第二節:固定された日々の變遷(朝晝晚風呂就寢の固定化)
それからの數ヶ月閒、五人に課せられたのは、第二十一章のルーティンがさらに殘酷に固定化された、逃げ場のない「每日の生活」そのものであった。四肢を床に固定されてゐるがゆえに、朝晝晚の境界すらも、彼女たちの肉體に刻まれる激痛の質によってしか判別がつかなくなってゐた。
ジリリリリリリ!!!
朝の起床ブザーが鳴ると、まず看守たちの「叩き」が始まる。これは隱蔽工作の一環でもあった。暴行による外傷が首席に見つからぬよう、打擊は美波の動かない下半身や、エレーナとクロエの衣服に隱れる體幹部、そして母と姉の背中へと、執拗に、そして加減を失った重いゴム警棒で叩き込まれた。
バチィィン、ズガァァンと響く打擊音のなかで、美波の目からは淚すら枯れ果てた血の淚が床のコンクリートに滲みを作ってゐた。
日中、晝のブザーとともに鐵格子が開けば、ガルシアを先頭とする囚人たちの定時暴走が開始される。
エレーナの左右非對稱に損壞した顏面は、男たちの粗暴な愛撫と打擊によってさらに原型を失い、クロエの東京の檻での氣品も、男たちの汚濁の下に完全に埋沒してゐた。五人の肉體は一箇所に固められ、四肢を開かれた姿勢のまま、代わる代わる襲いかかる男たちの容赦のない肉的結合のピストンを受け續ける。
夕刻の「洗滌」の時閒になっても、手枷と足枷は解除されなかった。看守たちは、床に固定されたままの彼女たちの身體に向けて、工業用の高壓ホースから凍るように冷たい地下水を直接噴射した。水壓によって肉が裂け、床の泥と男たちの汚濁が冷水とともに洗い流される激痛のなかで、五人は互いに縺れ合って體溫を分かち合うことすらできず、ただ個別に冷たい水に咽びながら耐えるしかなかった。
深夜、濡れたコンクリートの床の上で大の字に固定されたままの就寢。毛布も與えられず、指先一つ重ね合わせることも許されない距離で、五人は互いの呼吸音だけを賴りに、明日もまた始まる終わりのない奉公の奈落へと、意識を沈めていく日々が延々と繰り返されていった。




