第2話 美桜(姉好きな妹)ルート②
昼休み、朱美は自分のクラスを出て美桜に声をかけていた。
「美桜ー、一緒にご飯食べよ?」
「うん! 朱美おねーちゃんと食べる!」
嬉しそうに席を立って朱美の方に駆け寄る美桜。
すると、何故か沙橙がいつの間にか朱美の横にいて話しかけてきた。
「……朱美ちゃん、よかったらボクもご一緒していいかな?」
「えっ」
……なんだろう、この急展開は。
沙橙からの思わぬ誘いに朱美は戸惑うが、せっかく誘われたのだ。無下にするわけにもいかないし――なにより彼女のことが気になっていたので――快く承諾する。
断った方がいいのかなんて事を考えたこともあったが、すぐに杞憂に終わることとなる。
「……ボクはキミたちに興味が湧いたのさ」
沙橙は、朱美と美桜に興味があるようだ。
その興味とはなんなのか気になるが、聞くのも躊躇われるので触れなかった。
沙橙がなにを考えているのか、朱美にはさっぱりわからない。
だけど、いつも通り明るく元気に振る舞うことがいいと朱美は判断した。
「そっかぁ、じゃ一緒に食べよっか!」
「……朱美おねーちゃんがいいなら私もいいよ」
朱美と対照的に、美桜は不満を全く隠そうとせずに沙橙と接している。
こうして三人でお昼ご飯を食べることになったのだが、案の定というべきかなんと言うか……沙橙は寡黙だった。
黙々と一人でご飯を食べている。時折箸が止まるのは美味しくないとかではなく、おそらくなにか考え事をしているからだろう。
朱美と美桜は、沙橙から少し距離を置いたところでご飯を食べていた。
沙橙が「……離れたところで二人を観察してもいいかな?」と言ってきたからこうなっているのだ。
そういうこともあって朱美は心配になり、沙橙に声をかける。
「沙橙、なにか考え事?」
「……ん? いや別に」
なんでもないように言って再びご飯に箸を伸ばすが、またすぐに動きが止まってしまう。
「……やっぱりボクにもよくわからないな」
その呟きは誰に言ったのでもなく、独り言のようだったが――どこか寂しげだった。
そんな光景を見ていると、朱美はなんだかいたたまれない気持ちになってしまう。
どうにかしてあげたいと思うが、なにをすればいいのかはわからない。
悩んでいると、美桜が「沙橙先輩」と声をかける。
「……どうしたんだい?」
「さっきはごめんなさい……私、ちょっと気が立ってたみたいで……」
「……ああ、いやいや。そんな気にしなくてもいいんだ」
そう言って、沙橙は美桜に微笑みかける。
「そう……ですか?」
「……うん。ただね、ボクがキミたちに興味があるのは本当さ」
「興味?」
「……そう、興味」
沙橙は意味深な笑みを浮かべると、朱美の方を見て言う。
「……だから朱美ちゃん、これからも仲良くしてほしいな」
「え? あ、うん、もちろんだよ」
突然話を振られて驚きつつも返事をすると、沙橙は嬉しそうに笑っていた。
「……よろしくね」
「う、うん」
それからは特に会話もなく、食事を終わらせる。
美桜と朱美は二人して先に教室に戻った。




