第七章:崩れ去るプライド
執行人として現れたのは、新ボスの配下の中でも最も大柄で、無慈悲な大男だった。男の手には、棘の付いた鋼鐵製の鞭と、肉を爆ぜさせるための分厚い木ベラが握られている。
「まずは、その大逆の肉體から、前ボスの痕跡を完全に消し去ってやる」
男の低い聲と共に、最初の打擊が振り下ろされた。
――ガシャァァン!!
鋼鐵の鞭が、私の激しく腫れ上がっていた尻へと容赦なく叩き込まれる。新ボスのそれとは比べ物にならない質量。一擊で皮膚が裂け、古い傷口がすべて彈け飛んで、鮮血が瀧のように脚を傳い落ちる。
「あ、がぁぁっ……あぁっ!」
耐えようと奧齒を噛み締めたが、あまりの激痛に、喉から獸のような悲鳴が强制的に引きずり出された。觀客席から、地鳴りのような歡聲が沸き起こる。屈辱が、激痛と共に腦髓を燒き盡くしていく。
男は手を止めない。二擊、三擊と、すでに原型を失っていた尻の肉が、さらに叩き潰され、文字通りザクロのように割れていく。鎖が激しく擦れ合い、私の身體が宙で虛しく跳ねる。
「次は、その不遜な面だ」
男は私の髮を鷲掴みにして顏を固定すると、分厚い木ベラを全力で私の顏面へと叩きつけた。
――ベキィィン!!
骨が軋む悍ましい音が鬪技場に響き渡る。視界が眞っ白になり、腦が激しく搖れる。鼻腔と唇から溫かい血が噴き出し、元から腫れ上がっていた左の頬が、衝擊で完全に陷沒していくのが分かった。
「どうだ、美波! 鳴け! 敗者らしく、許しを請うて泣け!」
何度も、何度も、私の顏と尻へと、交互に無慈悲な破壞が繰り返される。數百人の人閒の前で、私の誇りは、皮膚と共にズタズタに引き裂かれ、大理石の床へと飛び散っていった。腫れ上がった目はすでに視力を失いかけ、ただ赤黑い血の淚だけが、變形した頬を傳って流れ落ちる。
幹部たちの冷笑、配下たちの嘲笑。私が命を賭して守ろうとした誇りも、潛めていた執念も、この壓倒的な大衆の「暴力の祭典」の前には、ただの哀れな餘興に過ぎなかったのだ。




