第三節:去せられた人形たちの完全なる崩落
この、これまでの地獄のタイムラインを遙かに凌駕する「破壞の嵐」のなかで、一度は日本へ逃げ歸りながらも再捕縛されて精神を完全に去勢されてゐた母と姉も、全く同じ奈落へと引きずり込まれていった。
男たちの下劣な歡聲と、肉體を打ち据える卑猥な水音、そして骨をきしませる打擊の音が混ざり合い、廣場は完全に理性を失った獸たちの屠殺場の如き坩堝と化してゐた。
衣服を與えられず、大の字で床に釘付けにされた姿勢のまま、五人の人形たちの胎內は、最下層の男たちの汚濁に滿ちた精液と、傷口から流れ出る鮮血によって容赦なく滿たされていく。
美波は、床の血溜まりとこぼれ狂うミルクの混ざり合う泥濘に顏を伏せながら、自らの腦髓がこの壓倒的な密度の暴力によって完全に白濁していくのを感じてゐた。かつて國家のために戰い、どれほど過酷な折檻を受けても反擊の隙を狙い續けていた彼女の意志の殘骸も、この「利權そのものを粉碎され、原型すら留めぬほどに物理的に破壞し盡くされる」という絕對的な絕望の前には、ただドロリとした血の淚を流すことしかできなかった。
床一面に廣がった白濁と赤黑い血の海は、彼女たちの失われた尊嚴そのもののようであった。母と姉は聲すら上げず、ただ機械人形のように無言で痙攣を繰り返し、エレーナの美しい長い脚は筋肉を萎縮させられたまま泥のなかに轉がり、クロエの氣品は完全に汚濁の下に埋沒していった。




