3 次の話は古本屋らしい
「次の舞台は古本屋にしましょう」
担当さんがそう言った
・・・もう勘弁してくれ
ちょっと前のことだがコンビニを舞台にした小説を書いた
正確には私小説?
コンビニでバイトしている売れない小説家を題材にした読み物
実際に働いた際の苦労や、コンビニ店ならではのアルアルネタを盛り込んだドキュメンタリー風の小説だ
担当さんの「私もお手伝いしますから」というセリフに負けて書き始めた
え?
あの受賞作のパクリではないのか?
さすがにそんな恥知らずなことはできませんって
え?
創作ではないのか?
そんなことができるのなら最初っから書いている
あ、あと、時間がないからってのもある
ただあったことを面白おかしくするだけだから簡単です
担当さんがそう言ったから
でも締め切り間際、というか本来の締め切りはとっくに過ぎているのでいきなりハードモードになった
書くたびに担当さんから赤で修正が入る
返ってきた原稿は真っ赤っか
1日に30回は直したな
寝る間どころか、食べる間も惜しんで書きなおした
・・・担当さんはオレを殺る気だと思った
この世界にいた前のオレは絶対に担当さんに過労死させられたと確信した
そんでもって空いた身体にオレが召喚されたんだと思う
そんな修羅場は1度で十分だ
オレは平穏無事に暮らしていきたい
そう思っていたら担当さんが訪ねてきて、次の原稿を催促してきた
それが冒頭のセリフ
なんでもコンビニの話は評判が良かったそうだ
おかげでコンビニでバイトする人間が増えたんだとか
・・・バイト集めに苦労していたのだけど雑誌に載ったおかげで応募が増えたそうだ
それを聞きつけた担当さんの会社の古本屋部門
こちらにも(オレを)まわせ
売上アップになるような話を書かせろ
だってさ
そんなことを暴露していいんか?
そう言ったらすでに近所の店舗でのバイト、もとい取材が決まっているとのこと
おまけに「主人公は女店主で和風美人でおねがいします」だってさ
「ひょっとしたらドラマ化されるかもしれませんよ、そしたらぼろ儲けですね」ってヨイショしてきた
あるから!すでに!映画化までされてる!
叫んだオレは悪くない
でも担当さんの返事は
「え?ありませんよ?」
だった
こいつ何言ってるんだ、って顔はやめてくれ
オレの方が頭おかしいって思えてくるからさ・・・




