第52話 妹からのキスとラッキースケベ
そしてついに五人とも生まれたままの姿になってしまった。お互いの肌が触れ合うたびにくすぐったい感覚に襲われていく。自然と吐息も荒くなり、鼓動も早鐘を打つように激しさを増していく。そして何よりも顕著だったのが――
「……これが朱美ちゃんの生乳……!」
「ふっくらとした綺麗な胸……早く触れてみたいわね」
――胸への関心であった。朱美の胸はぺったんこで貧相なものだったが、それでも沙橙と紫音の二人にとっては面白いらしい。
「なんか胸ばっかり見られて恥ずかしいんだけど……」
そんな風に呟くものの、実際にはそこまで悪い気分ではなかったりする。むしろ少し嬉しかったりするのだが、そんなことは口が裂けても言えないし言わない方が良いだろうと思っている朱美であった。
すると突然、背中側から温かいものに包まれるような感覚に襲われる。振り向かなくても分かるほど、その正体は明らかだった。
「いいじゃありませんの、減るものでもありませんし」
「蒼衣……」
そこにいたのは蒼衣だった。彼女は後ろから抱き着いてくるように密着しており、腕は前に回されている。だからこそ、必然的に蒼衣の豊満な乳房が押し当てられる形となってしまっていた。
これはまずいと思うも、既に後の祭りである。離れようにもがっちりホールドされていて身動き一つ取れない。それに加えて耳元に感じる吐息や体温の高さもあって余計に心臓が跳ね上がる。こんな状態でまともに思考できるはずもなく、されるがままになってしまう。
「あー、あおちゃんずるい! 私もー!」
「ちょっと美桜!?」
正面から朱美に飛び込みそのままぎゅっと強く抱き締める。まるで甘える子猫のような仕草で、なぜか上機嫌そうにも見える。
一方、抱きつかれた側としてはたまったものではない。目の前には柔らかそうな二つの果実があるのだ。しかもそれが自分のものではなく他人の物だと思うだけで興奮してきてしまう。
朱美も朱美で変態なのだ。美少女による百合ハーレムを作ろうと思い立つぐらいには。
「……このままじゃ美桜ちゃんと蒼衣ちゃんに朱美ちゃんを独占されちゃう」
「ふふ、可愛いじゃない。こういうのも悪くないわね」
「ちょ、待っ!?」
美桜と蒼衣が朱美を羽交い締めにしていて、逃げ場を失ったところに残った二人の美少女からも攻撃が加えられる。左からは紫音が優しく頭を撫でてきており、右からは沙橙によって足指を這わされるという状態になっている。
……まさに天国のような地獄というやつなのだろう。なんとか振り払おうとするも力が入らず思うようにいかない。
「どうしましょう。あなた、どんどん可愛くなってきていないかしら?」
「や、やだ……変なこと言わないでくださいよ……」
「……大丈夫。朱美ちゃんはいつもかわいいから」
紫音から甘い言葉を囁かれ、沙橙に慰められつつも愛でられ、朱美は限界を迎える寸前だった。それなのに、更なる追撃が迫ってきていたことに気づけなかったのだ。
「ねぇ朱美おねーちゃん、ちょっと屈んで?」
「へっ? なんで……」
「いいから、はい♡」
美桜は妖艶な笑みを浮かべながら朱美の首に腕を絡ませてくる。その様子を見て察せないほど鈍感なわけではない。これから何をするつもりなのか予測がついてしまった。
しかし、逃げる間もなく顔が近づけられていく。
「ちゅっ……れるっ……んむっ……ちゅぱ……」
唇を重ね、舌を入れてくる濃厚なキスをされる。初めて味わう未知の感覚に戸惑いつつも徐々に慣れてきて夢中で求め合ってしまう。
「ぷはぁっ……」
しばらくしてようやく解放された時には息も絶え絶えの状態となっており、身体中の力が抜けてゆくのを感じる。
そんな様子をよそ目に、今度は別の人物からのアプローチが始まった。相手はもちろん蒼衣である。
「あおちゃんも朱美おねーちゃんとちゅーしたいんでしょ?」
「い、いえ別にそういうわけではありませんわ」
美桜の言葉に慌てて否定するも、視線は完全に朱美口元へと向けられている。
「嘘つき。本当はしたいんでしょ~」
「違いますわよ! わたくしはただ……」
「あーもういいから!」
蒼衣が美桜に押されてバランスを崩してしまう。朱美がとっさに手を伸ばしたが、その先に蒼衣の胸があったためそのままむぎゅっと揉んでしまった。
当然ながらそれは事故であり故意ではないのだが、今の彼女にとっては十分すぎるほどの刺激を与えてしまったらしい。
「ひゃあっ!?」
「ご、ごめん蒼衣! 痛くなかった!?」
「は、はい……大丈夫ですわ」
顔を真っ赤にしながらもそう返事を返す蒼衣だったが、その表情は大丈夫には見えなかった。変な声をあげていたし胸を事故揉みされたので無理もないだろう。
しかし、そんな状況にした張本人の美桜は最高に楽しいようで、悪気なさそうにゲラゲラ笑う。
「朱美おねーちゃんってば大胆〜」
「あんたのせいでしょ!」
「でも、あおちゃんのおっぱい大っきくて気持ちよかったでしょ?」
「……う」
図星を突かれて言い返せずにいるうちに美桜は満足したのか、朱美から離れてそのまま紫音の方に行って問いかける。
「紫音先輩はちゅーしなくていいんですか?」
「私? 私は遠慮しておくわ。今は朱美達のやり取りを愛でたい気分だから」
「キス魔の先輩がそんなことを言うなんて……」
美桜はひどく驚いていたが、それについては朱美も同意見だった。何せ紫音は普段から隙あらば朱美の口にキスをしてくるくらいなのだから。




