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朱美の百合ハーレム全ルート攻略記――選べないから、全員幸せに(攻略)します!――  作者: M・A・J・O
それぞれの完全攻略ルート

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第18話 妹:完全攻略③

 教室に入るといつものように騒がしい声が聞こえてくる。クラスメイトたちはみんな元気いっぱいで楽しそうだ。

 今日もいつも通りの一日が始まるんだなと思っていると声をかけられた。振り向くとそこに立っていたのは沙橙だった。今朝見ていた夢が夢だけに、まともに顔を見られないくらい気まずい。


「お、おはよう、沙橙」

「……うん。おはよう、朱美ちゃん」


 挨拶を交わすと彼女は嬉しそうに微笑んだ。その表情を見ると今朝の夢を思い出してしまいそうになるのでやめて欲しいところだ。

 しかし、そんなことを言えるはずもなく曖昧に笑って誤魔化すしかなかった。そんな朱美を見て不思議そうな顔をしていたが特に追及してくることもなかったのは幸いだったと言えるだろう。


「……そういえば、さっき美桜ちゃんに鋭い目つきで見つめられちゃったよ。朱美ちゃんのこと取って食ったりしないのに」

「えっ!」


 それは一体どういう状況だったのか詳しく聞きたかったが、タイミング悪く先生が来てしまったので仕方なく授業の準備をするしかなかったのだった。


「はぁ……」


 思わずため息が出てしまう。それもこれも全部あの夢のせいだ。そのせいで一日中沙橙のことばかり考えてしまっていたのだから本当に困ったものだ。

 おかげで授業中も全く集中できなかったし、今もこうして頭を抱えている始末だ。このままではいけないと思い、気分転換に屋上へ行くことにした朱美は教室を出た。


「えっ、美桜?」


 廊下を歩いているとそこには美桜の姿があった。ちょうど彼女も屋上に行こうとしていたところらしい。


「あ、朱美おねーちゃん!」


 朱美に気づいた途端嬉しそうな表情を浮かべる妹の姿に、つい発情してしまいそうになる。しかし、ここは学校だ。自制心を総動員させて耐えることにする。


「朱美おねーちゃんと会えるなんて嬉しいな」

「うん、ちょっと気分転換にね」


 そう言うと美桜は何かを思い出したかのように手を叩いた。そしてニヤリと笑みを浮かべると私に近づいてくる。

 嫌な予感がして後ずさろうとするも遅かったようだ。腕を掴まれてしまった私はそのまま壁ドンされてしまったのである。


「ちょ、ちょっと美桜!?」


 慌てて離れようとするがビクともしないどころかさらに強く押し付けられてしまう始末である。そしてそのまま強引にキスをされてしまったのである。


「んっ、ちゅっ……」


 最初は抵抗していたものの次第に力が抜けていきされるがままになってしまう朱美。そんな様子を見て満足そうに微笑むと美桜はゆっくりと唇を離していったのだった。その目はまるで肉食獣のようにギラギラしていて妖艶な雰囲気を漂わせていた。


「ふふ、ごちそうさま。――どう? 今の紫音先輩っぽくなかった?」


 ……どうやら悪いお姉さんから変な影響を受けてしまったらしい。いつかの朝に舌を入れられたことをもっと警戒しておくべきだったかもしれない。


「もう、いきなりしないでよ……」


 朱美は恥ずかしさを誤魔化すようにそっぽを向くことしかできなかった。そんな朱美を見て美桜はくすくすと笑っていたのだった。本当に困った妹である……

 しかし、そんなやり取りをしている間も頭の中は沙橙のことでいっぱいだった。あの夢のせいで美桜とまともに向き合えない。


「朱美おねーちゃん? どうしたの?」


 美桜が不思議そうに覗き込んでくる。朱美は慌てて笑顔を作ると美桜の頭を撫でた。


「ううん、なんでもないよ」

「……そう?」


 まだ少し納得していない様子だったもののそれ以上追及してくることはなかったので助かった。もし追求されたりしたらボロが出てしまっていたかもしれないからだ。


(それにしても……)


 まさかあんな夢を見るなんて思わなかった。しかも相手が沙橙だったなんて……

 確かに沙橙のことは好きだし大切だと思っているけれど、それはあくまで友人としてだ。沙橙から告白されたことはあるが、それでも沙橙を選ぶつもりはない。

 それなのにどうして……


「朱美おねーちゃん? 大丈夫?」


 美桜の声にハッとする。いけない、今はこんなことを考えている場合じゃない。早く切り替えないと!

 そう思いなおすと美桜に笑顔を向けた。すると彼女も安心したように微笑んでくれたのだった。

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