第二節:最惡の「收穫」と、血泥の產聲
「おい、ぐずぐずすんじゃねえ! 早く產み落とせ、この家畜どもが!」
ガルシアの命令を受けた粗暴な男たちが、一切の醫療知識を持たぬまま、檻の中へと雪崩れ込んできた。二人の看守を買收し、首席の目を盜んで行われていた每日の暴走。その結果として實った果實を、彼らは力任せに毟り取ろうとしてゐた。
エレーナのパリのランウェイを步いた美しい背中が、床の鐡輪に拘束されたまま、激痛のあまり弓なりに反り返る。左右非對稱に腫れ上がった彼女の顏面からは、苦悶の汗と淚が血の混じった泥水となって床に滴り落ちてゐた。
「出ねえなら、俺たちの力で引きずり出すだけだ!」
囚人たちは、四肢を固定されて動けない彼女たちの大きく膨んだ腹部を、文字通り上から力任せに踏みつけ、壓迫した。
――ミリミリ、ベキィッ!!!
骨の軋む不快な音とともに、美波の感覺のない下半身から、ドロリとした羊水と大量の鮮血が噴き出し、床のコンクリートを完全に赤黑い海へと變えていく。かつて國家のスパイとして、極道の妻として、あらゆる拷問を耐え拔いた美波の腦髓も、この手加減を完全に失った獸たちによる出產の强要の前には、完全に白濁し、ただ肉人形のように四肢を痙攣させることしかできなかった。
「出たぞ! 俺たちのガキだ!」
凄まじい悲鳴の渦の中、五人の胎內から、次々にガルシアらの血を引いた新たなる赤ん坊が、血泥の床の上へと亂暴に取り上げられていった。產聲が響く最下層の檻の中で、彼女たちには我が子を抱く時閒どころか、息を整える時閒さえも一秒たりとも與えられない。赤ん坊たちは、まるで戰利品のように囚人たちの汚れた手で揭げられ、そのまま薄暗いアジトの奧へと雜に運ばれていった。




