぁ……」
どれほど聲を殺そうとしても、執拗に繰り返される物理的な蹂躙と屈辱の前に、私の喉からは掠れた悲鳴しか出なくなる。その無慘な鳴き聲を聞くたびに、觀客席からは狂氣じみた歡聲が沸き起こった。かつて前ボスの傍らで誇り高く微笑んでいた「美波」という存在の尊嚴は、數百人の男たちの欲望の底へと、完全に沈められ、踏みにじられていく。
彼らの手が觸れるたび、私の皮膚は裂け、肉は靑紫に變色し、文字通り原型を失っていく。それは死よりも凄慘な、徹底的な存在の抹消だった。




