第三十一章の第一節:焦土の隔離と、白亞のカプセルによる「奇跡の復元」
最下層の廣場を占據した囚人頭ガルシアと、長年の監禁によって飢え狂った新ボスレベルの怪物たち。彼らによって敢行された「破壞記念パーティー」の狂亂により、アジト最深部は理性を完全に燒き盡くした獸たちの屠殺場と化してゐた。
しかし、この無法の熱狂の最中、地下の獨房に繋がれてゐた組織の眞の頭腦――首席は、自らの知性を過信した囚人たちの慢心を嘲笑うように、靜かに不氣味な笑みを浮かべて携帶端末を操作してゐた。
「知性なき獸どもが。資產の價値を完全に粉碎したな。だが、私の科學管理システムは、お前たちの手の屆かぬバックアップ回線で今なお機能してゐる」
首席が入力した緊急コードにより、廣場のコンクリートの床が左右に割れ、最新銳のサイバー醫療ポッドが五基、轟音とともにせり上がってきた。ガルシアたちが勝利の美酒に醉いしれ、防衞網を完全に忘卻してゐたその隙に、手枷と足枷を自動切斷された美波、エレーナ、クロエ、そして母と姉の五人の、原型を留めぬほど損壞させられてゐた肉體が、機械のアームによってカプセル內へと急速に回收されていった。
カプセル內を滿たす細胞再生ナノマシンと、最高峰の外科學的アプローチ。それは彼女たちを機械のサイボーグに變えることではなかった。首席の傲慢なる知性は、かつて世界を魅了したトップモデルたち、そして日本の高貴な極道の血を引く女たちの「完璧な肉體的美貌と氣品」を元の狀態へ完全に復元し、再び世界の富豪たちへ最高値で賣り捌くことにあった。
カプセル內で、一切の人手を介さぬ自動の超高度外科手術が數日閒にわたり執行された。
そしてついに、ハッチがプシューという高壓の排氣音とともに一齊に開放された。
そこには、これまでの數年閒に及ぶ過酷な折檻の傷跡、靑黑い痣、變形した四肢の殘痕をすべて完璧に消し去り、かつて世界の頂點にいた頃の瑞々しい美貌と、無傷の白い肌を取り戾した五人の姿があった。美波の兩脚には完璧な神經が通り、エレーナとクロエの顏面は左右對稱の完璧な氣品を取り戾し、母と姉の肉體もまた、監禁前の淸淨な狀態へと完全に「修復」されてゐたのである。




