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朱美の百合ハーレム全ルート攻略記――選べないから、全員幸せに(攻略)します!――  作者: M・A・J・O
それぞれの完全攻略ルート

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第20話 幼なじみ:完全攻略①

「んんぅ……ん? なんだか柔らかいものが当たってる気が……」

「んふっ、朱美さんったら……やけに積極的ですわね」

「……え?」


 目を開けるとそこには蒼衣の顔があった。しかも超至近距離で。

 ……ということは、今手に当たっている温かくて弾力のある柔らかいものはまさか。


「な、なななんで!? なんで!?」

「あら、お目覚めですか?」


 慌てる朱美とは対照的に落ち着いた様子の蒼衣。まるで何事もなかったかのような態度だ。

 だが、朱美の脳内は大混乱だった。……というよりも、大興奮といってもいいかもしれない。なにせ今鷲掴んでいるのは、はち切れんばかりに膨らんでいる蒼衣の胸なのだから。


「あ、蒼衣!? こっこれは一体!?」

「ふふ……朱美さんに激しく求められるのは悪い気がしませんわね」

「私が求めたのは説明なんだけど……」

「あら、そうでしたか? でも……朱美さんがわたくしに抱きついてきたんですよ。それも、わたくしの胸を揉みながら……」

「うぇえ!?」


 そんなもの覚えていない。きっと蒼衣のハッタリだ。朱美は誰かの胸を揉みたいと思うことはあれど、行動に移せないチキンなのだ。


「そ、それはきっと蒼衣の見間違いだよ! 私はそんなことしないもん!」

「そうでしょうか? でも、朱美さんったらわたくしの胸を揉みながら『蒼衣……いいおっぱいだねぇ……』って呟いてましたわよ?」

「え!? いやっ……そのっ」

「ふふ、冗談ですわ。でも……わたくしも少し感じてしまったので、おあいこですわね」

「あぅう……」


 こういう時の蒼衣は強い。完全に蒼衣のペースで話が進む。だけど朱美も負けてばかりでは癪だと重い、なんとか反撃の糸口を見つけようとする。

 何かないだろうか。蒼衣の弱点。……その時、蒼衣は朱美が胸を揉んだことを否定しなかったことを思い出す。しかもこうも言っていた。


『わたくしも少し感じてしまったので』

「……ねぇ、蒼衣」


 蒼衣に反撃するチャンスはここだ。

 朱美は意を決して蒼衣に問いかける。


「なんですの?」

「さっき、少し感じたって言ったけど、それってどういうこと? 詳しく教えて」

「……っ! そっそれは……」


 蒼衣が珍しく動揺している。これはいい反撃のチャンスかもしれない。朱美はさらに畳み掛ける。


「私子どもだからわかんないなー」

「……わたくしも朱美さんと同い年なのですが?」


 朱美の言葉に蒼衣が思わず口を挟む。……が、それがいけなかった。

 朱美はニヤリと笑みを浮かべ、蒼衣の耳元に顔を寄せる。

 そしてそのまま甘い声で囁いた。


「蒼衣の……えっち」

「っ!?」


 朱美が囁いた瞬間、蒼衣の顔が真っ赤に染まる。そしてそのまま俯いてしまった。


「あれ? 蒼衣? おーい?」

「……ずるいですわよ」

「……え?」


 俯いたまま、ボソッと何かを呟いた蒼衣。

 朱美は聞き取れずに聞き返すと、今度は顔を勢いよく上げた。その顔は相変わらず真っ赤に染まっていたが、同時にどこか悔しそうな表情だった。


「朱美さんばかり、わたくしをドキドキさせるなんてずるいですわ!」

「……え? いや、私もドキドキしてたんだけど。一緒に寝てなかったはずなのに蒼衣が部屋にいるところから」


「あら、ではおそろいですわね」

「お願いだからそろそろ私の話聞いて……」


 蒼衣は朱美の話を聞いているのかいないのか、ニコニコと笑みを浮かべながら話を続ける。


「わたくしは朱美さんと一緒にいられるだけで幸せですわ。でも……それだけじゃ足りませんの。もっと朱美さんに触れたい。朱美さんのいろんな表情を見たいんですの」

「蒼衣……」


 蒼衣は真っ直ぐに朱美を見る。その表情からは真剣さが伝わってきて、朱美は思わず息を飲む。

 幼なじみなのに、こんな表情の蒼衣を見たのは初めてだった。


「朱美さん、わたくしのこと嫌いになりましたか?」

「っ!」


 蒼衣の言葉に朱美は首を横に振る。

 そして今度は朱美が真剣に言葉を発した。


「なるわけないじゃん! そんなの、私も一緒だよ」

「……ふふ、なら良かったですわ」


 そう言って笑う蒼衣の表情はとても幸せそうだった。そんな蒼衣を見て、朱美も思わず笑みがこぼれる。

 ……最初からこうすれば良かったのかもしれない、と朱美は思う。美桜や紫音先輩にうつつを抜かしていないで、もっと蒼衣に真剣に向き合っていたらもっとこんな笑顔が見られたかもしれないのに。


「……蒼衣」

「なんですの?」

「ごめんね」

「え? なんで謝っているんですの?」


 急に謝罪の言葉を述べた朱美に、蒼衣は首を傾げる。そんな彼女を朱美はギュッと抱きしめた。


「……ううん、なんでもないよ! ただ……蒼衣が大好きってこと!」


 そう言って笑う朱美の顔はとても晴れやかで、つられて蒼衣も微笑んだのだった。

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