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朱美の百合ハーレム全ルート攻略記――選べないから、全員幸せに(攻略)します!――  作者: M・A・J・O
それぞれのルート

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第6話 蒼衣(リッチな幼なじみ)ルート②

 放課後になり、朱美は言われた通りに屋上へ向かう。

 屋上へ続く扉を開くと、そこには蒼衣の姿があった。


「朱美さん、お待ちしておりましたわ」

「何の用だったの?」

「……これをあなたに受け取って欲しいんですの」


 蒼衣はそう言うと、懐から小さな箱を取り出した。

 綺麗なラッピングが施されており、とてもプレゼント用に見える。


「これ……なに?」

「……わたくしの気持ちですわ。受け取ってくれますか?」


 蒼衣は不安げに聞いてくる。

 朱美が断るわけがないというのに。


「ん、ありがとね。蒼衣」


 そう言って朱美は箱を受け取ると、そのまま蒼衣に抱きつく。


「わわっ!? あ、朱美さん!?」

「あはは、何慌ててるの? お返しだよ」


 突然のことで驚きを隠せない蒼衣だったが、すぐに嬉しそうな顔になる。


「……ふふっ、これで私達恋人ですわね」

「……え?」


 蒼衣の言葉に理解が追いつかない朱美。

 恋人とは、一体どういうことだろうか?


「えーっと……ごめん、どういうことかな?」

「そのままの意味ですわ。わたくしと朱美さんは晴れて恋人同士になったんですの」

「……ん?」


 蒼衣はさも当然かのように言っているが、朱美には理解ができない。

 告白されたわけでもないし、プレゼントを受け取っただけだ。

 恋人になる理由なんてどこにも……


「わたくし、朱美さんのことが好きですわ。だから、付き合って欲しいんですの」


 そんな蒼衣の言葉と同時にチャイムが鳴る。

 もう帰らないといけない時間だ。


「あ、蒼衣? その……気持ちは嬉しいけど……」

「あら、もしかして他に好きな人がいらっしゃるんですの?」

「いないよ! いないけど……」


 そう答えると蒼衣は嬉しそうな顔をする。

 そしてそのまま朱美の手を取り歩き出した。

 朱美はそれに戸惑いながらもついていくことしかできなかった、その時。


「……強引なのはよくないんじゃないかな?」

「……っ!」

「さ、沙橙!」


 朱美は声のした方向を見る。そこにはハイライトの入っていない病んだ瞳で朱美たちを見つめる少女がいた。

 いつもは無気力で死んだような目をしているのだが、今日はなんだかその目に感情が乗っているような気がした。


「あら、なんの用かしら?」


 蒼衣は沙橙を睨みつけるが、沙橙は全く動じない。

 むしろその逆で余裕そうな表情を浮かべている。


「……別に? ただ朱美ちゃんが困ってそうだったから声をかけただけだけど」

「ふーん……まあいいですわ。朱美さん、行きますわよ」


 蒼衣はそう言うと、再び手を引いて歩き出す。

 そんな二人の後を沙橙がついてくる。


「……あの、沙橙? なんでついてくるの?」

「……ん? いや、特に意味はないよ」


 沙橙はそう言って目を逸らす。

 なんだか様子がおかしい気がするが気のせいだろうか?


「あ! もしかして嫉妬ですの? ふふっ、可愛いところもあるんですわね」


 蒼衣がからかうように笑う。

 沙橙は一瞬だけムッとした顔になったが、すぐにいつもの無表情に戻った。


「……まあ、なんでもいいけど早く帰ろ」

「あら、それもそうですわね。でもあなたと帰る約束をした覚えはありませんわよ?」

「……じゃあ勝手に付いて行くから」

「ふふっ、まあいいですわ。朱美さんとの大切な時間ですもの。邪魔だけはしないでくださいね?」


 蒼衣はそう言うと、再び朱美と恋人繋ぎをしてくる。


「ほら、行きましょう朱美さん♪」

「あ……う、うん……」


 蒼衣に引っ張られていく朱美。

 そんな二人を追いかけるようにして沙橙がついてくる。


「あ、あのさ……そんなに引っ張らなくても……」

「ダメですわ。ずっとこうしていたいんですもの」

「うぅ……」


 結局そのまま家まで辿り着いてしまった。

 蒼衣はようやく手を離してくれたが、まだ物足りなさそうな表情をしている。


「それでは、また明日会いましょうね」


 そう言って蒼衣は自分の家へと帰って行った。

 残されたのは朱美と少し後ろから朱美と蒼衣を見ていた沙橙だけ。


「……朱美ちゃん、ちょっといいかい?」

「な、何……?」


 沙橙は何かを言いたげだがなかなか切り出せないようだ。

 そんな沙橙を不思議に思いながらも待つことにする。

 しばらくすると決心がついたのか、ゆっくりと口を開く。


「……朱美ちゃんはさ、蒼衣ちゃんのことどう思ってるんだ?」

「え? なんでそんなこと聞くの?」

「……いいから答えて」


 いつになく真剣な眼差しで見つめてくる沙橙に少しドキッとする。


「えっと……その、大切な幼なじみだよ?」

「……それだけか?」

「う、うん」


 朱美の答えを聞いて、沙橙は少しだけ驚いたような顔をする。

 一体どうしたというのだろうか?


「……そっか、ならいいんだ。ごめんな変なこと聞いて」


 沙橙はそう言って自分の家へと帰って行った。

 結局何が言いたかったのかわからなかったが、まあ気にすることでもないだろうと思い気にしないことにした。

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