第二十六章の第一節:支配者の降臨と、暴かれた隱蔽
最下層の檻の床に四肢を完全に固定されたまま、數ヶ月におよぶ囚人たちの暴走を受け續け、その胎內に「新たなる命」を强制的に宿させられてゐた美波、エレーナ、クロエ、そして母と姉の五人。
彼女たちの肉體から發信された「妊娠定着」の自動データは、上層の執執室にいた首席を動かすのに十分な利權の價値を持ってゐた。
「……不可解だな。加重制裁の最中であり、嚴密な隔離下に置いていたはずの檢體たちが、なぜ一齊に繁殖フェーズへと移行してゐるのだ」
首席は、仕立ての良い高級スーツの襟を正し、數名の直屬の精銳兵を引き連れて、自ら最下層の薄暗く濕った監獄へと降りてきた。彼の知性は、看守たちの報吿書にある「バイタルの自然な亂れ」という言葉の裏にある不自然な沈默を、正確に察知してゐたのである。
ガチャン!!!
重厚な電子ロックが解除され、首席が看守室を通り拔けて五人の檻の前へと姿を現した。
白亞の空閒から降りてきた絕對的な支配者の降臨に、檻の周圍にいた看守たちは一瞬にして靑褪め、直立不動で硬直した。首席の冷徹な眼差しが、衣服を一切與えられず、床に釘付けにされた姿勢のまま、大きく膨らんだ腹部を抱えて橫たわる五人の無慘な五體へと向けられる。
「看守長。說明してもらおうか。この女たちの胎內に注ぎ込まれた種子は、一體誰のものだ。私のデータにない交配が、なぜこの檻で行われてゐる」
首席の低く、靜かな聲が、地下室の冷たい空氣を一瞬で凍りつかせた。すべてが暴かれたその瞬閒、最下層の暗部を支配していた奇妙な隱蔽の構造は、音を立てて崩壞を始めた。




