第3話 美桜(姉好きな妹)ルート③
その日の夜、朱美はベッドで考え事をしていた。
「沙橙って不思議な子だよなぁ……」
沙橙のことがよくわからない、というのが正直な感想だった。
でも悪い人ではないということはわかる。
「今度また話しかけてみようかな」
沙橙のことがよくわからないのは事実だが、嫌な感じはしなかった。むしろ好感すら持っている。
そんなことを考えていると、ドアがノックされて妹の美桜が入ってきた。
「朱美おねーちゃん入るよ~」
「うん? どした?」
朱美はベッドに座りながら聞き返すと、美桜はどこか言いづらそうに口を開く。
「……その……一緒に寝たいなって……」
そんな妹を見て朱美は微笑む。
そして優しく言う。
「いいよ。おいで、美桜」
「うん!」
嬉しそうにベッドに入ってくる美桜を、朱美はそっと抱きしめる。
「えへへ……」
美桜は幸せそうに朱美の胸に顔を埋めた。
まるで猫のように甘えてくる美桜に、朱美はついつい頭を撫でる。
すると気持ちよさそうに目を細めていた。
そんな様子が可愛くて、思わず笑みが溢れる。
「朱美おねーちゃん……」
「なに?」
「……なんでもない」
そう言って、美桜は朱美にすり寄る。
その仕草が可愛らしくて、朱美はまた頭を撫でた。
――そんな日が数日続いたある日のこと、珍しく沙橙の方から話しかけてきた。
「……ねぇ朱美ちゃん」
「ん? どしたの?」
教室移動中に話しかけられた朱美は、いつもと変わらない様子で返事をする。
すると沙橙はどことなく緊張した面持ちで口を開く。
「……放課後、空いてるかい?」
「放課後? うん、空いてるよ」
朱美が答えると、沙橙は少しホッとした様子だった。
そんな沙橙を見て不思議に思いながらも、朱美は続けた。
「なにか用事?」
「……実は相談したいことがあって」
「相談したいこと……? いいよ! じゃ放課後にね!」
朱美は笑顔で了承し、その日の授業を受けた。
そしてあっという間に放課後になる。
帰りのホームルームが終わるとすぐに美桜が話しかけてきた。
「朱美おねーちゃん、一緒に帰ろ?」
「あ、ごめんね。今日は沙橙と帰る約束してて……」
「……沙橙先輩?」
美桜が訝しげな表情になるが、朱美はそれに気づかずに続ける。
「うん、なんか相談があるんだって」
「……ふーん……そっか」
美桜は少し不満げだったが、朱美が沙橙と放課後になにかするのは初めてなので、渋々了承した。
「じゃあ私は先に帰ってるね」
「うん! ごめんね!」
そう言って、朱美は教室を出て沙橙のクラスに向かう。
その道中で、美桜は朱美の背中を見つめていた。




