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私、権力があります3

 「まあまあリンドバーグさんでしたか」

フレイヤが何やらファイルの山を漁っている。


「こちら王城秘書時代に活用していた、『王家の方々にあまり親しくしない方が良いですよと伝えるべき、行いが怪しい貴族リスト』です。」

パラパラッパパーという効果音を付けて、丸く太ったファイルのページを捲ると、付箋が糊で重ね付けされているページに辿り着いた。


 「うわぁ!ダメな貴族の典型ですね!」

覗き込んだミアがバッサリと切り捨てた。

フレイヤの文字は王城秘書官であっただけあり美しく読みやすい。パッパラパー侯爵……もといリンドバーグ侯爵の行いが一目で分かった。


 「違法な賭け事、賄賂、違法風俗店への出入り、前科のある貴族との度々のパーティー参加……、よくこれで裁判官が続けられましたね」

アリシアがさすがはブラウン家の遠縁……と溜め息を吐いた。


「どうしたら良いでしょうか。この方についてもどこかに告発を?」

ミアの質問にアリシアが首を振った。


「時間的に間に合わないし、もしギリギリ間に合っても、リンドバーグが降りて別の裁判官が誰になるのか分からないわ」


「そいつが更にクズだったら一巻の終わりね」

「そうですねえ……どうにか交渉出来るように出来れば良いんですが……」

フレイヤが頬に手を、エリスは顎に手をやって考え込む。


院長室に集まっているものの、院長であるエドガーは諸々の対応で忙しく、不在のため、メンバーはこの五人で全員だ。


 もしエドガーが集まれたとしても、アリシアはこれ以上エドガーに迷惑を掛けたくなかった。住む場所に、国王陛下の謁見の手続きやご本人への根回し、メディア対応や急増した患者対応、その他にもきっとアリシアの想像の及ばない対応すべきことがあるのだろう。

多忙を極めているのは側から見てもよく分かった。


 (コーヒーハウスの件で、国王陛下や権力のある方々と縁が出来たと言っても、これはその見返り以上に迷惑を掛けてしまっているわ)


「権力……」

「?アリシア様……?」

アリシアの呟きにミアがその顔を覗き込む。


「アリシア様、女性がして良い顔じゃないです……」

アリシアの三日月のような口元を見てミアがサッと自分のスカーフで顔を隠した。

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