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オリバーの味方は誰もいないようです。

 魔法展開の都合で、検察側の証人が続く。

もう一人の証言者は元娼婦の女性だった。アリシアの首を絞めたあの女性だ。


彼女がどういう心境で証言台に立っているのか、アリシアには分からなかった。もう出て行けと追い返された後、何故か証言台に立つことを乱暴な筆跡の手紙で知らせてきた。


 彼女が証言台に現れた瞬間、弁護士が崩れ落ちそうになっていた。


 (この方に対して、そんなに落ち込むほどオリバーはやらかしたのね。そうね、いつも平然と後始末を任せていた私に知らせていなかったのだもの。よっぽどなのでしょうね)

アリシアは呆れと申し訳なさでずっしりと身体が重くなるのを感じた。


 傍聴席には、娼婦ということでやや侮る雰囲気や、この裁判自体を下品な目で見ている視線も一定あったが、大方の雰囲気は今までの流れから一致していた。


その道のプロである娼婦が証言台に立つほど酷いことをしたのか!


 そしてダメ押しをしたのが高級娼館楼主のロザリンドの手紙だった。

ロザリンドは元娼婦の女性を守れなかったことを女性に向けて詫びる文から始め、「これ以上同様のことがないよう切に願う」と締め括った。


顧客の関係もあるだろう、男性陣の女遊び自体への言及は少ないものの、現在証言台に立っている女性が、元雇用主から信頼を得ていることの証明になった。


そして娼館楼主が守れなかったという記載で元娼婦の女性に寄り添うことで、言外に「オリバーたちが楼主が出張って娼婦を守らなければいけないような状況を作った」ことが伝えられていた。


つまり女性は目立ちたがりで出廷しているのではなく、真に被害者であるということだった。


 オリバーの上着はどうなっていたのか分からないが、なんと映像を見聞きしていた裁判官が倒れてしまって、場は騒然とした。


 あのリンドバーグ裁判官だった。


(どういうこと!?枢機卿猊下の部下の方に、虚偽の申告での借金で、罰金を含めた資産を押収された筈だけれどど、まあつまり貴方が汚いことをしているのは知っているぞという脅しと金銭的な攻撃ではあるわけだけれど……。

そしてタイミングからして私が通報したことくらい、さすがに気付いている筈。元々頭は悪くないのだから。


それでも裁判官なのだから給料日には給金が入るし、最悪忙しいと言って裁判所内に宿泊も出来る。軽食も出るし、体調面で倒れるとは思えない。


であれば心理面……?余程借金取りのお兄さんたちが怖かったとか……?ブラウン家からの頼み事と枢機卿猊下の脅しとの間で、不正をするべきか公正に裁判をするべきか悩んで胃が痛くなった……?

そんな筈ないわよね、このタイミングで心理面と言ったら……)


 「オリバー……、あの馬鹿本当に何をしたの……」

リンドバーグに元々心労があったとは言え、男性が倒れるほどの衝撃映像だったということだ。


横にいるエンリケ伯爵裁判員も青い顔をして口元をハンカチで押さえている。


「一時休廷とします!」

異例なことに再度休憩が挟まれることになった。

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