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朱美の百合ハーレム全ルート攻略記――選べないから、全員幸せに(攻略)します!――  作者: M・A・J・O
それぞれのルート

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第4話 美桜(姉好きな妹)ルート④

「おまたせー」

「……ん? ああ、大丈夫だよ」


 沙橙のクラスに着くとすぐに彼女は見つかった。

 どうやら教室で本を読んでいたようだ。


「それで相談って?」

「……ああ、そうだね」


 沙橙は本を鞄にしまい、朱美と一緒に帰路につく。

 学校を出てしばらくすると、沙橙が口を開いた。


「……相談っていうのは、ボクの昔の話なんだ」

「うん」


 朱美は相槌を打ちながら話を聞くことにした。

 すると沙橙は語り始める。


「……ボクはね、昔いじめられてたんだ」

「……え?」


 あまりにも意外な発言だったので驚いたが、沙橙は相変わらず淡々としていた。

 ただ目は寂しそうにしている。

 そんな彼女は続けた。


「……最初は軽い嫌がらせみたいな感じだったんだけれどね、どんどんエスカレートしていって……最終的には暴力沙汰になったよ」

「……そうなんだ」


 朱美はどう反応すればいいのかわからず、ただ相づちを打つことしかできなかった。

 そんな朱美を見て、沙橙は自嘲するように笑う。


「……まあ当然だよな。ボクみたいな根暗で気持ち悪い奴を好きになる人なんていないんだからさ……」

「そ、そんなこと……!」

「……ふふ、ありがとう」


 沙橙は優しく微笑むと、再び話し始める。


「……それでね、ボクはある日耐えきれなくなって自殺しようとしたんだ」

「え!?」


 朱美は驚きの声を上げるが、沙橙の表情は変わらない。

 ただ淡々と話を続ける。


「……でもね、ボクは死ぬことができなかった」

「どうして?」

「……ボクが自殺しようとした時、ある人が助けてくれたんだ」

「そうなんだ……」

「……その人はね、ボクにこう言ったんだ。

"君は悪くないよ"ってね。

"だからもう少しだけ生きてみようよ"って言ってくれたんだよ」

「優しい人だね」


 朱美がそう言うと、沙橙は嬉しそうに笑う。

 その笑顔はとても可愛らしく、普段の無機質な表情からは考えられないものだった。


 そんな彼女を見て、朱美は安堵する。

 どうやら彼女はもう大丈夫らしい。

 そんなことを思いながら歩いていると、沙橙が口を開く。

 その目は真剣だった。

 どこか不安げな声音で言う。


「……朱美ちゃんはボクのこと嫌いになったりしない?」

「当たり前じゃん! なんでそんなこと聞くの?」


 朱美は即答する。

 そんな朱美を見て、沙橙は安心したように笑った。

 その笑顔はとても綺麗で見惚れてしまうほどだったが、すぐにいつもの無表情に戻ってしまう。

 それが少し残念だったけれど、彼女が笑ってくれたことが嬉しかった。

 だから今はこれでいいと思うことにしたのだ。


「……そっか、ありがとう」


 沙橙はそれだけ言うと、また前を向いて歩き出す。

 朱美もそれに続いて歩き出した。


「……ねぇ、朱美ちゃん?」


 しばらく歩いていると、不意に沙橙が話しかけてきた。


「ん? なに?」

「……ボクね、実は君のこと好きなんだ」

「え?」


 そんな突然の告白に、朱美は固まってしまう。

 そんな朱美を見て沙橙はククッと笑う。

 その笑顔はとても妖艶だったけれど、どこか寂しそうだった。


「……ごめん。急にこんなこと言われても困るよね」

「あ、いや……その……」


 朱美が戸惑っていると、沙橙は優しく頭を撫でる。その手つきはとても優しかった。

 まるで壊れ物を扱うかのような手つきに、朱美はドキドキしてしまう。


「……返事は今じゃなくていいさ」

「う、うん……」

「なにしてるの?」

「ひゃいっ!?」


 突然後ろから声をかけられた朱美は驚いて変な声を出してしまう。

 振り返るとそこにいたのは美桜だった。


「朱美おねーちゃん、なにしてるの?」


 美桜は不機嫌そうな声音で言う。

 その表情は嫉妬に染まっていた。

 そんな美桜を見て朱美は困惑するが、沙橙は特に気にする様子もなく答える。


「……ちょっと世間話してただけだよ」

「そう……」


 美桜は小さく呟くと、そのまま黙ってしまう。

 その様子はとても不機嫌そうだったけれど、朱美にはなぜ彼女が不機嫌になったのかわからなかった。


「……じゃ、ボクはここで失礼するよ」


 そう言って沙橙は去っていく。

 その後ろ姿を美桜はじっと見つめていた。


「……朱美おねーちゃん」

「な、なに?」


 突然声をかけられて驚く朱美だったが、美桜は気にせずに続ける。


「……私ね、朱美おねーちゃんのこと好きだよ」

「え? あ、ありがとう……?」


 なんで今そんなことを言うのかわからなかったが、とりあえずお礼を言っておくことにした。

 そんな朱美を見て、美桜はため息をつく。


「……はぁ、朱美おねーちゃんは相変わらずだね」

「ど、どういうこと?」

「なんでもないよ。それよりも帰ろ?」

「あ、うん……」


 美桜はそれだけ言うと歩き出す。朱美は慌てて後を追いかけた。


「ねぇ朱美おねーちゃん」

「ん? どしたの?」


 帰り道を歩いていると美桜が話しかけてきたので、朱美は聞き返す。

 そんな朱美を見て、美桜は少し躊躇うような素振りを見せたが意を決したように言った。


「あのさ……私の事嫌いになったりしないよね?」

「え? なんでそんなこと聞くの?」


 朱美が聞き返すと、美桜は俯いてしまう。

 そんな姿を見て、朱美は心配になり美桜の顔を覗き込んだ。

 すると彼女は今にも泣きそうな顔をしていることに気づく。


「ど、どうしたの!?」

「……私さ、朱美おねーちゃんに嫌われたら生きていけないよ……」


 そう言って美桜は泣き始めてしまった。

 そんな美桜を見て朱美は慌てるが、すぐに落ち着かせるために彼女を抱きしめる。

 そして優しく頭を撫でた。

 すると少し落ち着いたのか、美桜が顔を上げて言う。


「朱美おねーちゃん……お願いだからどこにも行かないで……」

「行かないよ。私はずっと美桜と一緒にいる」


 朱美は微笑みながら答えると、美桜は安心したように笑った。その笑顔はとても可愛らしいものだったが、どこか狂気も孕んでいた。


「朱美おねーちゃん大好き!」


 そう言って美桜は再び抱きついてくるので、朱美もそれを受け入れることにする。

 そんな二人を遠くから見つめる目があることに気づかずに……


「……あーあ、取られちゃったなぁ」


 沙橙は残念そうに呟いたあと、小さくため息をつく。

 その表情はどこか寂しげだったが……同時に満足そうでもあった。


「……このルートで朱美ちゃんのことを取れるなんて思ってないけど……ボクは何度だって諦めない」


 沙橙はそれだけ言うと歩き出す。

 その表情には決意が宿っていた。


「……必ず朱美ちゃんを手に入れてみせる」


 そう言って、沙橙は不敵な笑みを浮かべるのであった。

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