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バニラアイスとチョコアイス

2話投稿してます。こちらは2話目お間違い無く。

 細かい説明や事情はとりあえずは棚上げしておいて、出来たフードを冷めない内に姫の元に届ける。と言う自分の仕事を忠実にこなす為に、内勤の美濃重治は、氷室吾郎から指示のあった"紙ナプキン"だけを入れたカトラリーケースと木製の丸皿を、銀のトレーに乗せてキッチンから出ていく。


 途中、最初にフードを運ぼうとしていた播磨孝高の前を通った時に美濃重治が片手で持つ銀のトレーに乗った物を見た時、素直に。


 (え? 今の何? なんかウネウネしてるのが乗ってたけど?)


 と、蛇腹状に伸ばされているポテトをそう表現した。


 フードを頼んだ桜と言う名前の姫が座るテーブルまで来ると、作法に則り方膝を着き、姿勢を低くするとトレーの上に乗っているカトラリーケースと木製の皿を姫の前に差し出した。


 「お待たせいたしました"フライドポテト"(?)でございます」


 姫。担当。ヘルプ。と3人が3人ともにテーブルの真ん中に置かれた皿を凝視している。


 姫が真っ先にフードをこの場に運んできた内勤の美濃重治に問い掛けた。


 「美濃くん、私が頼んだのフライドポテトだよ? これ何?」


 聞かれて1番困る質問をされた美濃重治は。


 「キッチン担当の者が言うには、油でジャガイモを揚げてあるから"フライドポテト"だそうです」


 そう言って先程、氷室吾郎からジャガイモを油で揚げてるからフライドポテトだ! そう説明された事をそのまま姫に説明した。美濃としても、それ以上の事を説明しようが無かった。


 そして、席を離れようと思った瞬間にインカムのイヤホンから同僚でもある、播磨孝高の声が聞こえてきた。


 「えっと……今、氷室さんに聞いた情報を流す、きっと姫から問い詰められているだろうから、そのまま話せ」


 非常にありがたい言葉が聞こえてきた。

美濃はインカムから聞こえる播磨の声を聞き漏らさないように、片方の指でイヤホンを抑えてから播磨の言葉を待った。

そして、播磨の伝える情報をそのまま姫に伝えた始める。


 「そのフライドポテトの切り方は"ハッセルバックポテト"と呼び、揚げる前の状態だと、伸びたり縮んだりする事から"アコーディオンポテト"とも呼ばれます、外はカリカリで内側はホクホクとしており、非常に美味しいですので、先ずはそのままで次にケチャップを少量付けてお召し上がりください」 


 そう言って(もうこれ以上はココに居て質問責めに会いたくない)と言う本心は微塵も表に出ないように努めながら、そっと静かに席を離れようとすると姫から……


 「ごめん、美濃くんもう1回この料理の名前を教えて」


 そう言って自分の使っているスマホを持ち聞いてきた。


 「はい、このフライドポテトの名前はハッセルバックポテト別名アコーディオンポテトでございます」


 と繰り返すと、桜は自分のスマホを何やら操作して。


 「ハッセルバックポテトとアコーディオンポテトねメモOKありがとう美濃くん」


 そう言って、直ぐにスマホをカメラモードに切り替え撮影タイムに入った。横に座る担当ホストの結城司は、冷めないうちにどんな味がするのか食べてみたかったが、姫が撮影を終わらせない限り食べる事も出来ない事を重々承知していた。


 そして少しばかり長い撮影タイムが終わると、3人でカマンベールチーズの盛り合わせとフライドポテトを食べて、その美味しさを堪能した。


 姫はスマホを使い先程撮影した画像をそのまま使い自分が普段から利用している複数のSNSに画像を添付して投稿した。


 #The Aegean #フード革命

と言うハッシュタグを付け。


 "めちゃくちゃオシャレ" "めっちゃ美味しい" "1度は食べるべき"


 そう投稿した。


 その後はマネージャーを呼び、氷室吾郎の料理を食べた味と食べる前に撮影した画像を使い絶賛する。


――キッチン――


 使った調理器具の洗い物を終え、いつものパイプ椅子に座り、カルピスミルクを片手に、のんびりと過ごしているとインカムが鳴る。


 「こちら、マネージャー氷室くん姫がお礼がしたいそうだから来て欲しい」


 それを聞いた氷室は、ある意味で予定通りと思い。


 「今、洗い物をしているので終わり次第行きますねー」


 と、洗い物は終わらせているのに、そう返事を返した。


 そして、食器棚の中から薄い茶色の陶器スフレを1つ取り出すと、冷凍庫から"バニラ"と"チョコ"の2種類の業務用の大きなアイスクリームを取り出すと、カレースプーンを1つ給湯器から出る熱湯で温めた後、スプーンの水気を切り、アイスクリームを"クネル"と言うラグビーボールに似た形に掬うと、用意していたスフレの中に2種のアイスクリームを盛り付け、最後にミントの葉をバニラアイスの上に乗せた物を作った。


 1枚の白いソーサーの上にアイスが入ったスフレを乗せ横に1本のアイスクリームスプーンを置いた物を持ち、キッチンから出た氷室吾郎は、丁度カウンターに居た、内勤の播磨孝高にマネージャーに呼ばれた、さっきのフードを頼んだ席がどこか教えて欲しいと言うと、そのまま案内してくれた。


 そして、桜と司にヘルプの光秀に加えてマネージャーまでもが座るテーブルに到着した氷室は。


 「キッチン担当の氷室吾郎です」


 そう挨拶すると桜から。


 「あれ? 忘れちゃった? 最初にお店まで案内してあげたのに」


 そう言われて、最初店に来るのに迷子になっていた自分を助けてくれた、姫と担当のホストだと思い出し、その時のお礼も兼ねて挨拶をし直すと、桜から。


 「カマンベールチーズの盛り合わせも、フライドポテトもどっちも美味しかったよ、今度はフルーツの盛り合わせを頼んでみるね、これでコノお店の悪いウワサも無くなっていくといいね」


 そう言って少しだけ会話のやり取りをして、氷室吾郎はキッチンへと戻って行く。


 「あれ? 氷室さんその手に持ってるの何です?」


 フロアからキッチンに戻る時に、播磨孝高にそう言われたが氷室は。


 「作りかけのオーダーだ」


 と言い播磨から。


 「え? オーダー何か入ってましたっけ?」


 と更に追求された氷室吾郎は、苦し紛れに。


 「頑張った自分へのご褒美で食うんだよ! うるさいな!」


 (どれも美味しかったよ、これ少ないけど貰って)


 (ありがとうございます、こちら些細な物ですがご賞味下さい)


 と言う氷室の頭の中で繰り広げられる、チップでウハウハ作戦が見事に砕け散った本音を言えず終始誤魔化していた。


 因みにアイスは自分でヤケ食いした。



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