第二十七章の第一節:暗黑の陣痛と、解き放たれた獸たちの咆哮
ガルシアがアジト全體の權力を力づくで强奪した「下剋上」から數ヶ月、最下層の監獄には、もはや首席が敷いていた科學的な管理も、痛みを和らげる無菌の醫療措置も一微塵も存在しなかった。
コンクリートの床に打ち込まれたアンカーボルト、そこに繋がれた手枷と足枷によって、四肢を完全に固定されたままの姿勢を强制されてゐた美波、エレーナ、クロエ、そして母と姉の五人。彼女たちの、囚人たちの種子によって奇形的に肥大化した腹部は、ついに生物學的な限界點――すなわち、「二度目の同時出產」の瞬閒を迎えてゐた。
ピーーーという機械の警吿音の代わりに、地下室の冷たい空氣を引き裂いたのは、五人の肉體が同時に發した、肺を抉るような「陣痛」の絕叫であった。
「が……あ、がぁっ……! ぅあ、ああぁっ……!!!」
まず、東京のガラスの檻で守られてゐた過去を持つクロエの骨盤が、何の促進劑の調整もなく、野生の收縮壓力によって無理やり押し廣げられていく。四肢を開かれた狀態のまま床に釘付けにされてゐるがゆえに、身をよじって痛みを逃がすことすらできず、凄ましき破壞の衝擊がそのまま彼女の腦髓へとダイレクトに突き刺さる。
「ははっ! 始まったぞ、俺たちの種を產み落とさせ、最高の利權を俺たちだけで貪る狂宴だ!」
鐵格子の外で自動小銃を肩にかけた新大ボス・ガルシアが、濁った瞳に狂暴な歡喜をぎらぎらと滾らせ、何百人もの囚人たちとともに檻を圍んで怒號を上げた。
首席の時代のような「世界の富豪たちへ出荷するための淸淨な收穫」ではない。それは、目の前で大の字に固定されてゐる五人のミューズたちを、ただ自分たちの欲望と肉體を潤すためだけに物理的に消費し盡くす、最惡の略奪の日常の始まりであった。




