109/194
第二節:首席の冷徹なる臨檢と、制裁の設計
「……なるほど。ミルクを失い、ガルシアどもの玩具に成り果ててなお、まだそのような『生意氣な自尊心の殘滓』が殘ってゐたとはな」
緊急事態の報吿を受け、洗滌室へと赴いた首席は、濡れそぼったコンクリートの床に這いつくばる五名を、冷酷極まる眼差しで見下ろした。
脫走を主導したエレーナとクロエの身體は看守たちの容赦ない打擊によって再び激しく損壞し、美波は動かない下半身を泥水に浸したまま、腫れ上がった瞼の奧で首席を睨みつけてゐた。
「美波。お前たちのその鐵の意志は、我が組織の效率的な管理において、ただの不純物だ。前の野蠻な手下どもなら、ここで怒りに任せてお前たちを毆り殺してゐたかもしれんが、私は違う。お前たちのその動かない手足、そして連帶した絆そのものを、肉體的な制裁によって二度と機能せぬよう固定してやる」
首席の薄い唇から下されたのは、從來の「每日のルーティン」を遙かに超える、加重された鋼鐡の處罰命令であった。
「五人を最下層の檻へ戾せ。ただし、今度は首のチェーンだけではない。全員の兩手兩足を、コンクリートの床に打ち込まれた鋼鐡のリングへ直接、個別に完全固定しろ。就寢時も、朝の點呼時も、一切の身動きを許すな」




