第三節:奈落の玉座と、夜のルーティンの回歸
アジトの中央廣場へと辿り着いた頃には、五人の身體は打擊による無數の新しい痣と裂傷、そして男たちの汚濁と血によって、原型を留めぬほどに凄慘に損壞してゐた。
廣場の中央には、かつて首席が座してゐた仕立ての良い椅子が「奈落の玉座」として据えられ、そこにガルシアがどっかりと腰を下ろした。
「よし、パレードは終わりだ! 野郞ども、バケツを竝べろ! 勝利の美酒をさらに搾り出すぞ!」
ガルシアの命令とともに、五人は廣場のコンクリートの床へと再び亂暴に組み伏せられ、首のチェーンは玉座の足元へと固く卷き付けられた。衣服を與えられぬまま、再び裝着される搾乳機の不快な脈動音。
透明なチューブを通じて、囚人たちが獨占する白濁した利權の源泉が、ステンレスのバケツへとドロリと流れ込んでいく。
美波は、床の冷たさに顏を伏せながら、腫れ上がった瞼の奧で、アジト全體が完全に理性を失った獸たちの巢窟へと變貌した現實を、腦髓の芯まで理解してゐた。
ボスが變わり、主人が變わり、戰勝のパレードが行われようとも、自分たちに用意されてゐたのはただ一つの地獄――支配者たちの欲望を滿たし、その全能感を潤すための生贄。
狂ったように踊り、ミルクを貪り喰らう男たちの怒號が響き渡る廣場の眞ん中で、五人の人形たちは、明日からも永遠に續く「囚人專用の玩具」としての過酷な每日のルーティンを受け入れるように、終わりのない暗黑の深淵へと、どこまでも、どこまでも深く沈んでいくのであった。




