第三節:洗滌の凍結と、就寢の奈落
夕刻のブザーが鳴り、囚人たちの狂宴が一度引き揚げられると、五人の肉體は男たちの汚濁と血、そして床の泥が渾然一體となってこびりつき、原型を留めぬほどに汚されてゐた。
そこへ、第二十一章と同じく、首を一本の鐵チェーンで繋がれた「洗滌」の時閒が訪れる。
工業用の高壓ホースから噴射される凍るような地下水が、ガルシアの暴行によって新しく引き裂かれた彼女たちの皮膚を容赦なく穿った。
「あ、が……っ、うあぁ……!」
クロエの瘦せ細った身體が激しい水壓で床を轉がり、美波の動かない兩脚が冷たい水のなかに浸される。骨をきしませるような激痛のなかで、五人は互いに縺れ合い、冷たい水に咽びながら、ただこの過酷な洗滌の時閒を耐え拔くしかなかった。
深夜、元の檻へと投げ戾された五人は、濡れた身體のまま、凍えるコンクリートの上で互いに身を寄せ合った。
美波は、腫れ上がった瞼の奧で、鄰に橫たわるエレーナとクロエ、そして魂を拔かれた母と姉の姿をぼんやりと見つめてゐた。
首席の科學的去勢に續き、この最下層のボス・ガルシアによる「每日の亂暴」は、彼女たちの日常を完全に地獄のルーティンへと固定してゐた。
明日もまた、朝の點呼と叩きが始まり、晝にはガルシアの暴虐が待ってゐる。一筋の冷たい風が換氣孔から吹き拔けるなか、五人は互いの肌の微かな溫もりだけを最後の據り所にしながら、二度と覺めることのないような深い、深い絕望の闇の底へと、ゆっくりと意識を沈めていくのであった。




