第32話 ???(シークレット)エンド到達
「ちょっと朱美おねーちゃん!? 無意識に私の太もも触らないでくれる!?」
「朱美さん、わたくしの体でしたらどこを触ってもらっても構いませんよ」
「あおちゃん、何言ってるの!? そんなこと言ったらナニされるか!」
「ふふ、騒がしくていいわね。こういうのも悪くはないわ。ねぇ、朱美?」
「紫音先輩、私が触ったように見せかけないでください……」
とある休日、朱美たちはみんなでパジャマパーティーをしていた。
朱美の提案で、みんなパジャマを着てお泊まり会をしよう、という話になったのだ。
その真の目的は――朱美がみんなのパジャマを拝みたかったから。
「みーちゃんのパジャマ、可愛らしいですわね。どこのブランドなの?」
「ブランド? それはわかんないけどいいでしょー。このサメのパジャマ!」
美桜はサメに丸呑みされたような、パジャマというより着ぐるみに近い格好をしている。
それがなぜか蒼衣にも刺さったらしく、目を輝かせている。
だが、朱美の目にはどうしてもお子様用のパジャマに見えてしまう。
「可愛いけどさ……ちょっと子どもっぽくない?」
「わかっていませんわね、朱美さん。今はこの着ぐるみパジャマが流行っているんですわよ?」
「さっすがあおちゃん! わかってるねぇ!」
「……あんたたちそんな仲良かったっけ?」
少し前まで朱美を取り合ってピリピリしていたはずなのに。
美桜の威嚇に飄々と返す蒼衣の図が朱美の脳裏をよぎる。
今まではそうしていがみ合っていたのに、いつの間に仲良くなったのだろうか。
仲良くしてくれていた方がいいのは確かだが、朱美は少しばかり心がモヤモヤしていた。
「というか紫音先輩のはいやらしすぎません!? なんでそんな格好なんですか!?」
「朱美の前ではいつでも可愛い自分でいたいのよ」
「いや、可愛いというより……セクシーというか……」
紫音は黒のネグリジェを着ていた。
それも明らかに透けている生地でできている、大人向けのやつである。
まだ高校生なのに、この格好は色々と問題があるのではなかろうか。
「大人の魅力が溢れる私。どう? 惚れ直した?」
「いや、惚れ直すも何も……紫音先輩はずっと私の憧れの先輩ですよ」
「……そう。ならいいわ」
紫音は少し照れたようにそっぽを向く。
朱美もなんだか気恥ずかしくなって、視線を逸らすのだった。
「ていうか朱美おねーちゃんとあおちゃん、色違いのお揃いみたいでずるい! 私もそれ着たい!」
美桜が羨ましそうに、朱美と蒼衣のパジャマを交互に見やる。
「そりゃあ幼なじみですもの。一心同体で着る服も似ますわ。ねぇ、朱美さん?」
「え? あ、うん? すごい偶然だよね」
「全く噛み合ってないの面白いわね」
紫音がそう言って、くすりと笑う。
確かに美桜の言う通り、朱美のパジャマと蒼衣のパジャマは色違いである。
上はショート丈でピンク、下はロング丈で薄い赤色になっている。
蒼衣は上が水色で、下が青色。
まるで恋人同士のようなお揃い具合だった。
「二人がお揃いならみんなでお揃いにするのも楽しそうよね」
「えー! それいいですね、紫音さん! みんなでお揃いにしたーい!」
美桜は紫音の案に、すでにノリノリで賛成していた。
朱美としても、みんなが仲良くするのは大歓迎である。
「……楽しそうな話だね。ボクも混ざっていいかい?」
「沙橙! いいに決まってるじゃん! というかトイレ長かったね?」
「朱美さん……女の子にそれは禁句ですわ……」
朱美のデリカシーのない言葉に、蒼衣が呆れ顔になる。
今朱美たちの中に入ってきたのは沙橙。
沙橙は猫耳フードのパジャマを着ている。
おしりには可愛らしい尻尾までついている。
普段ボーイッシュな沙橙がその格好をしているのは、なんだかギャップを感じる。
「沙橙のパジャマ、なんだかあざといよね……」
「……そう? いつもこんな感じだよ」
「いやいや、沙橙がそんな服着るの想像つかないって」
「……にゃーん……これならどう?」
沙橙はどうだ、と言わんばかりにあざとく猫の鳴き真似をする。
そんな沙橙に朱美は少しだけドキッとしてしまった。
この姿を自分だけに見せたいと思っていてくれたのなら嬉しいな、なんて考えてしまったからだ。
「さ、沙橙さん……意外とそういうの似合うんですのね……」
「にゃーん」
沙橙はふざけてにゃんにゃんと鳴き続けている。
その仕草が本当に可愛らしくて、朱美は顔が熱くなってしまった。
「ちょ、ちょっと私ベランダ行って涼んでくる!」
「え!? 朱美おねーちゃん!?」
朱美はたまらず走り出した。
鏡がないのでわからないが、きっと朱美の顔は誰もにわかるほど赤くなっているだろう。
そんな姿をみんなに見られたくないのだ!




